読了 『海』 小川洋子著
初めての小川洋子さん。
『博士の愛した数式』はかなり昔に映画で観て、なんて優しい世界なんだろうと胸の真ん中にポッと火が灯るようだった
とはいえ、かなり以前なのでお話はうろ覚え
心のどこかで気になっていたところ、古書店で文庫本を見つけ、買ったものの積読状態^^;
先日図書館に本を返却に行き、書架の間をウロウロ歩いていたところ、題名に惹かれて手に取りました
この本は7つの短編集
・海
・風薫るウィーンの旅六日間
・バタフライ和文タイプ事務所
・銀色のかぎ針
・缶入りドロップ
・ひよこトラック
・ガイド
「海」で謎かけのように置かれたエピソードはそのまま解されることもなく放置され、“ああ、こういう終わり方か”と諦め、一旦本を閉じて余韻を楽しむ
「海」だけで一冊出来てしまいそうなのに
気を取り直して読んだ次の「風薫る〜」ではエッ!と呆気に取られた
お話は面白い。展開を楽しみに読み進めるとプツン、と唐突に終わった
またもやこういう終わり方かぁ・・・
このところ読んでいた聖典以外の本は、ドキュメンタリーか起承転結の『結』がはっきりとしたもの
長編が多かったというのもあるけれど
映画の『博士の愛した数式』が先入観としてあったせいか、想像していた世界と全然違っていて、正直戸惑いました
こういうタイプの小説、掌編、と認識を新たに読み進めました
好きなのは
・海
・ひよこトラック
・ガイド
ここまで書いて、奇妙に心に残る一編としておこうと思った「バタフライ和文タイプ事務所」も実は「好き」なんだな、と気づく
「バタフライ〜」の静かに潜行していく展開、分かりやすい描写は全くないにも関わらずエロティック・・・色気を感じます
正直、ドキドキしながら読み進みました
こんな感覚のお話は初めてだなぁ
このお話も唐突に終わるので、ふいに扉をバタン!と閉められたような気分になるのですが、不思議と後からじわじわくる
活字管理人がそこに至るまでの人生をふと想像してみたりして
「ひよこトラック」と「ガイド」は分かりやすく心温かな世界
その中に、ピリリと効いているのがきっと、小川洋子さんらしさなんだろう
読み終わってしばらくすると、いつの間にかその世界がしっかり私の中にくっきりと刻み込まれていて、ふとした瞬間に浮かび上がってハッとする
『海』はそんな一冊でした
借りて良かった
小川洋子さんの本はもう一冊借りています
『ことり』
これもまた、楽しみです(^ ^)
どうもありがとうございます! 感謝感激、雨あられ♡