株式投資とは「参業」であり「離業」である
バフェットさんの言葉を拾ってみました。これらの言葉を拾ってみたきっかけは、この記事です。
この問い、あちらこちらで目にします。この問いが生まれるのは、こんな事実があるからです。
Aさんが支払ったお金はトヨタは受け取っていない。だから、トヨタの応援にはならない。
こういう論理です。認識とも言えるでしょう。
こうした論理、認識は、お金しか見ていない。僕はそう感じます。
確かにトヨタはAさんのお金を受け取れません、お金はBさんの元に届きます。しかし、Aさんはお金と交換にBさんから「株式」を受け取っています。
株式を持っているのですから、Aさんは株主=オーナーです。
冒頭のバフェットさんの言葉からすると、ごくごく小さな一部とはいえ、Aさんはお金を払って会社を買ったのです。
会社が会社を買収するM&Aと全く同じ行為です。
なぜならAさんは会社A、Bさんは会社Bと読み替えることができるからです。
会社Aが会社Bの株式を買う理由、動機。それは会社Aが会社Bの事業に参画するためです。
会社を買うということは、事業に参画することです。いわば「参業」です。
業を起こすのが「起業」ならば、誰かの会社に参画する「参業」。その手段が株式を買うという行為です。
持っている、保有中の株式を全部売却する。その会社と株主としての関係が無くなるので「離業」です(あるいは起業ならぬ「棄業」かもしれません)。
応援したい!、そういう気持ちの有無にかかわらず、株式を買う、取得するとその会社に「参業」しているのです。その事業の関係者の一人になるのです。
株式とは、参業チケットです。
取得した株式から経済的なリターンが得られるかどうか。その事業に参加=参業しているわけですから、その事業次第ということになります。
事業がしっかりと社会に価値を届け利益を実現する。業績等その事業の成果を元に、その参業チケットである株式が上場していれば、市場の参加者がその株式に価格を与えるわけです。
株式を取得したそのタイミングで、あなたは参業しているのです。応援の気持ちを持っているかどうか、はその人次第です。
会社に様々な要求を突きつけるアクティビストも「参業」しているからこそ、要求しているわけです。そこに応援の気持ちがあるかどうか、はわかりませんが。
繰り返します。
この問いは、お金しか見ていないから生まれるのです。事業を見てください。
株式を買う、持つことで参加する事業を見てください。
バフェットさんが言う通り、買うのは会社。僕はそう考えています。
この認識が持てないと、株価に注意を持って行かれます。株価は日々、変動しますから、どうしても気になってしまうものです。
その結果、事業への関心は高まらず、理解が深まることもありません。最終的には、株価を元にして売却、「離業・棄業」することになるのではないでしょうか。
ちょっと話を変えます。
田内学さんが金融教育の実態をお嘆きになっています。確かにガッカリしますね。
投資する若者ではなく「投資される若者」をふやす、そんな金融教育を。
田内さんはあちこちでこのメッセージを発信されていると理解しています。
田内さんの意見に頷く一方で、株式投資する若者をふやすのも大事なことだと感じています。それが「投資される若者」を結果としてふやす、というのが僕の仮説です。
「投資される」ためには、「投資する」という経験が役立つと考えるからです。その点で、株式投資は多くの学びを提供してくれます。
ただし、です。何に関心を向けているか、で決定的な違いができてしまいます。
株価を追いかけ回す株式投資。これでは「投資される若者」をふやすことはできません。なぜなら、株価を追いかけ回す株式投資では、「事業」に関心をほとんど向けない可能性が高いからです。
この種の株式投資では、事業に参画している、参業感覚を持ち得ないだろう、と推測されます。
事業とはどんなものか、どんな事業が社会に価値を届けているのか、株式投資を通じて学び取ることができます。
事業に関心を寄せての学びであれば、「投資される」のに、たくさんのヒントをもたらしてくれるはずです。
事業に関心を向けて参業感覚を持って投資する若者は、どんどんふえてほしい。僕はそう思います。そんな若者の中から、魅力ある「投資される」若者が次々と現れるのでは、と妄想しています。
事業に関心を向けて参業感覚を育てる方策の一つとして、 #四季報写経 にポテンシャルがありそう。そんなことも感じています。
しっかりとしたガイダンス、オリエンテーションが必要ですが、高校生なら四季報写経は可能だと思います。
最後にお尋ねします。
あなたが保有しているのは、株券ですか、それとも会社ですか。
ろくすけさんのこの記事。今回の記事とつながっている感覚を持っています。
お気に入りの記事なのでオススメです。ぜひご一読を
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