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遠い日の心象風景

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日々の中で遠い日の記憶がふと浮かんでくることがあります。時についっす実前のこともあります。そんな心象風景をとりとめもなく綴っています。
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記事一覧

初めての異文化体験は茶色い飲み物だった

私にとって初めて異文化体験は1960年代、小学校に入学したばかりの頃です。父の仕事上の知…

しおりん
9か月前
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175 理不尽な指導は何年たっても記憶に残る。 でも...

小学校6年生の時でした。学級活動の時間に校庭のあちこちで分かれて作業活動をしていた私たち…

しおりん
1年前
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還暦を過ぎた赤ちゃん

幼い頃よく歌った童謡に野口雨情作詞、本居長世作曲の「赤い靴」があります。赤い靴を履いてい…

しおりん
1年前
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窓ガラスにあたる雨を眺めて

子どもの頃から雨が好きでした。 窓ガラスを伝って雨が落ちていく様子を眺めるのが好きでした…

しおりん
1年前
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雨の日に父を迎えに駅に行った遠い日のこと

「お父さんに傘を届けてあげて」 子どもの頃雨が降ると母によく頼まれました。仕事から帰る父…

しおりん
1年前
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麦畑の中の心象風景

幼い頃住んでいた家の近くには一面に麦畑が広がっていました。小学校1年生の私は友達とその麦…

しおりん
1年前
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となりの家から「行ってらっしゃ~い!」

娘が3歳の頃です。共働き夫婦の私たちは保育園の送り迎えを交替でやっていましたが、その日は夫が自転車で送っていくことになっていました。 「行って来まーす」と言って娘は夫といっしょに玄関を出ました。朝食の片づけをしながら出勤の準備をしていた私は玄関にも行かず台所から「行ってらっしゃーい!」と声をかけました。 少しすると「ママ、行って来まーす!」という娘の声が外から聞こえました。私は家の中から再度「行ってらしゃーい!」と言いました。 すると「ママ、行って来まーす!」とまた娘が

いのちをつなぐ

ある朝、鏡の中に母の姿が見えました。はっとしました。母は数年前に他界しています。 幻影か…

しおりん
1年前
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限界集落にて

長野県の山あいにある小さな集落。くねくねと曲がりくねった道の先にその集落はあります。明か…

しおりん
1年前
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ありのままがいい

人間社会に暮らしているといろいろなことがあります。ちょっとした気持ちの行き違いから人を恨…

しおりん
1年前
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アウトバックの道を走りながら

アウトバックの悪路を車で走りながら、自分がこれまで歩んできた道に思いを巡らせました。決し…

しおりん
1年前
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やさしさのかたち

「ねえ、どうしたの?」と声をかけられて涙が出るほど嬉しいときがあります。反対に「そっとし…

しおりん
1年前
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認知症になった海外の友

コロナ禍が起きる少し前にオーストラリアの友人を訪ねたときのことです。友人が食後に薬を飲ん…

しおりん
1年前
6

何年経っても同じことが繰り返されている

一枚の写真に写っているのはあどけない幼児。母親の腕に抱かれ不安そうに何かをじっと見つめています。 見つめる先にあるのは・・・? 戦争です。新聞に掲載されていたアフガニスタン難民親子の写真に私の目はしばし釘付けになりました。 戦闘の場面が写っているわけではありません。爆撃で廃墟となった町が写っているのでもありません。本来ならば「平和」を感じさせてくれるはずの母と子の写真です。でもそこに漂っているのは「絶望」と「不安」です。米軍の爆撃が始まって3週間。難民となって故郷を後にする人