野中 しおり(しおりん)

公立学校の英語教師を早期退職したあと大学院に進学し研究者の道に進みました。海外の教育に…

野中 しおり(しおりん)

公立学校の英語教師を早期退職したあと大学院に進学し研究者の道に進みました。海外の教育について研究しています。小学校から大学まで様々な場で教えた経験と各国での調査をもとに雑多な記事を書いています。

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最近の記事

大学院の指導はどうなっているのだろう?

大学院で学んでいたとき西アジアの国から来ていた国費留学生の女性と親しくなりました。彼女も私も博士課程に在学していました。彼女とお互いの研究のことを話していて気になったことがあります。大学院での指導についてです。 彼女は首都圏の教員養成系の大学院で修士課程を修了していましたが、教員の指導がほとんどなかったと言います。修士論文も執筆し学位も取得しているのですが、指導教授はゼミで顔を合わせるくらいで個人的な指導はほとんどしていなかったそうです。自分から相談に行っても彼女の研究内容

    • 南から来た枕の贈り物

      伊豆半島の成り立ちを知る貴重な溶岩を見ました。西伊豆にある一色の枕状溶岩(pillow lava)と言われるものです(ヘッダーの写真)。枕状溶岩というのは海底で流れ出たマグマが固まって出来た溶岩で、細長い枕のような形をしていることからこの名がつけられました。 枕状溶岩のでき方↓ 一色の枕状溶岩は伊豆半島で最も古い時代の地層と言われる仁科層群(約2000万年前~)にあり、その大部分は海底噴火により流れ出た溶岩や水底土石流の堆積物から成り立っているそうです。これらの地層からは

      • 野原に現れた昭和の世界

        西伊豆の松崎を訪れました。野原に人がたくさんいるのが遠くから見えました。牛やヤギもいて長閑な風景です。 「何かのイベントかな?」そう思って近づいてみました。近くに行ってびっくり。集まっていたのは人ではなくみんな人形(かかし)でした。 松崎町那賀地区の人たちが町おこしのために3ヘクタールの休耕田をお花畑にし、そこに紙粘土や古着などで作った人形を置いたのです。人形は毎年違うものが置かれているようで、今年のテーマは「懐かしの昭和」でした。人形は全部で44体あります。街頭テレビで

        • 補欠選挙の結果が楽しみ!

          もうすぐ国会議員の補欠選挙が行われるね。授業でも選挙について勉強したけど、選挙って大事なことがわかった。だって選挙で選ばれた人がぼくたちの代わりに国や自治体のいろいろなことを決めるんでしょ。ちゃんとした人に任せないと大変なことになるよね。 でも、最近は選ばれた人たちがいろいろな問題を起こしている。なんか多すぎない? 日本は大丈夫かなって心配しちゃうよ。選んだ人(「有権者」っていうんだね)はどう思っているんだろう?  こんなことになるとは思わなかったのかな? 選んだ人にも責任

        大学院の指導はどうなっているのだろう?

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        • 日常の小さな物語
          149本
        • なんとなくモヤモヤ
          54本
        • 旅のスケッチ
          101本
        • 放課後のメモリースケッチ
          175本
        • ノスタルジック京都
          10本
        • 50歳から大学院
          25本

        記事

          ノスタルジック京都: キムチとお好み焼き

          私が中学3年で京都の学校に転校した時、最初に声をかけてくれたのはたけやんという女の子でした。口数が少なく目立たない子で、友だちもあまりいないようでした。たけやんは私にとても親切にしてくれました。教室を移動するときはいつもいっしょに行ってくれましたし、困っていることがないかとたびたび聞いてくれました。私は彼女と仲良くなり一緒に過ごすことが多くなりました。お弁当もいっしょに食べました。彼女のお弁当にはいつも私が見たことのない食べ物が入っていました。「それ何?」と聞くと耳にしたこと

          ノスタルジック京都: キムチとお好み焼き

          ノスタルジック京都:教師にとっても思い出に残る修学旅行がある

          学校での難しい問題を続けて取り上げましたが、教師の仕事は大変なことばかりではありません。楽しいこともたくさんあります。こんな年がありました。京都を離れ関東の公立学校で教員となり、修学旅行の引率で京都を訪れたときのことです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2年生の事前学習から準備を始めた修学旅行。目標や行動の約束、服装などみんな生徒たちで話し合って決めました。自主行動のコースづくりを含めて準備に費やした期間は半年近くになります。「自分たちで決められ

          ノスタルジック京都:教師にとっても思い出に残る修学旅行がある

          「キレる」生徒を前にして

          生徒による教師への暴力についての記事を載せたところ貴重なご意見をたくさんいただきました。私にとってはとても参考になる有難いご意見です。学校では生徒への暴力も見られます。「キレる」生徒も少なからずいます。(教師も?)こちらも再掲記事ですがご意見をいただけたら有難いです。楽しくない内容が続いてすみません。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ かつて荒れた学校に勤務していたときのことです。「友だちが殴られている」と生徒が職員室に駆け込んできました。複数の教師

          「キレる」生徒を前にして

          先生がサンドバッグに?

