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肩書きのない付き合いがとても心地よい

3年ほど前に知り合ったSさんとはお互いに夫婦で親しくしています。きっかけは夫と私が通っているスイミングプールでの出会いです。言葉を交わすうちに話がはずみ親しくお付き合いするようになりました。特に、木や草花を楽しむ趣味が一致し、道端で見つけた小さな花のことなど伝え合うようになりました。

どちらも仕事をリタイアした身です。同世代で肩書のない生活を楽しんでいました。だから過去の職歴を話題にすることはありません。もちろん興味がないわけではありません。Sさんに対しても草花を観察する様子などを見ていて「どういう人なんだろう」と思うことはあります。観察が細かくて探求心が旺盛なのです。謙虚で穏やかな人柄にもこれまでどんな生活をしてきた人なのだろうと興味がそそられます。でもあえて問いません。お互いに問わないことが暗黙の了解のようになっているからです。そしてそれがすごく心地よいのです。

そんな中である日インターネットにSさんの名前を見つけました。写真付きだったので本人であることは間違いありません。東大の先生(名誉教授)でした。物理学者です。なるほどと思いました。草花を探求するあの姿は研究者の姿だったのです。過去の業績などこれっぽっちも出さないSさんのような人が東大にもいることを知り、なぜか嬉しくなりました。

インターネットことはSさんには告げていません。そしてその後もお互いに肩書抜きで心地よい付き合いを続けています。



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