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憲法#8 人権の享有主体

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外国人と人権


【ポイント】
日本国憲法下で認められるかどうかは「性質説」による。

参政権→認められない

政治活動の自由→完全には認められない(マクリーン事件)
再入国の自由→認められない(森川キャサリン事件)
入国の自由→認められない(国際慣習法)

公務員就任→権力的立場への就任は認められない

社会権→日本国民を優先しても違憲ではない

法人の権利


【ポイント】性質説をとる。法人はあくまでも目的(定款)の範囲で権利の主体となる。

政治献金や政治活動の自由→一般的法人には認められるが、税理士法人などの強制加入団体には認められない。

パターナリズム

国家が父権的、保護者的に国民を保護するために規制をすること。未成年の飲酒や喫煙の制限、麻薬の使用など。

天皇及び皇族と人権


民事刑事、及び国事行為において責任を問われない。婚姻や職業選択などで制約あり。

在監者と人権

当然だが在監者にも人権は認められる(特別権力関係があるとは現在では認められない)が、正当な理由がある場合は一部、制約される場合がある。
→そもそも身体の自由を制限している。
→在監者が私費で購入している新聞の記事を黒塗りにして渡すことができる場合がある。
→施設や在監者の管理のために、喫煙を制限することができる。


問題演習

次の設問につき、その回答を◯か×で答えよ。

①基本的人権の保障は、権利の性質上、日本の国民のみをその対象としていると解されるものを除いて、 日本に在留する外国人に対しても、等しく及ぶ。

→◯ 憲法における人権規定は性質説をとり、外国人はその権利の性質上可能であればそれを享受することができる。

【コラム 性質説と文言説】
 憲法の人権規定につき「何人も」という規定がある場合、通説や判例の立場は性質説をとり、性質上可能な程度で認められる。
 学説には文言説という異説もあり、形式として「何人も」という文言があれば、それにより制限を設けない。したがって、この場合は日本国民と同様に、外国人も権利を享受できると考えられる。
 
②外国人には、国政選挙に関する選挙権は保障されない。

→◯ 国民主権という性質を鑑みて認められない。

③地方議会議員の選挙権を外国人に与えることは、その者が永住者等であって、その居住する区域の地方公共団体と特別に緊密な関係を持ったものであっても許されない。

→× 最高裁判決平成7年2月28日
   外国人に地方議会の選挙権を与えることは憲法上禁止されているわけではない。すなわち、立法問題として付与しても、しなくても司法上は問題ないということである。
 

④日本国民である職員に限って管理職に昇任することができるとする措置を執ることは、在留外国人である職員に対する不当な区別であり、憲法に違反する。

→ 合理的な理由による区別であり違憲ではない。本問は管理職公務員という、権力を行使できる立場に外国人が就けることができないというのがポイントである。逆に言えば権力的な立場にない公務員であれば外国人も就くことができる(国立大学職員や現業職など)。

⑤社会保障上の施策として、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うこととしても、憲法に違反しない。

→◯ 最高裁判決平成1年3月2日

⑥外国人には、日本から出国する自由とともに、日本に入国する自由も、 意法上保障されている。

→× 出国する自由は認められているが、入国の自由は認められていない。再入国も認められていない(森川キャサリーン事件)。

⑦日本に在留する外国人には、憲法上、外国へ一時旅行する自由が保障されているため、この者の再入国を不許可とする処分は憲法に違反する。

→× 外国人には外国に一時旅行する自由は認められていない(森川キャサリーン事件)。つまり、海外に旅行した在日外国人が再入国できるかは行政判断となる。なお、出国の自由は国際慣習法により認められている。

⑧日本に在留する外国人にも、原則として、政治活動の自由の保障が及ぶから、在留期間中に政治活動をしたことを考慮して、 在留期間の更新を拒絶することは、憲法に違反する。

→× 外国人に政治活動の自由は認められない(マクリーン事件)。これも性質説より導かれる。

⑨個人の私生活上の自由の一つとして、 何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有するため、国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制すことは許されず、 また、この自由の保障は、 我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ。

→◯ なお、上記の判例最高裁判決平成7年12月15日(指紋押捺拒否事件)当時の外国人の指紋押捺登録については違憲ではない、戸籍などで管理のある日本国民とは違う管理の方法が求められ、それ(指紋押捺登録)が合理的と判断されている。ただし、現在では方法として終了している。

⑩外国人に対して、外国人登録原票に登録した事項の確認の申請を義務づけることは、申請者に過度の負担を強いるものではないため、許される。

→◯ ⑨の続きである。

⑪法人も、自然人と同様、社会の重要な構成要素として実在しているため、権利の性質上可能な限り、人権の保障が及ぶ。

→◯ こちらも性質説をとる。

⑫会社も政治的行為をする自由を有するが、政治資金の寄付は、政治の動向に影響を与えるため、国民による寄付とは別異に扱わなければならない。

→× 政治資金の寄付は約定所定の範囲内の行為である。株主は気に入らなければ株式を処分すればよいだけ。

⑬税理士会が特定の政党に政治献金をすることは、 それが税理士法の改正に関わるものであったとしても、税理士会の目的の範囲外の行為である。

→◯ 一般的な営利会社とは違い、税理士会は税理士がその業務をする限りは必ず所属しなければならない強制加入団体となる。そのため、どの政治政党を支持するかは各人に委ねられなくてはならない。

⑭司法書士会が強制加入の団体であることを考慮しても、 大震災により被災した他県の司法書士会への復興支援の寄付のための負担金を徴収することは、司法書士会の目的の範囲を逸脱するものではない。

→◯ 司法書士会も強制加入団体だが、会の相互扶助は目的の範囲内の行為である。また、多少の負担金(登記一件につき数十円らしい)の徴収が会員の思想や信条を制約するとは考えにくい。

⑮公立中学校の内申書に「全共闘を名乗ってビラまきを行った」などと記載することは、これによって、 その者の思想や信条を了知しうるから、その生徒の思想・良心の自由を侵害する。

→× 内申書の記載によってはその生徒の思想や信条を了知しうるものではない。 
 最高裁判決昭和63年7月15日

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