ひさびさのフォロン展
1986年3月の多感な少年期に親戚から貰った券で、ミシェル・フォロン展を見に行った。展示作品はリトグラフやエッチング・アクアチントが多かった気がする。あの時はおみやげに図録と絵葉書を買ったっけ、、、。図録はもしかして物置に残っているかもしれない。
そして、またフォロン展がやって来る。ジャン=ミシェル・フォロン (Jean-Michel Folon、1934-2005) は既に亡くなっているが、浮遊感を伴う幻想的な作風は今も色褪せない。既に東京での展示は終わり、名古屋と大阪での展示が予定されている。懐かしさも手伝ってチケットのプレゼントに応募した。
人間と思われる生き物の頭部から腕が何本も出ているのに、不思議とフォロンが描くと気持ち悪さはない。指された指の先には何があるのだろうか。
緞帳と舞台の奥には、島々を背にした汽船が見える。よく見ると船はゼンマイ仕掛けのようだ。いつまで航海を続けられるか、ひとときの夢なのか。
個人的な連想だが、もし「ゴールデン洋画劇場」のオープニング映像を、フォロンが手がけていたら、どんなにイマジネーションが膨らんだことだろう。つい叶わぬ空想を弄んでしまった。
フォロンの作品には、ちょっと皮肉っぽい意図が見えるのも、強く印象に残っている。しかし、決して悲観的ではなく、人間の尊厳が侵されることへの警鐘と捉えるべきであろう。
しばし空想に浸りたい方は出かけてみるといいだろう。