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【書評】 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

著者のふろむださんが学習効率について書いた別の本に感銘を受け、手に取った本。

この本には、錯覚資産という概念とその重要性、活用方法が書かれている。

錯覚資産とは、ハロー効果、利用可能性ヒューリスティックス等々、様々な思考の錯覚のうち、自分にとって都合の良い、他人が抱く錯覚のこと。

物事の成功要因として、実力と錯覚資産がどちらも重要なのに対し、世の中の人の多くは実力を向上させることにリソースの大半を費やしており、結果として成功を妨げていると主張する。

錯覚資産が重要となる理由は、1つの成功がハロー効果等による錯覚資産(=他の物事の出来不出来に関する、他人からの事前評価、事後評価の嵩上げ)を生み出し、人材、資金等で恵まれた環境を生み、実力を底上げし、成功に繋がるためである。

まとめると、成功→錯覚資産増加→環境改善→実力向上→成功という好循環が生まれることになる。他にも好循環の例が2つ挙げられているが、いずれにも関わるものが錯覚資産とされている。

そのため、物事を成功に繋げる要因は、実力と運だけではなく、実力と錯覚資産と運であり、そのうちコントロール可能な実力と錯覚資産を共に向上させる必要があるのである。


次に、錯覚資産を向上させる手段の説明として、筆者はWebマーケティングの考え方を用いる。
(※以下の例は分かりやすさのために僕が内容を少し加工しました)

例えば、SNSのフォロワー増加数=PV(閲覧回数)、×CVR(コンバージョンレート、フォローされる確率)と定義すると、フォロワー増にはPV、CVRを共に引き上げる必要がある。

閲覧回数ばかりあってもフォローされる確率が小さければフォロワー数は増えないが、逆もまた真である。フォローされる確率を上げるだけでなく、閲覧回数を増やさないとフォロワーが増えない。

なお、フォローされる確率を上げることは実力を上げること、閲覧回数を増やすことは投稿を増やすことが当てはまる。実力を上げること、投稿回数を増やすことが共に必要になるのである。

ここで錯覚資産のことを考えると、フォロワー数の増加は錯覚資産(フォロワー数が多いなら凄い人に違いない)を生み、1投稿当たりの閲覧回数、フォローされる確率の両方の上昇に繋がる。また、実力のある人からフォローされ交流が生まれると、実力が向上し、フォローされる確率の向上に繋がる。

そのため、錯覚資産を築くには、実力のない時期からも人々に知ってもらう努力をすることが重要なのである。


以上のように、この本は、錯覚資産という概念を読者の頭に植え付け、自身の認知の歪みを目の当たりにさせられたうえで、錯覚資産の運用方法も提示する。

個人的な感想としては、様々な思考の錯覚については前知識があったので正直得られるものは少なかったものの、錯覚資産の概念とその運用方法を知れたのは大きな収穫でした。何かで具体的な成功を収めたい人は、読んでおいた方がいい本だと思います。


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