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花組芝居の感想!


花組芝居に行ってきた。今日は部活の日だったけれど、相方にどうにか話をつけて、2個下の後輩と一緒に下北沢の本多劇場へ。


「仮名手本忠臣蔵」をやるらしい。歌舞伎でもテレビの時代劇でも見たことが無かったので、基礎知識がかなり抜けていた。忠臣蔵といったら浅野内匠頭の仇を討つべく大石内蔵助その他四十七士が吉良上野介を討ち取るという話だと解釈していたのだが、どうやら違うらしい。

 なんでも江戸時代では、当時そのままの設定(つまり江戸の大名浅野と吉良の設定)では上演できなかったらしく、鎌倉時代に舞台が置き換わっているんだとか。大石内蔵助→大星由良之助だっけ。そのまますぎて面白い。そんなことを後輩に全部教えてもらった。若いのに物知りな人だ。自分よりもずっと教養がある。


 花組芝居とは、なんだろう。自分も知らないまま行ったので未だよくわかっていないが、自分が見たものをそのまま表現するなら、どうやら時代劇モノ(歌舞伎?)を現代風に少〜し崩して演じてくれる劇団?のようなものだった。


 下北沢には初めて来たが、劇場の多い町で、歩いていると小さい看板がたくさん目に入ってくる。「シモキタには芸能人がたくさんいる」というよくわからない噂を信じていたのだけれど、これだけ劇場があったら役者の人はいっぱいいるだろうな、と思った。ちなみに自分の中では下北沢と言えばアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』である。(今時。)


 今回の花組芝居は市民ホールの地下の劇場で上演される。地下の劇場の暗さと狭さが大好きだ。演者と客の距離が近くて、仰々しくなくて良い。もっと大きな、紀伊國屋ホールみたいなところでやるのだと勝手に思っていたので、客席へ続く暖簾をくぐった途端にわくわくしてきた。小さいシアターで見ることが滅多に無いので、味わえる非日常感が大きい。


 部屋の真ん中に何も無い空間があって、そこが小さな舞台になる。ちょうど小さな野球場のような形だ。そして球場でいうところのホームベース側とライト側の2箇所に、その舞台を囲むように客席が配置されている。小屋に入ると舞台にはすでに役者さんたちが立っていて、何か雑談をしていた。入っていくと「いらっしゃいませ〜」と声を掛けてくれる。花組芝居総じての感想にもなるが、とても雰囲気がいい。役者さんたちも仲が良さそうだし、お客さんも同様だ。舞台が狭いことも手伝って、歌舞伎等よりずっと親しみ易い。最初の挨拶で、主演の俳優さんが、スマートフォンの注意について笑いを交えながら話してくれた。

「カジュアルな歌舞伎」という表現がぴったり、とは言わないけれど、自分にはそんな風にしか言い表せない。化粧もなく、かつらも被らないが、喋り方や所作などは歌舞伎のそれだった。みんないい声だった。どれだけ練習したらあんな風に動けるんだろうか、と芝居を見ながら冷静に考えてしまうほどだった。


 化粧もかつらも無いどころか、小道具という小道具もなく、衣装という衣装もなかったのが驚きだ。女形だろうが老人の役だろうが、一人二役であっても衣装を換えない。演じ方だけで「この役はさっきまでの人とは違うな」というのをこっちに分からせてくる。これはすごい。自分も一応部活とはいえ演劇をやっている身だが、衣装も小道具も無しで自分の演技力とお客さんの想像力だけに頼る、なんてことは出来そうにない。それだけ完成度の高い芝居だった。

 ただ残念なことに歌舞伎同様の口調なので、高校生(理系)の自分には何を言っているのかよく分からなかった。ニュアンスだけは伝わった。何を言っているのか分からなかったけど、何をやってるのかは分かったという感じ。浅野内匠頭(違う)が吉良上野介(違う)に斬りつけるシーンもちゃんとあって、家臣が「殿中!」と叫んでいたので、まあそこが分かればOKだろう、と自分を許した。

 自分が行ったのは前編なので、肝心の敵討は観れていないのだが、でもなかなか面白かった。もう少し教養を身に付けてから、また来たいと思う。

 芝居を観にいく度に思うのだが、やはり演劇に正解というのは無い。小道具が作れないからできない、なんてことはないし、男が女役なんてできない、なんてことはない。どんな形であれ、舞台を作ることはできる。あとは自分の想像力の問題なのだ。

 大変良い経験になった。後輩ともバーガーキングで語り合ったし、これからもちょくちょく気にかけてみたいと思う。

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