          こんなこともありました。明るい話題ではありませんが問題提起の意味もあり再掲します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 朝の学活が始まる前でした。職員室を出た私はS先生と話しながら教室に向かいました。S先生は3年生のクラス担任です。私はその年は担任をしておらず、年休を取った先生の代わりにS先生の隣のクラスに行くところでした。 教室が近づくと男子生徒たちが廊下で騒いでいるのが目に入りました。「教室にはいれ」S先生が生徒たち声をかけました。「学活が始まる

          先生がサンドバッグに?

          生まれてこなかった子

          ナイフを振り回す生徒のことを書いた私の記事に教師をされていた妹さんのことを伝えるコメントをくださった方がいました。ありがとうございます。妹さんは荒れた学校でも全力で生徒に向き合い、人気のある先生だったようですが、残念ながら若くして病気でお亡くなりになったとのことです。同じ時期に同じような経験をされていた先生が全国にたくさんいたのでしょう。 辛い経験ですがこんなこともありました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 日本中に校内暴力が吹き荒れた1980

          生まれてこなかった子

          引き出しに眠っていた折りたたみナイフ

          (以前に書いた記事を加筆修正したものです) 「あらっ、このナイフどうしたんだろう?」 片付けをしていたら古びた折りたたみナイフが出てきました。少したって思い出しました。私が教師になったばかりの頃に生徒から預かったものです。持っていたのは一人の男子生徒でした。 ある朝、昇降口で登校する生徒たちを迎えていた学年主任と私は彼がナイフを手にしているのを見つけました。不要なナイフを学校に持ってくることは禁じられています。ましてや彼が手にしていたのはポケットナイフです。学校で使うこ

          引き出しに眠っていた折りたたみナイフ

          息子が学校で怪我をした!

          以前に投稿した記事ですが、最近似たような事案を耳にしたので再掲することにしました。以前に読んでくださった方は「スルー」してください。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私は自宅がある市内の学校に勤務していました。ある日息子が通う小学校から連絡がありました。息子が怪我をしたというのです。休み時間に体育館で遊んでいるとき、床から飛び出ていた釘に足を引っかけてかかとを切ったといいます。私は年休をとってすぐに駆けつけました。息子は保健室で応急手当をしてもらい

          息子が学校で怪我をした!

          休日は仕事しません!

          「休日は仕事しません」私がそう言ったら生徒は驚いたような顔を見せました。土曜日がまだ休みではなかったころです。 定期テストで私の担当する教科は最終日の最後の時間に設定されていました。土曜日でした。テストが終わると勤務時間は終了です。採点する時間はありません。月曜日に答案を返却するには残業するか持ち帰ってするしかありません。私は持ち帰って家で採点しました。当時はそれがごく当たり前でした。 でも、月曜日に答案を返却しませんでした。返そうと思えば返せましたがあえて返さなかったの

          休日は仕事しません!

          noteの似顔絵で思いがけない再会!

          学級通信の片隅に「シャッターチャンス」と題して生徒の似顔絵を載せていました。担任の私が日常の中で見つけた生徒たちの何気ない様子を描き、コメントを添えて載せたものです。素人の下手くそな絵ですが生徒たちは楽しんでくれました。ヘッダーのイラストもそのひとつです。 その似顔絵をnoteに載せたところ(名前は仮名にしています)教え子のひとりから思わぬ連絡がありました。「先生、ぼくの似顔絵にびっくりしました!」と。彼とは30年ぶりの「再会」です。 以下は「シャッターチャンス」の一部で

          noteの似顔絵で思いがけない再会!

          ノスタルジック京都:拉致問題が他人事と思えないのは...

          北朝鮮の拉致問題が遅々として進まないことにもどかしさを覚えます。2002 年に5人の拉致被害者が帰国されて以降、被害者は一人も帰国していません。そんな中で思い出すのが大学時代の友人のことです。 京都の大学に通っていた友人と私はたびたび一緒に旅行しました。友人は実家を離れ大学の近くで下宿をしていました。時は1970年代、「アンノン族」の時代です。おしゃれでチャーミングな彼女はキャンパスでも目立っており、時折り雑誌の読者モデルに取り上げられていました。キャンパスでも写真を撮られ

          ノスタルジック京都:拉致問題が他人事と思えないのは...

          カラスに飛び蹴りされました!

          鳥の動きが活発になってきました。昨年の゙体験です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 道路を歩いていたらブロック塀の上にカラスが止まっていました。思わず目が合ってしまいました。「まずい!」そう思って通り過ぎたのですが… 突然後頭部に衝撃を感じました。何事かと思いました。身体が揺らぐほどの衝撃です。 カラスが飛び蹴りをしてきたのです。子育て中だったのでしょうか。何が腹のたつ(?)ことでもあったのでしょうか。幸い頭に傷は受けませんでしたが、カラスには

          カラスに飛び蹴りされました!

          きれいな桜の花も...

          昨日の雨で桜の花がずいぶん散りました。そんな中で桜にまつわるエピソードを。過去にもちょっと書いたことがあります。 知人の家の隣家には立派な桜の木が植えられています。通りに面したところなので満開のときは道行く人たちの目を存分に楽しませています。立ち止まって眺める人も少なくありません。知人も楽しんでいるのですが。 「でも…」と彼女は言います。道路に散らばった花びらをその家の住人が掃除しないことに不満を持っているようです。さらに、彼女の家の玄関ポーチにも桜の花びらは広がっていま