昔好きだった人~ドラマsilentに触発されて~

2022年10月期ドラマsilentを見ている。第2話まで放送終了。このドラマのあらすじやストーリーは公式ホームページやSNSを参照されたい。

この作品は言葉の使い方がきれいでハッとさせられる。第2話より「好きな人がいる、別れたい」。普通であれば「別に好きな人が人ができた。だから別れたい」と読めるところ、作中この「好きな人」は彼女のことを指す。大好きな彼女を傷つけたくない事情ができてしまい、別れを一方的に突きつけた。同じく第2話で「元彼?」と聞かれ「昔好きだった、付き合ってた人」という台詞があり、この表現もまたきれい。そしてこの言葉に触発されて僕自身が昔好きだった人のことを思い出してモヤモヤしてしまったのである。主人公たちとピッタリ同い年ということで作中での過去のイベント、流行りもの、今抱く感情がドンピシャ過ぎるがゆえ、余計に影響されているのかもしれない。

その昔好きだった人(Sさん)は、同じ大学同じサークルの後輩。食事に行ったこともある。普通の人間関係としては良好。こちらには好意があった。ちなみに当時Sさんにはパートナーはいなかった(当時本人談)。

ではなぜ告白できなかったのか。①自分から告白した経験がなかったから。学生時代お付き合いしていた方(Nさん)とは向こうからの申し出だった。②Sさんに好意があった時点で、Nさんとは別れる寸前ではあったが、まだ別れていなかった。二股は絶対したくなかった。③自分が間もなく卒業して大学のある街を離れることが決まっていた。Sさんも翌年には地元に帰ることが半ば既定路線的に決まっていた。簡単に例えると、名古屋にいて、自分は大阪、Sさんは東京に出て行くようなもの。離れ離れになることがわかっているような状態でお付き合いを申し出ることが許されるのかと思ったし、離れたあとに結局会えない不安ばかりが大きくの将来が見えなかった。

結局自分の中で考え込んでいるうちに一歩も踏み出せず卒業式を迎えた。その後に何度かSさんと会う機会はあったが、それでもできなかった。Nさんとの関係は解消していたが、もはや遠くに住んでいる知り合いレベルになってしまった人からそんな申し出をされてもSさんにとって迷惑でしかないとまたもや勝手にに思い込んだ。LINEのやりとりは不定休ながらも1年ほどやりとりがあったが、2020年1月の新年の挨拶で止まっている。会えなくなって3年。

話は変わって、年齢的なものもあり、新卒で始めた仕事も一段落して新しい出会いが欲しくなった。コロナ禍もあって出会いの場がなく、試しにマッチングアプリとやらに登録してみた。紆余曲折を経てある方(Kさん)とマッチし、これまでに何度か会っている。同じような趣味があるので話は楽しいし、それぞれの私物を貸し借りし合う程度の仲にはなれている。しかし、これが恋愛的な好意なのか、もしくはそういう好意に繋がるものなのか、はたまた単純に友だちができたレベルの好意なのかがわからない。考えてみれば出会い方がそもそも自然な流れと逆なのだと思う。【恋愛における最初のゴール=恋人関係という目的先行→出会う→意識的に相手のことを知ろうとする→仲良くする(実際は仲良くなれるかなれないかはわからない)】という出会い方だから、相手に好きになってもらえるように、相手を好きになれるように、と出会った後に好きになる努力が必要なのである。自分の人生の系譜になかった人間が突然出て来るように感じた。【知り合う→仲良くなる→自然と相手のことを知る→好意→恋愛に発展】が自然で理想的な流れだと思って生きてきたから、感情が迷子になるのもわれながらわからなくはない。ここで、では自分が好きなのはどういう人なのかと考えを巡らすようになって行き着いたのがSさんである。(なぜSさんかは長くなるので省略)

大学や職場の同期たちが婚約したり結婚したりしている。年齢的にこれは当然。意外にも自分のまわりの共通点。それは、遠距離恋愛を乗り越えた結果の幸せ。中には今も遠距離というカップルもいる。

ということは、僕が勝手に将来に不安を抱いてばかりで何もせずにいたのと同じ時期に行動に移した者たちは時が経って、僕が心配していた不安を見事に乗り越えたということである。まわりのそういう幸せな声を聞くともちろん祝福するが、同時にもしあの時…とかんがえてしまうとものすごく心が締め付けられるような気持ちになってしまう。まさしく後悔先に立たず。

話はそれるが、職業柄転勤はつきものだから、どこかで誰かと出会えて仮に結ばれたとしても離れ離れになるタイミングはこの先少なからずあるということに今さら気づいた。だったらなおさら離れ離れになることを理由にためらった自分が悔やまれる。

では、会わなくなって時間が空いてから交際を申し出るのはアリなのかナシなのか。経験的にはナシ。Nさんは高校の先輩だが、自分が高校を卒業して2年ほど経ってから交際した。空いた時間で新しいコミュニティに属し、自分の気持ちが相手に十分向かなかった。そもそも先輩後輩という関係がよくも悪くも崩せず、先輩後輩の関係のままの方が楽しく、それで十分ということでお別れした。Sさんは自分の後輩である。ここで自分がされたのと同じようなことをしてもいいものなのか。結局立場逆転でまた同じ感情になって同じ結果を迎えるのではないか。僕のよくないところで、結局また悩んでばかりで行動に移せずにいる。

一方で、当時無駄に勝手に決まってもいない将来に不安を抱き、勝手に結果を決めつけ思いを伝えられず後悔した事実を認め、まわりの例にならって、再び思いが大きくなっている今、改めて行動すべき時が訪れていうのかもしれないとも考えられる。

20代半ばのもういい大人が恋愛ドラマに触発されていることも、それによって恋愛経験のない大学入りたての大学生のような悩みを抱えていることも恥ずかしい。もしあの時…という妄想に近い想像だけがどんどん深くなり、ドラマの脚本にでもできそうなほどである。

みなさんどう思いますか??人に相談できない性(たち)でいつも悩んでも自力で結論を出してきた僕がこればかりは答えを出せずにいます。ご意見、アドバイスたくさん頂けたらうれしいです。どんなご意見も受け止めます。

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