社長対談 コロナ後のホテル業界の現状とそこで起きているDXとは?人手不足を解消するロボット活用の可能性
コロナ後のホテル業界の現状とそこで起きているDXとは?
人手不足を解消するロボット活用の可能性
リ・プロダクツ株式会社・代表の高奥です。
今回は、私・高奥とホテル業界のスペシャリストである石原氏の対談企画をお届けします。
ホテル業界でのDXの可能性とは?ぜひご覧ください。
登場人物プロフィール
ホテル業界を揺るがす人手不足。
従業員を守るために必要な取り組みとしての法改正
髙奥:
まずはホテル業界の現状を教えていただけますか。
石原(敬称略):
日本ではコロナ禍を経て、インバウンド需要が再び高まってきています。
ホテルや旅館はどこも混雑していますし、もし宿泊先が確保できたとしても宿泊費がコロナ前と比較してかなり跳ね上がっているような状況です。
加えてこれから建設予定となっている各ホテルではラグジュアリー化が検討されていますので、単価の高騰は今後も続く見込みです。
その背景には、従業員を守る意図もあります。人手不足に直面している業界で、従業員を疲弊させないためです。
というのも、従来の法律では宿泊施設は空室があれば、一般のお客様の宿泊の依頼を断る権利がありませんでした。
残念ながら宿泊施設にお客様がお越しになる際に、コロナウィルス感染者であることを隠して予約される方も少なくなかったので、結果ホテルの従業員がクラスターとなり、感染症が拡大してしまうだけでなく業務にも支障が出るような事態も生まれていました。
実は国として2023年12月13日に旅行業法が改正されました。これまでとの大きな違いは、正当な理由があれば宿泊施設が利用の希望を拒めるようになったことです。
これにより、特定感染症の患者や、カスタマーハラスメントに該当するような過度な要求をされる方への対応により、宿泊施設のスタッフが疲弊してしまうことが防げるようになることも願っております。
髙奥:
法改正の根本には、従業員を守りたいという思いもあるんですね。一方で、お断りすることでホテルの印象が悪くなる可能性がありますよね。
石原:
仰る通り、そんな可能性も秘めています。断るかどうかは施設ごとの判断になりますが、人手不足や無理難題に対する対応力の限界も理解していただく必要性が高まってきている印象です。
人手不足に対するホテル業界の打ち手―3つの施策
髙奥:
やはり従業員の応募は減っているのですか?人手不足の現状で、具体的にはどのような施策が行われているのかが気になります。
石原:
はい、正直なところ応募が減少している職種やエリアも多くあります。コロナ前は、他の業界に比べて外国人雇用も進んでいましたが、コロナ禍で母国に帰った方も多く。さらに円安といった要因も加わり、なかなか人手不足は解消していません。
現在ホテル業界で行われている施策は、大きくわけて3つです。
①利用客の拡大 ―認知度や評判をあげて、いかに多くの新しいお客様にお越しいただくか
②単価向上 ―魅力ある商品づくりで、お客様の満足度をあげて価格を高めていけるか
③経費削減 ―品質を落とさずに、どのように経費を削減して利益を確保するか
但し、➀は人手不足もある為、②をメインにしている施設が多いかと存じます。また、➂においては人件費も経費の一つですから、業務効率化のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)はかなり推進されている印象です。
髙奥:
まさに弊社でも、宿泊施設で清掃の効率化を目的にお掃除ロボットの導入が広がってきています。
ホテル業界ではロボットをどのように活用していますか?例えば、外食業界での大手飲食チェーンなどでは配膳ロボットなども導入されるようになりましたよね。
石原:
タオルやシーツ、枕カバーなどのリネン類の自動搬送が増えました。人の手がかからなくても、搬入口から各フロアの倉庫まで、確実に正確に運送できるので、導入が進んでいますね。
またパブリックスペースや宴会場の清掃、更には屋外の清掃や芝刈りなどのニーズも増えてきています。
逆に配膳はサービスの一環となる宿泊施設も多いので、お料理の産地やおいしい食べ方を知ってお食事をスタッフとの会話で楽しんでいただきたいと考えると、主流になることはまだ少し先かなと感じています。
その意味では、清掃はまだまだDX化の可能性がありますよね。施設によってはドッグランができるエリアやテニスコートなども備えていますし、その清掃や芝刈りまでを全て自動化できるとなると、さらに活用されていきそうです。
髙奥:
まさにそうなれば人材不足の一翼を担えるので嬉しいですね。実は今、実際に私どもが扱っているのは、家庭用の業務用に耐えうる掃除ロボットや芝刈りロボットがメインなんです。
理由は、業務用製品のコストが高すぎるのと、300平米以上での稼働には性能としてもリターンに見合わないと判断しているからです。
これは様々な製品をテストしてきたからこそ分かったことですので、安直に「法人用ロボットのほうが有能だろう」と考えてテストもせず購入するのは、とても勿体ないと考えています。もちろん利用ケースに応じたいい製品があるのは前提ですが。
ですので、宿泊施設をはじめとしたあらゆる施設で、どのようなニーズがあるのかをヒアリングしながら、私たちだからこそできる価値提供をしていきたいです。
ホテル清掃にロボットを活用する可能性
石原:
ホテル清掃でいえば、お客様たちが過ごす空間を表とすると、スタッフが出入りする裏の部分、バックスペースの清掃にも可能性があると思います。バックスペースは物がストックされていたり、従業員が休憩したり、厨房があったりで、実はお客様が滞在されるエリアより大きいこともあります。そこに特化してというのもあり得ますよね。特に厨房は濡れていることや、油汚れもありますので。
髙奥:
確かにそのニーズもありそうです。弊社サービスのお客様は、汚れてから掃除するのではなく“常にキレイにしておきたい”と考える方が多いので、そのニーズに見合えばバックスペースに人がいない間にロボットで清掃しておく、などができそうです。
まだまだ清掃は“人にしてもらうもの”だと考える方が多い状況ですが、では、薄汚れた人が清掃をしていると考えたら?とも思うのです。必ずしも人だからよいということではないのではないでしょうか。このような観点でも、上手にロボットが活用されればよいのにと思います。
石原:
ロボットで清掃を終えた後、チェックだけは有人にするなどにできれば効率化が図れますし、ロボットと人の協業は進んでいくでしょうね。宿泊施設では、長期滞在時には毎日お部屋の清掃に人が入ってほしくない方もいらっしゃいますから、例えばその場合、お部屋では掃除ロボットをご利用いただけますとするだけで喜ばれる方もいらっしゃると思います。
髙奥:
なるほど。弊社ではもしロボットの盗難があっても、補償が可能です。商品もレンタルですのですぐに新しいものを手配できる点では、サービスに強みを感じていただけそうです。
石原:
残念ながらホテルではアメニティ以外のドライヤーやバスローブなどの盗難も少なくないですから、その観点はありがたいと思います。レンタルサービスの強みをぜひ活用してほしいですね。
結び
コロナ禍を越えたホテル業界は、人手不足に対応しながら、従業員の保護とサービスの向上に取り組んでいることが今回の対談で見えてきました。
また、デジタル化が進み、ロボットの活用も拡大しています。
これから、ホテル・宿泊業界のスペシャリストである石原さんから色々教えていただきながら、ホテル・宿泊業界に、役に立つ清掃・掃除のソリューションを開発していきたいと思います。
当社が扱っている掃除ロボットも、まだまだ進化している中で業種・場所にあった使い方を清掃のプロとして、ご提案していきますので、ご期待ください!