若者は自民党、お年寄りは立憲民主党、就職氷河期世代は日本維新の会に投票する割合が多い年代別衆議院選挙の比例区投票先

 久しぶりのnoteへの投稿記事になりますが、今回は朝日新聞が興味深い世論調査(https://www.asahi.com/politics/yoron/shuinsen2021/?iref=com_yorontop)を行っていましたので、それに関する記事を書こうと思います。
 この世論調査の中で、私が最も気になった調査は、「仮にいま、衆議院選挙で投票するとしたら、あなたは、比例区では、どの政党に投票したいと思いますか。」という質問内容のものになります。しかも、この調査は年齢別にも調査結果を出しているので、各政党の投票する年齢層の割合も分かって来る調査となっています。今回はその調査結果を私なりに表やグラフにまとめてみたので、それを見ながら、コメントして行きたいと思います。

年代別衆議院選挙の比例区投票先(表)

 まず、各政党の年齢別の比例投票割合を見る前に、一番下の回答数推計に注目頂きたいと思います。この朝日新聞の調査は全国3000人の有権者を対象に郵送でアンケートを行ったものになるようです。うち返送された有効回答数は2175人だったようです。年代別の割合は、18、19歳2%、20代9%(20代以下で合算すると11%)、30代12%、40代16%、50代16%、60代16%、70代17%、80歳以上11%(70代以上で合算すると28%)で、年齢層の無記入も1%あったようです。全体の回答数2175に各年齢層の割合を掛けたものが、表の回答数推計になります。
 やはり、時間のある年配層からの回答数が多く70代以上は609票と推計されます。実際の票数は、割合の四捨五入もありますので、前後20票ほどのバラつきはあるでしょう。他の年代は40~60代が348票で、30代は261票、20代以下は239票と少なくなっています。より回答票数の割合が多い年配層ほど、実際の全体の数値に近い、正確な調査結果と言えるでしょう。

1.若者からの投票割合が高い自民党

 それでは、本題の各政党別の年齢層の割合を見て行きたいと思います。自民党は全体では46%となりました。比例区の投票先で46%ですから、これは自民党大勝となりそうな数値ですが、実際の選挙においては、もっと下がっては来るでしょう。それで、最も自民党に投票する割合が高かった年齢層は20代以下の若年層でした。実に51%と回答した過半数の若者が、選挙では比例区で「自民党」と書く予定のようです。次いで、30代と70代以上が48%と多く、40代・50代は44%で、最も割合が少なかったのが60代の43%でした。それでも43%ですから、相当多いことには変わりませんが、相対的に見ると、自民党は現代の「若者向きの政党」となっていることが調査結果から伺えます。この辺りは現代の若者の保守志向、もっと言うと、現状維持志向が出た結果ではないかと私は考えます。若者ほど、現在の自民党政権への不満は少ないようです。対して、中高年層が比較的、比例の投票先で自民党を選ぶ人が少なくなっています。自民党政権の源泉は若者からの支持にありそうなので、自民党に対抗する各政党は若者対策にもっと力を注いだ方が良いと言えるでしょう。

2.立憲民主党はシルバー政党

 次に立憲民主党を見て行くと、自民党とは逆の傾向であることが伺えます。すなわち、高齢者からの投票が比較的厚く、若者からの投票は少なくなっています。立憲民主党に投票数割合が最も多かった年齢層は60代で21%でした。この年代の自民党への比例投票割合は43%なので、約半分となっています。一番迫っている60代でも約半分の開きがあるのですから、この結果だけ見ると、かなり政権交代は厳しい状況だと言えそうです。今の60代は1950年代に生まれた、いわゆる「しらけ世代」と呼ばれる人々が該当しますので、しらけ世代に比較的支持されているのが立憲民主党と言えます。なお、団塊の世代は、それより1世代上で、1940年代後半に生まれた世代になりますので、今や70代に区分される世代になりました。そうした団塊の世代を含む、70代以上の世代も19%と、やはり立憲民主党全体の16%に対して、少し高めの数値となっています。以上のことから、立憲民主党は「シルバー政党」だと評することが出来るでしょう。現役世代で見て行くと、バブル世代の50代は15%、ゆとり世代の30代は14%で、さとり世代の20代と就職氷河期世代の40代が12%と、一番低い結果となりました。40代は10年前の政権交代時に「子ども手当て」を期待した世代であり、その手当てを裏切られた「子ども手当て詐欺被害者の世代」と呼べるので、後継政党的な立憲民主党に対する期待も低いようです。また、20代も12%と低く、これは同年代の自民党51%と比較すると、実に4倍以上もの差があります。この若年層の差が、自民党と立憲民主党の特に大きな差になっていると言えそうです。

