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民法#60 用益物権①

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【コラム 物権概論】
→物権は一物一権主義、物権法定主義など原則がある。後者ゆえに、数えるほどしか物権はない。
①本権と占有権


前者は占有を正当たらしめるための物権であり、後者は事実上の支配に対して一定の権利を認めたものである。

②所有権と制限物権
所有権に対して、その権利を制限して特定の範囲で認められる物権がある。用益物権や担保物権がある。

③用益物権と担保物権
前者は他人の土地を特定の利用をするための権利で、地上権、永小作権、地役権、入会権がある。後者は法定担保物権、約定担保物権にわかれて、留置権、先取特権および質権、抵当権がそれぞれ法定されている。

【復習 物権と時効】
→用益物権は取得と消滅において時効援用可能である。
→不動産賃借権は時効取得が可能である。
→消滅時効について


①債権は主観的期間が5年、客観的期間が10年で消滅時効にかかる。
②所有権は消滅時効にかからない。
③債権や所有権以外の財産権、すなわち地上権や永小作権、地役権は権利を主張できるときから20年経過することにより消滅時効を援用することができる。

地上権について


→他人の土地にて工作物や竹林を所有するための権利
→地上権者は登記請求権を所有者に対して有する。
→賃料は特約がなければ要さない。ただし、特約があり、地上権者が二年以上滞納している場合は所有権者は地上権の抹消を求めることができる。
→地上権に法定の存続期間はないため、永久利用を登記することも可能である。期間の定めがない場合、所有者は期間を定めるよう提訴することはできる。
→工作物や竹林を収去する場合は地上権者はそれが権利であるとともに、現状回復の義務を負う。また、所有者が工作物や竹林を買い取る申し出がある場合はこれを拒むことはできない。
→譲渡や賃貸の禁止の特約をして登記しても第三者には対抗できない。ただし、通常の当事者間の債権上の問題は生じる。
→地下や空間の上下の一定の範囲につき工作物を所有する区分地上権も可能である。ただし、竹林所有には適用されず、また他の土地利用者がいる場合は全員の合意を要する。
→期間の定めがない場合、地上権者はいつでも地上権を放棄できる。ただし、地代を支払う必要がある場合は一年前に予告、若しくは期限到来していない一年分の地代を支払う必要がある。

【コラム 地上権と賃借権】
①地上権は物権で賃借権は債権である。
 したがって、前者は賃貸や譲渡ができるが、後者は許諾なくして原則できない。
②地上権にて所有者に登記義務があり、賃借権にて賃貸人は賃借人のために登記義務を負わない。ただし、借地借家法の修正あり。
③地上権にて所有者には土地の修繕義務はないが、賃借権にて賃貸人には土地の修繕義務がある。賃貸借契約とは、賃貸人は賃借人がきちんと利用や収益ができる状況を提供する義務を負うものである。

【復習 不動産賃借権の物権化】


①民法上、不動産賃借権は登記をすることにより第三者対抗力をもつ。ただし、賃貸人に登記協力義務はない。
②借地借家法により、引渡しを受けた居住用建物は登記なくして第三者対抗力をもつ。
③借地借家法により、土地に賃借権の登記がなくてもその上に建築された建物所有権が登記された場合は土地の賃借権は第三者対抗力をもつ。
④物権化された賃借権において物権的請求をすることも可能である。

永小作権


→他人の土地にて工作や牧畜をする権利
→小作料を支払う必要がある。
→期間は20年~50年で、それを越えた場合は50年とみなされる。
→地上権と同様に物権であるため、譲渡や賃貸借は可能であるが、地上権とは違いそれを禁止する特約を登記した場合、第三者対抗力をもつ。
→収去については地上権の規定が準用される。すなわち、それは権利であるとともに、現状回復の義務を負う。
→地上権同様に、権利を放棄してもその権利につく抵当権までは放棄できない。抵当権の権利を害することはできない。

【コラム 存続期間】
①一般的な賃借権は50年を越えることはできない。越えても50年とみなされる。借地借家法の適用がある場合は同法が優先される。
②地上権は存続期間の法定がなく、永久利用で登記することも可能。存続期間の定めがない場合、所有者は定めるよう提訴することは可能。
③永小作権の場合は20~50年であり、それを越えると50年とみなされる。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①地上権は一筆の土地にも設定することができる。

→◯

②賃借権設定の登記のある土地でも、賃借権者の承諾を得ることなくその土地の地下の一定の範囲に工作物の所有を目的とする地上権を設定することができる。

→✕ なお、地下や空間における区分地上権は、他に土地の使用収益をする者がいても、その者の全員の承諾があれば設定することができる。

③地上権者が引き続き二年以上の地代を怠った時は、その土地の所有者は地上権の消滅を請求することができる。

→◯ 民法266条、276条

④地上権や不動産賃借権は時効取得することができる。

→◯

⑤地上権の設定において、存続期間を定めなかったときは、設定者は裁判所にその存続期間を定めるよう請求することができる。

→◯

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