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✥vol.1 素朴に素直に〜露地栽培から学び得ているもの✥

✥✥Ren's Essence〜ふと足を止めて、考える✥✥
素朴に素直に〜露地栽培から学び得ているもの


✦また、今年も季節は巡り〜✦

庭土に植えたトマトの実が赤らみ始めた。
この時期の野菜は、3月中旬から土を作り、4月の中旬から下旬にかけて苗を植え付ける。
きゅうりは既に、5本収穫済み。ピーマンやシシトウも、まだ少し小ぶりだが、ちょっとずつ採っては食べている。茄子の茎の間には艶美な紫色の花が咲き……。小さな庭の小さな菜園は、梅雨明けを前にして夏野菜の収穫期に入りつつある。
4月は全くと言って良いほど陽の射さない日が続いたり、梅雨入り前辺りからは寒い日も多かったが、それでも今年は、例年より少し実の成りが早い様な気もする。

自分で作った物を食べる時は、植え付けてからの経過や出来事を思い出したりしながら食べる。
“プロセスへの関与は、満足度に影響を及ぼす”と言えそうだ。手間をかけた分だけ、味わい深い。

✦四国で学んだおおらかな野菜の基本✦

土が乾いたらたっぷりと水をやり、2週間に一度ほど追肥を施せば、あとは殆ど勝手に育つ。
水も肥料も、頻繁にあげすぎないのが大事なコツ。

「土をかぶせて、水を切らさんかったら育つんじゃ」

愛媛に移り住んでいた頃、初めて畑を貸してくれた農家のおいちゃんには、そう教わったものだ。

湿度が高く気温も暖かい時期に育つ夏野菜は、とりわけ成長の速度がダイナミックだ。きゅうりやオクラなどは、2〜3日も収穫のタイミングを逃せば、たちまちメガ・サイズに育ってしまう。
植物の生命の力強さには、いつもながら爽快な感銘を受ける。
人間に比べれば作りも生活もシンプルだから、くよくよしたり道に迷ったりせず、葉を広げ、お日様の射す天に向かって真っ直ぐに伸びていく。
自問自答なし。高度なスキルも、各種保険もなし。
あるいは植物の方から見たら、複雑かつ慎重な人間の生き方こそ不可思議に映るだろうか。

あるがままに、素朴に素直に。
自己実現のエッセンスとは、案外そういうものかもしれない。

✦自然に育ったもの✦

菜園をしなくても、“旬の野菜”を食べるのはお薦めだ。
ハウス栽培の対義語として、『露地栽培』と言う。
パーテションで隔離し管理することで時期を問わず育てられるハウス作物と異なり、直接陽射しを浴びて、雨風を受けて育つ。
ちょっとワイルドな分、季節のノリが味にも宿っている。自力で育ったものは栄養価も高い。

You're what You eat.
あなたは、あなたの食べる物でできている。

この格言を一つ掘り下げると、
“What you eat is what it eats.”とも言えそうだ。
あなたの食べる物も、それが取り込んだ物でできている。
天からの恵みをじかに受けた物を食べることで、あなたの身体もまた、季節の恵みに満ちたものになる。

トマトの赤、きゅうりやピーマンの緑、茄子の紫。
陽射しが強いからだろう。夏野菜の表皮は、色合いが濃く目に鮮やかだ。
日本の四季のもたらす豊かさを、この時期、食卓の野菜の彩りで感じてみるのはいかがだろうか。



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野咲 蓮
メッセージ・コンサルタント(人物・企業のリプロデュース) 著書:人間を見つめる希望のAI論(幻冬舎刊)


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