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普通の生活者にとっての投資信託、日本は米国に何年遅れていると思いますか?

先日のノートをまずご紹介。

このノートで指摘したことです。

普通の生活者にとっての投資信託、日本は米国から30年遅れている?としました。

その後、こんなつぶやきを。

30年、それとも60年以上?ということを今回書いてみようと思うのですが、最初にご紹介したいのがこちらの記事です。

#COMEMO #NIKKEI

最初にご紹介したノートで、2007年頃にやっとこさ、日本にもVanguardっぽい考え方のインデックスファンドが登場した、と書いていましたが、こちらの記事の通り、1998年に日本に #日興パレット  なるシリーズがあったそうです。とすると、米国の基準点をVanguardにすると、20年強の遅れだったということになります。しかし、この #日興パレット  は既に絶滅しています。売り手側の手取りが悪い、端的に言えば、(短期的には)全く儲からない商品だったから、採算を確保するのに時間が掛かるから、だったと考えられます。こうした商品を粘り強く育てようという強い意思が業界側には乏しく、また、我々生活者もその有用性、可能性、将来性を十分に認識していなかったからなのでしょう。

と、ここまではインデックスファンドに着目していたわけですが、投資信託の源流であるアクティブファンドとなると、どうでしょうか。こんなページがあります。

https://www.investopedia.com/ask/answers/08/oldestmutualfunds.asp

米国で1924年に誕生したMFS Massachusetts Investors Fund (MITTX)。

このファンドは今も現役?です。

https://www.mfs.com/en-us/individual-investor/product-strategies/mutual-funds/MITTX-massachusetts-investors-trust.html

純資産総額は54億ドル。

この"Life"に記載されたのが、設定日(1924年3月21日)から2019年3月31日までの95年のリターンを年率換算したものでしょう。

設定日に1ドル投資していたら、2019年3月31日には4,249ドルになっている計算です。42倍ではありません、4,200倍ですよ!

さて、この米国で現役の最古の投資信託ですが、純資産総額はちょっぴり小さめです。もちろん、米国基準です。日本でこの規模ならトップ10に入りますが。

この投資信託から遅れること10年。1934年1月1日に設定されたのが
The Investment Company of Americaです。

https://www.americanfunds.com/individual/investments/fund/aivsx

この投資信託の2019年5月末の純資産総額は915億ドルです。10兆円近い規模です。設定から85年以上経っている投資信託に10兆円もの資金が託されているのです。

"Since Fund Inception"が設定来の年率換算リターンです。

同様に計算してみると、

設定日に1ドル投資していたら、2019年3月31日には16,293ドルになっている計算です。

米国の会社に投資することが生み出すパフォーマンスの凄まじさの一端を感じられるかもしれません。長期で株式投資することの可能性を示しているように感じます。

つまり、米国には1920年代、1930年代からこうした投資信託が設定され、そして、それを投資家も一緒になって育ててきたという歴史があるわけです。

日本で現役?の最古の投資信託:大型株ファンド

https://www.daiwa-am.co.jp/funds/detail/0701/detail_top.html

この投資信託こそが日本で現役?の最古のものです。

設定日は1961年12月2日です。設定から57年半経過しています。スゴい!

最新の月次レポートによると、設定来のパフォーマンスは+1,890.2% となっていますから、設定日に投資された100円は約1,990円になっていたということですね。これを年率換算してみると、5.32%。(初回の公開時は計算ミスがありました。失礼しました)

この投資信託の投資先は日本企業となっていますので、上記でご紹介した米国企業に投資している投資信託と比べることで、米国企業と日本企業との「富」をつくりだす力の差を実感することができます。

パフォーマンスよりもご注目していただきたいのが純資産総額です。

13億円!です。この投資信託の存在を知っている人は日本中に果たして何人いるでしょうか?!

普通の生活者によく馴染んだ、知られた投資信託とは評価できないでしょう。

こうした投資信託をつくっては、放置し、見殺し?にしてきたのが、日本の投資信託の歴史です。その過程は、株式投資に対するネガティブなイメージ、偏見が根付かせる一因になっていた、と想像されます。

普通の生活者のための投資信託という面でいけば、日本において最も大きな転換点は、さわかみファンドだったと考えて良いと思います。

https://www.sawakami.co.jp/

さわかみファンドは、1999年8月に設定されましたから間もなく20年を迎えます。十年以上前に参加した、彼らの説明会では、The Investment Company of America が紹介されていたのが今も強く印象に残っています。

さわかみファンド、直近の純資産総額は2,850億円程度。上位10本にまでは到達していませんが、13億円に比べると遙かに存在感があります。

ここまで書いてみると、The Investment Company of Americaとさわかみファンドとを設定日で比較するのが、

普通の生活者にとっての投資信託、
日本は米国に何年遅れていると思いますか?

の答えになるような気がしてきました。

1934年1月に対して1999年8月。実に65年以上。この間、日本の金融業界は普通の生活者に対して、株式を長期で保有することがどれだけの富をもたらすのかを伝えること、それを実現させるための手段をほとんど講じてこなかったと言っても良いのではないでしょうか。

そして、1999年8月以降、少しずつ変化、前進の兆しはあるものの、未だに、株式を長期で保有することがどれだけの富をもたらす可能性があるのか、それが社会の常識になっているとは言い難く、株式投資が偏見に塗れているのが実態ではないでしょうか。

このノートでインデックスファンドのケースに触れました。

売り手側の手取りが悪い、端的に言えば、(短期的には)全く儲からない商品だったから、採算を確保するには時間が掛かるから、一旦は芽吹いた動きを大きく後退、停滞させた実績を、日本社会は持っているのです。

この事実もよくよく認識しておく必要が、我々、普通の生活者投資家にはあると思います。

https://www.amazon.co.jp/dp/4478106398/


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