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天皇陛下のお誕生日をお祝いする会(シドニー総領事公邸)に初めて参加させていただいた日

2016年12月6日。
天皇陛下(当時。現上皇陛下)の83回目のお誕生日を祝うパーティが、シドニー総領事公邸で行われた。
光栄なことに、その年初めて総領事館から招待状をいただいたので謹んで出席させていただいた。
総領事公邸では門のところでチェックが入る。そして玄関前にズラリとできた列の一番奥で総領事が一組ずつお出迎えしてくださる。
館内に入いるとすぐ飲み物をすすめられる。着飾った人々で混雑している広間を抜けてプールのあるお庭へ。人混みからちょっと離れて眺めると、シドニー(NSW州)地域の豪日のVIPたちがおしゃれな感じで開宴前の談笑しているわけだ。
パーティの幕は開き、日本国国歌斉唱、オーストラリア国歌斉唱のあと、偉い人たちのお祝いスピーチへと進んでいく。
改めてこういう場で陛下のお誕生日をお祝いさせていただくというのは、日本国民としてやっぱり本当に光栄なことだと、何杯目だか数えるのもやめてしまったビールを喉に流し込みながらそう思った。
が、俺には一つとっても不安なことがあった。誰にも相談できず、一人で悶々と悩んでいたことだ。
なんせ九州の田舎の庶民出身であるし、こういう場は初めてだ。どうすべきなのか一人で考えても全く分からず、試しにググってみたが回答は見つけられなかった。
それは、である。
それは、お誕生日にはつきものの例のあの歌のことなのだ。
あの「Happy Birthday」の歌は歌うのか歌わないのか。
平静は装っていたが、心臓はドキドキしていた。
だから緊張でビールがどんどん進んでしまうのだ。

もし、だ。もし歌うとするならば、だ。
Happy Birthday to you.
Happy Birthday to you.
ここまではいい。何の問題もない。しかしここからだ。

Happy Birthday Dear~
のあとは一体何と歌うのか。

さすがにお名前を出して「ちゃん」などつけてしまうのは恐れ多過ぎるし、
間違って昭和天皇のお名前を口走れば空気が凍りついてしまうかもしれないし、
そうするとやっぱり「陛下」でいくのが妥当なのか、
「天皇陛下」までちゃんと言ったほうがいいのか、
歌う前に「これでいきますから、よろしく」なんてアナウンスがあったりするのかどうなのか…。


ねえわ、そんなもん。
そんなの歌いません。
はい、そういう場ではございませんでした。
すいませんでした。どうもごめんなさい。

今考えれば「そんなわけないじゃん」と思えるし、
「そりゃそうだよね」と思うのだけどもさ。 


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