Canvaが便利すぎて困る。
Canvaが便利すぎて困る。
オーストラリア発のグラフィックデザインプラットフォーム、『Canva』。
無料であらゆるデザインが作成でき、とても重宝している。
デザインが分からない素人でも「なんとなくそれっぽい」モノが作れるため、SNSの投稿やアイキャッチ作成などで使用している人も多いだろう。
Canvaを使いだして以来、イラレを触る機会がめっきり減ってしまった。
ちょっとしたデザイン――例えば記事のアイキャッチ程度なら、ササっとCanvaで作れてしまう。
もともと、たまーにデザイナーとして仕事をしていたとはいえ、私のAdobeスキルは低い。フォトショやイラレを最大限のパフォーマンスで使えているかと聞かれると、答えはNOだ。
デザイナーの仕事がまったく入ってこない月は、「Adobe CCの月額料金がムダじゃね?」と思うほど、ぶっちゃけ使いこなせていなかった。
そんな時に出会ったCanva。なんだコレは! と、とても感動した。
ちょっと弄るだけでソレっぽいデザインができる。テンプレートも豊富だし、テンプレをちょちょっと改変するだけで素敵なデザインが生まれる。
考え付いた人ありがとう。あなたが神か。
そう、私はイラレとフォトショに嫌われている女。
私のように、デザインが苦手(デザイナーを名乗っているくせに)で機械が苦手な人間にとって、Canvaはまさに救世主だった。
とはいえ、Adobeを触っていた人間からすると、物足りない箇所は出てくる。
例えばフォント。割と多くのフォントが用意されているとはいえ、種類は限られている。
自分でフリーフォントを探したり、有料フォントをDLしてカスタマイズしたりするほうがデザインの幅は広がる。
「このデザインにはこういうフォントを使いたいな」と思っても、Canvaでは外部からDLできない。課金すれば使えるものも増えるが、それだって決して豊富とはいえない。
おそらく、デザイナーなら分かってくれると思うが、イメージに合ったフォントを探したり、タイポグラフィーを作成したりするのは楽しみのひとつだ。
以前はそういった作業を「あーめんどくさい」などと思っていたが、今になってそれも醍醐味だったんだなと気付いた。
デザインのアウトラインができて、ディティールを調整しようと思った時も、なんだかんだAdobeのほうが融通が利く。
単に使い慣れているから。その理由とは別に、「Canvaは大枠のデザインは作れても細かいデザインは作りにくい」という特徴があるように感じる。
断言できないのは、私がそもそもCanvaを最大限に使いこなせていない可能性があるからだ。
昔から説明書を読むのが苦手で、とりあえず触りながら覚えようというタイプだった。
だから、手持ちのタブレットPCにしろ各種ツールにしろ、多分まだまだ私が知らない機能があるんだと思う。
8年使用しているSONYの一眼レフですら、きっと私が知らないツールが隠れているかもしれない。
まぁとにかく、そんな人間にとって直感で「なんとなく」使えるCanvaは便利でありがたいツールだ。
それと同時に、その便利さはデザインの発展を妨げているかもしれないと感じた。
私が共同運営で関わっているメディア「ナナミル」では当初、代表のうさたそ氏がすべてのアイキャッチを作ってくれていた。
できあがったアイキャッチは、「こんな風に素敵に作ってくれてありがとう!」と思うものもあれば、「ちょっと待て代表、なんでこんなデザインにしたんだ」と頭を抱えるものもあった。
忙しいなか作ってくれているので、感謝こそすれど文句は言えない。
が、「ちょ……これは……あかん……」が何度か続いた結果、やんわりと提言することにした。
参考までに、代表が作ってくれたアイキャッチをご紹介しよう。
①めっちゃいいやん!!代表ありがとう!!
②なにがどうしてそうなった?
弊社メディアは現在、SEOではなくTwitterからの流入を主としている。そのため、アイキャッチ(サムネイル)はかなり重要だ。
ストレートに言うと、サムネがクソなら読んでもらえない。
(上のUber Eats記事に関しては、サムネイルのインパクトがナナメ上だったせいか、意外とアクセスが多かった)
ナナミルのサムネは統一感がなかったため、「まずは大手メディアのサムネから勉強しよう」と、大手メディアのサムネデザインの傾向を並べ、基礎中の基礎の解説をした。
どこにタイトルが配置されていて、写真をどういう風に見せていて、何を意識しているか。
私だってデザイナーを名乗っているとはいえ、素人に毛が生えた程度なので、あまり偉そうに深い解説はできない。
それでも、基礎中の基礎を伝えるだけでも、デザインに関して素人だった代表の意識は変わったようだ。
「デザインなんて全然分からないから、とりあえずCanvaのテンプレートを使っておけばいいと思っていた」
代表から出たこの一言は、ツールが便利になりすぎたゆえに「デザインに対する理解」が低下したことを象徴しているだろう。
確かにCanvaのテンプレートを使えば、それっぽく見える。しかし、デザインの基礎が分かっていなければ、適切なテンプレートと適切な素材を組み合わせることはできない。
「なんとなく」で組み合わせても、どこかズレたデザインができあがってしまう。
デザイン関係の話を代表としていると、「私はセンスが無いから……」と彼女はよく言う。
センスが無いのではない。デザインを知らないだけだ。センスなんて、勉強してアウトプットを続ければそれなりに身に付く。
ツールが便利になりすぎた結果、使う人間の理解や技量が向上しない問題は、何もデザインに限った話ではないだろう。
余談だが、弊社「ナナミル」では代表の負担軽減の観点から、ライター各自でアイキャッチ作成までやることになった。
さて、困った。
今まで編集部内でデザインに関し散々偉そうなことを言った手前、クソみたいなサムネは作れない。
ここ数年まったくやっていなかったデザインの勉強も再開せねば。
とりあえず、MdNでも読もう。
インプットしなければアウトプットはできないのだから。
(このnoteを公開するにあたり、どう見ても代表をdisっていると捉えられかねないので、事前に謝っておいた。代表ごめん、disってないよ、いつもありがとうございます。)
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