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それがオフィスに新しいポットが入った理由である。

何事にも理由がある。

それは厳然たる事実で、反論の余地はないだろう。

宮部みゆきの「理由」を読めばそれはさらに明確になる。
かもしれないし、余計にわけが分からなくなるかもしれないが、
それはオレの知ったこっちゃない。

失礼。

実はオフィスの湯沸しポットを新しく買った。
前のが壊れたわけじゃない。まだ買ってそんなに経ってもいない、余裕の1年未満、保証期間中でもあった。

ではなぜ買い換えたのか? もちろん理由がある。

答えはシンプルで簡単だ。異論をはさむ余地もない。

そう、みんなもう分かったと思う。
正解率は…そうだな、まあ1200%といったところか。

週明けの朝、オフィスに来てキッチンでポットに水を入れようと 取っ手のボタンを押して上蓋をオープンしたところ、
中に実に不愉快な物体が存在したんだ。
でっかいやつ。注ぎ口から侵入して出られなくなったんだろう。

益虫と言われながらこれほど人類を不愉快にさせる物体もそうはいない。

ああ、そうだそうだ、
日本のみなさんにはオーストラリアの湯沸しポットがどんなかんじなのか分からないと思うので詳細な説明が必要かもしれない。いや、どうやら今は日本にもこういうタイプのがあるんだそうだ。だったら話も早い。こうボワーっとなってて、シューってきて、カチャってなるやつである。

イメージはわいただろうか?
比較的わきやすいはずだ。ポットだけに…。

失礼。

オレの説明ではよくわからないという方も安心して欲しい。
ご存知のように何事も言葉をつくしたからといって完璧に伝えることは不可能だ。 日本には百聞は一見にしかず、という諺がある。見ないんだったら分からなくて当然、という意味だ。昔からそうなのだ。

それにしてもオフィスでその物体に出会うなんてこの1年で全くなかった。

そしてオフィスには俺でさえ食うものがないのに、
一体何のつもりでヤツはここを探検場所に選んだのだろう?
仲間から伝達されてなかったのか?あそこには何もねえぜ、って。
まったく理解に苦しむが、やはりそれにも理由があったのだろう。
何事にも理由はあるのである。

で、
オレがどうしたかって言うと、
大人ならみんなそうすると思うが、
もちろんオレもその例に漏れず、
ポットごとゴミ箱に投げ捨てた。

その物体の姿をを視覚で捉えてから
3秒は経ってなかったはずだ。

というわけで
それがオフィスに新しいポットが入った理由である。

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