【簡単あらすじ】蜘蛛男・明智小五郎事件簿Ⅲ(微ネタバレ)【江戸川乱歩/集英社文庫】
あるビルに新しく入居した、美術商の稲垣という男。
英国紳士のような上品な威厳を持っているが、裏では残忍な殺人鬼という顔を持つ男でもある…
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あるビルに新しく入居した、美術商の稲垣という男。
稲垣は、机・いす・ソファー・絵画などの事務所内の調度品を電話で次々と揃える。
そして、準備の良いことに、事務員の女性を雇用するために既に「新聞に募集記事」を掲載していた。
しかし、その記事を見て事務所へ面接に来たほとんどの女性を「すみませんが、その求人は決まってしまいましたよ」と話す。
その後ある女性が面接に来ると、稲垣の態度は変わり様々な質問をしその女性を雇うことになる。
そして、稲垣は言葉巧みにその女性を自宅に連れ込み、殺害してしまう。
その後も、自分の好みの女性を仲間の小悪党の平田青年とともに〇してしまうという凶行を続ける稲垣。
殺害した女性をバラバラにし、石膏で固め、それを学校など各地に販売するなど世間の恐怖は高まる。
この、世間を大騒ぎさせている事件に、日本のシャーロックホームズと呼ばれる犯罪学者の畔柳博士とその助手の野崎青年、そして海外旅行から帰国した明智小五郎が挑む。
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題名にもなっている「蜘蛛男」とは、犯人の特徴が蜘蛛に似ている、蜘蛛を利用した殺人やトリックを使う、という訳ではありません。
気持ち悪さをウリにして笑いをとっていた実際の芸人さんがモデルになっているそうです。
大変失礼ですが、上記を読んだ際に私は「アンガールズさん」を思い出してしまいました笑
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次々に女性を殺してしまう稲垣(仮名)と平田。
それに対抗するために、畔柳博士と平田青年が警察と協力していきます。
稲垣は、初めは誰にも知られないように、ひっそりとターゲットを定め殺害していたのですが、途中から警察に対して「青ひげ」と名のり、犯行予告を出すという大胆不敵な行動を取るようになります。
もちろん、警察の威信をかけてターゲットを守っているのですから、そう簡単に殺害をすることは出来ませんし、逆に畔柳博士らの活躍で追い詰められもしますが、あと一本のところで取り逃してしまいます。
そのようなことを何度か繰り返し、警察にも焦りが見え始めた頃、満を持して登場するのが、前作 中国・インドを三年ほど旅行して帰国した明智小五郎です。
さすがというべきか、帰国したばかりでありながら、一連の事件のあらましをざっと聞いただけで物語の真相に辿り着く明智小五郎。
連続殺人事件を止めることが出来るのか、そして青ひげ(稲垣)の正体とは?
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本作品は、今のミステリ作品と比較すると、
「犯人逮捕への詰めが甘い」「反撃してくる犯人に対しての備えが緩い」等のことや、あるトリックについて、土地勘が無い人にとっては「そんなのありか」と思ってしまうような大雑把なものになっている。
というところが気になるところですが、巻末解説の万城目学さんの解説を聞くと、とてもすんなり納得いきます。
本文と解説を一体に楽しむ作品です。
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