3.就職氷河期世代の期待を集める日本維新の会

 そんな民主党政権に裏切られた、子ども手当て詐欺被害者世代からの期待を集めているのが、日本維新の会です。日本維新の会は全体では10%と立憲民主党の16%とは6%ほどの開きがありますが、日本維新の会への投票割合が最も高かった年齢層の40代では12%で、立憲民主党と並んでいることが、この調査結果で明らかになりました。この点は、この調査結果の中で最も強調しても良い部分ではないかと思います。立憲民主党は自民党に対抗するどころか、維新にも肉迫されているのが現実です。
 日本維新の会は30代、40代が12%と最も多く、次いで50代が11%となっているので、働く「現役世代の政党」と表現できます。20代以下では9%と、若者層は意外と少なく、70代以上に関しては8%で最も少なくなっています。この年代では立憲民主党は19%でしたので、2倍以上の開きがあることになります。高齢者の票で、まだ立憲民主党の方に分があると言えそうですが、これからその高齢者が亡くなっていくと、立憲と維新が互角の戦いとなり、野党第一党を巡る攻防も激しくなって来る、政界の近未来が予測される調査結果となりました。
 なお、こうやって書くと立憲sage、維新ageのように取られるかもしれませんが、あくまでも現実の調査結果から、こういう記事を書いているだけであって、私の政治信条自体は立憲age(特に若手世代)、維新sageです。もう竹中平蔵(パソナグループ取締役会長)さんなどに利権誘導するだけの構造改革政治こそ、改革すべきだと考えます。

4.ライバル政党、公明党vs共産党は年代別で見ると面白い結果に

 次に公明党と共産党について、両党をまとめて見て行きたいと思います。全体で公明党6%共産党5%と接戦になっていました。実際のところは、公明党が友達パワーで維新に迫って来るものだと思われますが、この調査結果だけを見ると、なかなか面白い結果になっています。公明党への比例投票が多かったのは40代、50代、70代以上で7%でした。高齢者だけでなく、意外と現役世代の中高年にも浸透しているようです。対する共産党が多かったのは60代、70代以上で6%でした。共産党も立憲民主党同様のシルバー政党と言えそうですが、意外と30代でも5%と健闘していました。そして、共産党はこの30代と60代で公明党を上回る結果となっていました。公明党は20代、30代が4%と低かったようです。少し前に社会問題となったブラック企業問題で、共産党は一部の若者層からも支持されるようになったと言えるのかもしれません。

5.国民民主党、れいわ新選組ともに20代と40代から支持

 最後に他の少数政党についても見て行きましょう。少数政党に関しては、これまたシルバー政党の社民党を除いては、若年層に一定の比例票を獲得できる素地がある調査結果となりました。20代以下では国民民主党、れいわ新選組ともに3%と、これは共産党に並ぶ数値となっています。また、40代でも同様に3%と、これまた共産党に並ぶ数値となっています。ネットを活かした戦略が一部の20代に浸透しているのと、積極財政を訴える姿勢が就職氷河期世代の40代にウケていると言えるのかもしれません。こうやって見ると、両党が合併して、「れいわ国民党」にもでもなれば、若年層から中年層に向けた政党として、相乗効果が期待出来そうなものですが、いかんせん原発政策では真逆の政党になるので、この辺りがなかなか難しいところになるのでしょう。国民民主党の方が高齢者からの比例票も少しあるのに対して、れいわ新選組は70代では0%となっている若干の違いはありますが、いずれにしても、年齢層の性質は似ている政党だと言えそうです。両党には、立憲民主党が苦手としている20代~40代の層を掴めるよう、維新にも負けずに頑張ってもらいたいところです。なお、色々と名前が変わる党は30代で2%と最も多くなっていました。この政党の軸は30代のようです。回答なしも全体的に10%程度あったので、各政党ともこうした層も掴みに行きたいところかと思います。

6.棒グラフでも示してみた

 最後に調査結果を棒グラフでも作ってみたので、参考までに掲載しておきます。自民党がダントツなので、自民党分を除いたグラフも作成してみました。

年代別衆議院選挙の比例区投票先

年代別衆議院選挙の比例区投票先(自民党抜き)

 こうやって見ると、各政党の年齢層別の傾向も視覚から何となく見て取れるかと思います。なお、私のnoteでは、参議院選挙の結果に基づく、次期衆議院選挙の比例議席予測の記事も書いていますので、もし宜しければ、そちらもご覧頂ければ幸いです。

新立憲編→https://note.com/researcherm/n/n1c90c50620ae
東日本編→https://note.com/researcherm/n/nae51c0e7668f
西日本編→https://note.com/researcherm/n/nc8e0a8efaa8c

 また総選挙に向けて、何か気になる調査結果などがあれば、取り上げて行きたいと思いますので、今後もnoteをご覧頂ければと思います。

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