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#168 X(Twitter)に嫌気がさして、アカウントを削除した話

 X(Twitter)との付き合いは長かった。2009年の5月に最初のアカウントを作り、そこから12年間、日常の何気ないことをつぶやき続けた。

 しかし、このアカウントは2021年に閉鎖した。理由は、「12年も経てば、人はちょっと大人になる」からだ。もはや、過去の自分が何を発言したのか、さっぱり覚えていないし、思想や価値観も変遷している。

 それに何より、過去のポスト(ツイート)をかき集めれば、容易に個人が特定できるな、と感じていたからだ。もう少し、リテラシーの高い付き合い方をするためにも、一度リセットしておきたかった。

 そして新たに開始したのが、このアカウントだ。主に映画のことしか呟かない、個人が特定できるような情報や、炎上しそうな発言も自制する(したことはないけどね…そんな影響力は持ち合わせていないのだ…)年齢性別不詳な、ただの映画好きのアカウントだった。

 プライバシーを制御して発言していたため、フォロワー数に対して、人との交流はほとんどなかった。それでも、お互いに「いいね」を押す関係のアカウントさんは数名いて、それだけでも十分だった。

 COVID-19で大作映画が次々に公開を延期する中においても、まだ慣れないマスクを着用して、ときおりメガネを曇らせながらも映画館に通い続けた。シネコンも、ミニシアターも、行きたいシアターや観たい作品があるならば、多少の遠出も厭わなかった。

 映画関連のアカウントを沢山フォローして、自ら「界隈」の情報が沢山入って来るようにしていたから、観たい作品はどんどん増えてゆき、それを追いかけては感想をつぶやく。すぐに「いいね」がつく。それでよかった。

 潮目が変わったのは、ここ1年。いわずもがな、イーロン・マスクがTwitterを買収して以降の、様々な改悪があってからの話である。この頃、わたしは既に心身の不調を抱えており、映画館に通うペースも落ちていた。

 かつては、有名人が本人であることを証明するために存在した認証バッジのシステムが、課金ユーザーの証明に変更され、その信頼性を失った。そして、課金ユーザーのポストが優先的に表示されるアルゴリズムへ変更が行われ、更には、多くの反応を獲得したアカウントに収益が支払われる仕組みに変更された。

 唯一まともな改善は、コミュニティノート(誤解の生じる可能性があるポストに、他者が補足や訂正のコメントをつけられる機能)くらいのもので、そのほかに有益と思われる改善はなかった。そして何より、無課金ユーザーであるわたしのポストには「いいね」がつかなくなった。きっと、タイムラインにさっと流れては消えていくのだろう。つまらなくなった。そう感じた途端に、これまで見てみぬふりをしてきた数々の疑念が、次から次へと湧き上がってきた。

 あの有名人が自殺をしたのは、SNSの反応を見たからではないか?軽犯罪でも面白おかしいネタならば、インフルエンサーに取り上げられて拡散し、殺人犯より有名になってしまう(そして、デジタルタトゥーとして残り続けてしまう…)のはやり過ぎではないのか?そもそも、報道機関の発信する情報よりも、SNSの「とある意見」が圧倒的に強い世界というのは、適正なのだろうか?そんな思いがグルグル周り、以下の記事を書いて、わたしはX(Twitter)と決別することにした。

 ここまで批判的に表現してきたが、心の声を代弁するクリティカルなポストをして、世界を動かす力(#MeeToo 運動など)や、報道が取りこぼしている現実を知らしめたり、自分は一人じゃないと感じさせる力も持っていた。巨大SNSは、その巨大さ故に、功罪の両方を巻き込みながらも膨張していくのだ。

 「わたしはこう思う」という市井の声、つぶやきの集合体が、報道や言論を打ち負かした結果がどうなるか。それが世界に良い影響をもたらすのか、あるいは不穏な陰謀論を撒き散らす装置となり、不寛容で硬直した世界を作るのか。それは、サービス提供者がユーザーのリテラシーをいかに高めていくか、という舵取りにかかっていると思うのだが、イーロンの選択は最悪だった。

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 上記の記事には、外部リンク付きのポストは表示の優先度が下げられる、とも書かれている。noteの記事をXにシェアしても、ほとんど反応がないと感じていたが、それも合点がいった。

 そして現在、噂話がLINEで伝わり、Xで拡散されたことによる重大なデマがこちらである。

※こちらの記事にも、プレゼント機能を設定しています。興味のある方はご覧ください。3月5日 11:31まで有効です。

 もはや、Xのアカウントを維持する気が失せた。Twitter創業者のジャック・ドーシー氏が始めたBlueskyには興味があるが、今はそれもやめておこう。今のところは、文字を書く体力を、このnoteだけに使いたい。

 1,748フォロー、1,636フォロワー。削除したXアカウントの、最後の数字だ。数字が全てではないが、やはりわたしは、多くの人に読まれたい。独り言なら、日記に書けばいいのだから。

 というわけで、わたしのフォロバは100パーセントだ。気軽にフォローして欲しい。無言フォローも大歓迎である。

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