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シューティングゲームの歴史

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シューティングゲームの歴史を綴ります。 ※2007年頃に個人サイトで読み物として公開していたものです。
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2017年4月の記事一覧

世界初のPDS

世界初のPDS

 PDP-1で人気を博したゲームSpace War!が登場してからというもの、長い期間に渡って学生たちを虜にしてきました。理由はふたつあります。

 ひとつはSpace War!を作り上げたハッカーたちがSpace War!の特許を取得せずにPDS(Public Domain Software:パブリック・ドメイン・ソフトウェア)とし、公共のソフトウェアとして配布したことです。そのため、色々な大学

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世界初のアーケードゲーム

世界初のアーケードゲーム

 ブッシュネルは最初からアーケードゲームの開発にたずさわっていたわけではありません。アンペックス社の社員として働いている日々の中で、コンピュータの値段が徐々に下がり、おおよそ8,000ドル程度にまで下がってきたのを知り、既製のICとうまく組み合わせれることでコストダウンできると判断したため、学友のテッド・ダイニーとシジギ(Syzygy)という会社を興してゲーム開発を始めたのです。

 シジギがはじ

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コンシューマ機の誕生とアーケードゲームの転機

コンシューマ機の誕生とアーケードゲームの転機

 かくして世界初のアーケードゲームComputer Spaceが市場に投入されたのですが、残念ながら興業結果は燦々たるものでした。この「楽しいゲーム」の人気が出なかった理由はこう考えられます。

・ボタン4つによる操作が難しすぎた

・ゲームの難易度が高すぎた

 「ゲーム」という新しいカルチャーにはじめて触れる顧客からすれば、1962年のオリジナル・バージョンから10年をかけて進化した内容は、マ

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3つのComputer Space

3つのComputer Space

 Computer Spaceは市場には受け入れてもらえず商業的には失敗した作品となってしましました。しかし、ブッシュネルはただ手をこまねいて見ているようなマネをしませんでした。彼はコンピュータスペースについているコントロールパネルを何度か改良し、市場に投入しているのです。

 Computer Spaceの元となったSpace War!には、2つのスイッチが取りつけられた専用コントローラが作成さ

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ゲームはみんなで遊ぶもの

ゲームはみんなで遊ぶもの

 ここまで見てきたように「敵が攻撃してくる」というスタイルのシューティングゲームが登場したのは、 世界初のアーケードゲーム『Computer Space』からだったことがわかります。しかし、Computer Spaceの商業的な失敗からわかるように難しいゲームは、まだ一般的なプレイヤーたちには受け入れにくいものだったようです。

 Computer Spaceは当初はひとりで遊べるようにできていま

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教育コンピュータ『PLATO』

教育コンピュータ『PLATO』

 世界初のFPS(First Person Shooting)である『Spasim』(1974/3)は、テキスト入力形式のアドベンチャーゲーム『Star Trek』(1971, Mike Mayfield)をベースにして作成された先進的なシューティングゲームです。SpasimがStar Trekと大きく異なるのは、単なるテキスト入力形式のゲームではなく、スペースシップ内をワイヤーフレームでリアルタ

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多様なPLATOゲーム

多様なPLATOゲーム

 PLATOでは教育向けのプログラムのほかにも、いくつかゲームが作成されています。PLATOで初めてゲームが作成されたのは1960年代末で、リック・ブルームという学生がSpace War!を移植版したものでした。この移植版はSpace War!の最もシンプルなバージョン、つまり「オリジナル版」と呼ばれるものを忠実に移植したものだったようです。

 これを契機に『Avatar』と呼ばれるダンジョンズ

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