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「感動ポルノ」と「バリバラ」の間で
映画において、ドキュメンタリーとフィクションの区別がほとんど意味をなさないことはよく知られている。ドイツの社会学者であり映画理論家であるジークフリート・クラカウアーは、『映画の理論』と題された書物の中で、ドキュメンタリーを物語のない映画と定義し、実験映画と「事実の映画film of fact」とに分類している。クラカウアーは、「事実の映画」をさらにニュース映画、ドキュメンタリー、芸術についての映
もっとみる過ぎ去ることのない(非)記憶-アラン・レネ『ヒロシマ・モナムール』から原爆の芸術的表象について考える
『ヒロシマ・モナムール (Hiroshima, mon amour)』(邦題『24時間の情事』。以下『ヒロシマ』と略)は、フランスの映画監督アラン・レネが、作家マルグリット・デュラスにシナリオを依頼する形で製作され、59年のカンヌ映画祭で非公式な形で上映された映画作品である。非公式だったのは、広島への原爆投下という題材の性格から、アメリカの反感を買うことを作品をセレクションする委員会が恐れたから
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