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大学の定員割れ&学生数過去最多

今日は先日見たネット記事から大学の現状をお話ししていきます。
※余談ですが、今回の画像はいらすとやの機能で「AIいらすとや」というのがあったので「大学 定員割れ」と入れて作ってみました。



①定員割れの私立大学、過去最多

まずはこちらの記事

はい、大学職員からしたら見たくないですね(笑)
大学関係者から悲鳴が聞こえてきそうな記事です。
とまあ率直な感想はさておき、いつも自分が意識しているのが「マクロな全体の記事は参考にならん!」ということで、もう少し分解して見ていきましょう。

①-1 規模別入学定員充足率(入学定員別)

まずは入学定員別に見ていきましょう。以下のグラフをご覧ください。

これの右側に注目ください。上から下に行くにつれて大学の入学定員数が増加します。つまり、下に行くほど大学の規模が大きい大学を示しています。
ここから見えるのは、”小さければ小さいほど小規模大学がやばい!!!”ということです。
下段がR5年度の入学定員充足率ですので、100%を超えているのは1500人以上の大学のみです。1500~1000人の大学は99.95%とほぼ100%、1000~600人までは約98%、600~500人では5%ほど下がり約93%、500~100人では更に5%ほど下がり87~89%、そして100人未満では約70%と一気に充足率が低下します
ちなみに少し違いますが、収容定員率(全学年の学生数/全学年の定員数)が90%未満だと私学助成金が減額されます。ざっくり言うとこんな感じですが、細かい話はまたいつか。
ということもあるので、入学定員充足率が減ると学生納付金による収入が減るだけでなく他の面でも影響がある、ということも知っておいてください。


①-2 地域別入学定員充足率

次に地域別。こちらもグラフを見てみましょう。


こちらも同じく右側が入学定員充足率を表し、R5は下段が表しています。
二つ目の記事にも書いていますが、東北(宮城を除く)、東海(愛知を除く)、中国(広島を除く)、四国の4つの地域が定員充足率80%台
んー、やはり地方私立は厳しいですね。近年では地方私立の公立化もチラホラ見られますし、また違った経営戦略が求められそうですね。
方や東京神奈川などの首都圏や京阪神、福岡や愛知などの都市圏では、100%前後の充足率です。これでもまだマクロな数字だと思いますが、大方全国的な話ではなく(都市圏でも数字は下がっていますが)、やはり地方が特段厳しい状況にある、ということです。


①-3 学部系統別入学定員充足率

最後に学部系統別に見ていきましょう。グラフはい!

これは見方としては前年比で見ていくのが良いかと。本当はもっと長いスパンの経年で見るべきなんでしょうが、めんどうなのでこの中で比較していきます。
この中で顕著に下がっているのは、家政学系が95→89%と露骨に下がっています。他にも100%を前年度切りながら更に下がっている人文科学、教育学、保健系も2~3%ほど下がっています。学部系統の人気は時代の流れにも左右されますので、ここからズルズルいくかは分かりませんが、現状こんな感じになっています。


②大学生の数、過去最多

続いてもう一つの記事を見ていきましょう。

こちらは反対に学生数やその中での女子率がR5年度に過去最多となった、という記事です。大学進学率も6割を超え、こちらも過去最高です。こちらの記事は大学関係者には大変喜ばしい内容ですね。うん、嬉しいよ率直に(泣)
とまあ一喜一憂は置いておいて、これもマクロな数字なのでおそらく細かく見ていけば露骨に大学間、地域間で差が出てくるでしょう。進学率なんか以前の私の記事で地域差がかなりあるよ、と言っていますし。

学生数や進学率が増えているという話のついでに、こんなご時世でも新しく大学を作ったりしているみたいですね。

学部の改変改組によって新学部新学科の設立はまだ分かります。専門学校や短大が専門職大学としてパワーアップするのもまだ分かります。純粋に大学を新しく作るのは何か勝算があるのでしょうかね・・・
また、有名大学が新しく学部を作って更に受験生を取り込んでいこうとする流れが進んでいる気がします。そうなると中堅大学や小規模大学は太刀打ちできないです。


③二つの記事から見えること

さて、これらの記事から見えることとして、まずはマクロな数字だけでなくミクロな数字までちゃんと見る。これはいつも言っていますね、私のnoteの読者であれば身に付いている習慣でしょう。
その上でもう少し具体的に記事の内容に言及すると、本当に地域間、そして大学間での受験生獲得競争が激しくなっている。(競争と書いたけど、これもう有名大学が食い荒らしているだけのような・・・)いや、なんでもないですよ、忘れてくださいね。競争ですよ、これは。
上下の大学間の争いは見るに堪えないので、というか勝負にならないので、今まで仲良くお互い定員を満たしていた似たような大学同士の血みどろの争いがもう始まっています。
客観的データからこれだけの現状が分かるのに、大学によってはまだ今まで通りにあぐらかいて学生が勝手に入ってくるもんだ、そう思っている大学もあると思います。潰れますよ

あとはシンプルに勝てない大学は入学定員は減らした方がいいですよ、18歳人口減ってるし競争に勝てそうにないし。と言いますがこんな簡単に済む話じゃないんですよね、すいません。学生納付金が減ると今まで雇っていた人たちに給与が払えない。当たり前ですがこの辺りの支出もスリムにする必要があります。人件費削減と共に業務含めあらゆるDX化を図っていければ、ここまで人を雇わなくてもいいんじゃないかな、と。ただね、本当職員も教員も簡単にクビを切れないんですよ。そういう雇用契約なんですよ。なので職員でも教員でも辞める人が出たら、それを新たな雇用で補うのではなく、今あるリソースでどうにか出来ないか、これをまず先に考えなくてはいけません。


まとめ・おわりに

いかがでしたでしょうか?
今日は大学に関する二つの記事を見てきました。①②は分かりやすい数字やデータが並んでいるファクトですのでとても参考になることでしょう。③は私の随筆ですので読んでも読まなくても。ここまでちゃんと読んでくれた人たちにはとても感謝しています。
と、今回はふと調べてて見つけた記事から「書かなくては!」とアンテナが立ったので、大学業界を把握して課題意識持っているよ、ということを皆さんにお伝えしたかった次第です。
今回の記事が大学職員を目指している人に少しでも貢献できれば幸いです。

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