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【読書記録】ケン・リュウ「心智五行」アフターコロナの行き着く果ての物語

物語は二等科学士の女の子タイラ・ヘイズのパーソナルAIアーティとの会話で始まる。調査船ダンデライオン号は265名の乗組員とともに爆発し、タイラは絶望的な状況の中父親の言葉を思い出してポッドの最後の動力を使い五万光年のハイパースペースジャンプを試みた。「自分の直感(ガット)を信じろ」。その先には未知の恒星系の未知の惑星ティコ409。
 もしこの我々が直面する新型コロナと戦うため、マスク、換気、滅菌の世界を突き詰めるならその先にある世界はどんな形だろう。そんなことを考えさせられる短編小説。
宇宙のどこか辺境に中国から派生した民族の末裔がいて、そこでは漢方の様な「西洋的に科学的根拠はないが経験上うまくいく」様々な知恵が発達した文明があったら。2つの世界を跨いだボーイミーツガールがあったら。そんなお話です。
タイラとファーツォン交互の視点で語られる話の組み立ても良い。
どちらの世界が優れているわけでなく、お互いをリスペクトし融合していく、そんな予感の中で物語が終わるのも爽やかで気に入ったのでした。


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