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エコロジーとは何か考えさせられる。


突然やらざるを得なくなったデジタル断食。

 青春18きっぷのシーズンが到来したことで、鈍行列車でケツの肉が取れる夢を見ながら旅をする季節となったが、帰路の列車内でiPhoneのバッテリー残量が20%を割った。

 デフォルト設定であれば、省電力モードを起動するか?とポップが出るが、旅先でのバッテリー切れを防ぐために、宿を出た満充電の段階で省電力モードをオンにしていると、単に残量が少ない警告となる。

 こういった時のために、モバイルバッテリー兼ポケットWi-Fiの、かつてワイモバイルから発売されていた変態端末を今でも使用しているが、いかんせん2015年に発売開始となった製品であるため、モバイル機器では化石に等しいが、iPhoneを充電する程度であれば、ヘタったバッテリーでも耐えられるため、大容量モバイルバッテリーを処分してから、ずっと使っていた。

 しかし、今回の帰路で悲劇が起きた。iPhoneが50%まで充電されたところで、バッテリーのインジケータが赤く点滅して、残量がなくなったことを告げられる。

 耐用年数を鑑みればモバイルバッテリーそのものは寿命だが、何よりまだ帰宅まで5時間近く時間があるのに、iPhoneの残量が50%しかなく、しかもど田舎あるあるで街灯もなくガチ暗い道を通らなければならないから、最寄駅を降りた段階で20%ほどセーブしておかなければ、安心して夜道を歩けない。

 2時間程度使用したところで、iPhoneが再び残量が少ないと警告を出したため、仕方がないが電源オフで最寄駅まで過ごした。ある種のデジタル断食である。

処分方法が確立していないモノ。

 そんなインターネットから遮断された列車内で、地方ではモバイルバッテリーのシェアリングサービスがある訳でもないため、旅をするなら買い替え必須だと考えていた。

 しかし、そもそも既存のモバイルバッテリーを処分するのが面倒である事実は、買い替えたところで同じことを繰り返すだけで、この問題が解決するなら買い替えるべきだが、そうでなければ極力、使える限り使い続ける以外の選択肢が、事実上ないに等しい。

 とはいえ、仮にゴミとして収集してくれる地方自治体や、リサイクル回収ボックスを設置している家電量販店等であっても、リチウムイオン式で膨張したものは不可。となっている場合が多い。

 衝撃が加わった直後に発火する訳ではなく、何十分か後に発火するため、仮に発火してもいつどこの何が原因で発火したか分からない、文字通り時限爆弾の怖さがあるため、引き取りたくないのが業者側の本音だろう。

 しかし、だからと言ってリチウムイオン式の蓄電池に、知識もなく素人の域を出ない個人の消費者が、その時限爆弾のリスクを引き受けるのはおかしくないだろうか。

 そんなコスト面や技術面で処分に困るようなものなど、製造する側の責任で回収すべきではないかと思うが、今のところPL法を盾に訴訟を起こせる実害の段階に至らなければ、製造者側が責任を負っている感は見受けられない。

人間のエゴで、環境は破壊されていく。

 同じような問題は太陽光パネルも抱えている。SDGsや日本特有の原発アレルギーが相まって、再生可能エネルギーが脚光を浴びているが、近い将来その一角を担うであろう太陽光発電は、パネルの処分方法が確立されていない問題を抱えている。

 どっかの都は新築一戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務付けるやら何やらで、他の自治体も追従しているが、目先だけカーボンニュートラルを目指していますよ感を醸し出すためのパフォーマンスに過ぎない。

 パネルが寿命を迎えた時の廃棄方法や、そのコスト、エネルギー消費まで考えた上で太陽光を義務付けたとは到底思えず、恐らく20年〜30年先の未来で、技術革新でもない限り、大量の産業廃棄物に頭を抱える事態となるだろうが、その時にそれを決めた政治家はこの世に居ないだろう。

 日本人あるあるで、ルールに囚われて原理原則からかけ離れた方法を、トップダウンで決めて大失敗するいつものパターンである。

 本当に後世に健全な地球環境を残していきたいと考えているなら、処分方法が確立されていないモノを、無理に使ってまで目標達成しようとは思わないだろう。結局は自分が可愛いのである。

 そうした人間のエゴによって、地球環境はどんどん破壊されていく。その様子は実に滑稽である。

 少し前にエコカー減税などと、ハイブリッドカーが持て囃され、今やそれがミサイル呼ばわりされる程度に大衆に広く普及しているが、既存の乗用車よりも構造が複雑な分、製造過程でどれだけのエネルギーを余分に消費するかはあまり意識されていない。

 製造から走行し、廃車するまでに必要なトータルのエネルギー量を尺度にすると、ハイブリッドカーや電気自動車が、大衆が想像するほどエコロジーな乗り物とは言えない気がする。

 家電製品なども最近の光熱費の高騰で、省エネルギー製品への買い替えを勧められるが、本当に今使えているモノを処分してまで、買い換えることが果たして環境に配慮しているのか。自問自答してみる価値はあると思う。


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