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ハンパねえ食堂

 はい、こんにちは☀️

 突然ですがついにですね、見てしまったんですよ。昨日私はハンパないものを見てしまいました。……何がハンパなかったかと言うと食堂です。

 コ口ナ禍のこの時代、飲食業界は致命的な打撃を受けております。最近は以前と比べれば緩和ムードになっていますが(ゴールデンウィークなんかはほぼ無規制でしたね)かつての活気が戻ってきたとは言えず、依然苦戦を強いられております。

 そんな中、特に厳しい状況下にあるのが個人経営の飲食店ですね。大手チェーン店に属しスケールで戦える店舗と比べて、家族や仲間内で経営しているような小さなお店は圧倒的に不利です。

 しかしそんな向かい風を受けながら、大手に負けない輝きを放つ食堂を見つけてしまったのでご紹介いたします。迷惑がかかるとアレなので店名は出しません。気になる方はDMか何かで連絡をお願いします。

 舞台は長野県某所のお昼時、ある程度まとまった時間が取れた私は、昼食をゆっくりお店で食べようと思いました。せっかくならば新規開拓、未知のお店を探そうと思い立ったのです。

 せっかくなら味に予想がつくチェーンっぽい店よりも、個人経営の方が良いかと思いGoogle マップで周辺の小さそうなお店を検索しました。そこで見つけたのは住宅街にぽつんと立つ小さなお店。外観は簡素ですが星の評価は高く、隠れた名店であることが期待できます。「ネットに載ってる時点で隠れてねえよ」というツッコミは禁止です。正論です。

 道案内を頼りに店に近づくと見えてきたのはとても稼働中とは思えない古びた建物、店名の書いてある看板が一応かかっており、色褪せギリギリ読める「商い中」の札からオープンしていることがかろうじて読み取れました。

 少し怖気付いてしまい「帰ろうかな」と一瞬頭によぎりましたがその時、古びた引き戸から軋んだレールの音と共に学生のような2人組が出てきたため、思い切って店内に入りました。

 すると中には人、人、人!!広くない店舗ですが、座席が全て埋まっており、店内は活気にあふれていました。「もしや当たりなのか!?」と期待し、壁に貼ってあるメニューを一瞥すると、その人気の理由がすぐわかりました。

 鳥唐揚げ定食:400円 豚生姜焼き定食:450円
 親子丼:320円 カレーライス:320円、、?

 安すぎんだろ!!

 2022年とは思えないイカれた価格設定がそこにはありました。しかも周りの食事中のお客をみると、全メニューにサラダと味噌汁がついてるじゃねーか!?

 メニュー表という概念は存在しないようなので、壁に貼ってある品書きを一通りチェックしてみました。ええと、カツカレーが400円でトンカツ定食が450円、刺身定食も450円ね、……おかしい、絶対おかしいよ、、、、普段肉を食べない私は、とりあえず煮魚定食を注文してみました。なんと430円!!ワクワクしかありません。

 頼み方がわからないので、とりあえず目の前のキッチンで動き回るおじいさんに注文を伝えると

「いいよ〜」

 の一言であっさりと作りはじめました。え?伝票とかメモとかないの?というかパンパンに客入っているのに働いてるのは老夫婦2人だけ!?どうやってこの人数を捌いているのか疑問が浮かびます。

 すると、一人の若い男性がお盆に載った使用済み食器をカウンターへ運び始めました。ああ、な〜んだ店員さんいるじゃん。バイトの子か何かかな?


「ごちそうさま、お代はちょうどでテーブルに置いておきました。」

「いいよ〜」

 帰る男性。え?店員じゃないの??そして会計もしないで帰った!?!?

 食事を終えた別の客も食器を返し「お代は置いておきます」と言い残し店を後にしていきます。どうやらこれがこの店のルールのようです。食器の返却はフードコートのような形式、そして会計は完全に客まかせで稼働しているようです。伝票も記録あったもんじゃないので完全にお互いの信頼に基づいて成り立っているビジネスに見えます。何だこの店!?!?!?!?

 私が待っている数分の間にも、空いた席には次から次へとお客が座り、思い思いのメニューを注文していきます。鳥唐揚げ定食+納豆、豚唐揚げ定食(ご飯半分)、カツカレーなど地味にバリエーション豊かです。そんな幅広いオーダーを受けたじいさんは「いいよ〜」の一言で返すだけ、メモを取っている様子もありません。

 本当に大丈夫なのか?とりあえず待ってみてるけどちゃんと注文通ってるの?少し不安になったその時、トンッと無造作にサラダと味噌汁が目の前に置かれました。少し間をおいてご飯茶碗におかずの皿が続きます。オーダーちゃんと通ってたーー!?


 そして揃ったのがこちら

茶碗が欠けてるが気にならない

え?これマジで430円なの?訳がわかりません。あまりに安いからショボくてもいいやと思っていましたが、目の前に並ぶのはしっかりした定食、しかも湯豆腐までついてるじゃん!!うおおおおおおおおお!!

 そして気になる味の方も結構うまい。際立った特徴はありませんが安心感がある、まさに家庭的な美味しさでした。こうして私が料理を堪能してる間にもおっさんは「いいよ〜」を繰り返し、複雑なオーダーをボンボコ捌いていく。どんなCPUとメモリを積んでいるんだ😨

 食事を終え、いざ会計。「ちょうど置いておきます」以外の支払い方法を知らない私は、内心ドキドキしていました。小銭が足りなかったらどうやって精算するんだろう?そもそもレジのようなものが見当たらない、おつりは出るのだろうか。

 ……あった!小銭入れからジャスト430円を取り出し。他の客を真似てあのセリフを言いつつお代をカウンターに置き、店を後にしました。帰り道、すれ違うのはこの店へ向かう作業着の集団やチャリに乗った学生。この食堂マジハンパないって。

おしまい

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