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人類は屁を出すときに息を…

何を”正しい”とするかはいろんな状況下・条件下で異なると思うし、その人の考え方にもよるものであろう。

ただそんな小難しいことを横に置いておいて、その道の専門家と言われる人が言うところの”正しい”方法を信用してみることは、抱えている問題を解決する一つの方法だと言えるだろう。

ということで知っているようで知らないというか、見よう見まねでやっていたので何が正解か分からずにとりあえずお茶を濁してきた感しかない「スクワット」なのだけれども、あらためてそのスクワットのやり方をネットで調べてみると「えぇ、そうなん?」という衝撃的な事柄に出くわしてしまった。それは”呼吸”だ。

「スクワットの場合は、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに息を吐きだす」と書いてある。

ちょっと言いたいのだが、「青天の霹靂」とはこういう時に使う諺ではなかろうか?普段使わないのできれいに風呂敷で包んで戸棚の奥にしまっているのだが、今回は満を持して使いたい。これは晴天の霹靂である。

イメージしてみて欲しい。何も考えずに尻を突き出してしゃがむときに、人は果たして息を吸うだろうか?

座る、もしくはしゃがむ行為を実行するときには、「はぁ~っ」と息を吐きながら腰を落とすものではないのか?もしそう思っているのが俺だけで、他の60億の人類はみな座るときに息を吸うのだとしたら、それに気づかず生きて来た俺にっては結構恐ろしい事実である。

もし他にも人類で俺しかやっていないことがあるとするなら、いやいやチェックしてみると何もかも俺しかやっていなことだらけだったとするならめちゃめちゃ怖いだろう。飯を食っているところを突然拉致されて、窓のない真っ白い部屋に閉じ込められ、首に鉄輪をはめられて生涯研究材料にされてしまうことだって考えられるではないか?逃げようとすると爆発するとか脅されるのだ。食事は白い皿に盛られた何だか分からない紫色のどろどろした冷めた液体だけ。窓のない閉ざされた空間で昼だか夜だかも全く分からない毎日を送るのだ。

どうにも脳の理解が追い付かないのだが、実際俺の理解云々などどうでもよく、「スクワットの場合は、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに息を吐きだす」のが”正しい”方法だと専門家であろう人が言うのだから、スクワットをするときはそれを意識してやってみるべきであろう。

そうなると、である。そうなると俺が今までボディコンバットの中で何度も何度もやってきたのは一体何だったというのだ。「正しくないスクワット」もしくは「スクワットもどき」か? いや形からすればただの「尻突き出し」、「尻落とし」だったということになるかもしれない。どおりで1グラムも痩せないわけだ。専門家の言うことをちゃんと聞いて正しく実行しないとこれっぽっちも効果はないのだ。

俺にとっては今日が”正しい”スクワットの最初の日となる。

しかし、だ。「それが正しい」ということで処理しろよと脳に命令を出してはいるのだが、どうも俺の頭の中では「屁を出すときに息を吸え」と言われているのと同じように思えてしょうがない。ただもしそう思っているのが俺だけで、他の人類は屁を出すときに息を吸うのだとしたら、それに気づかず生きて来た俺にっては結構恐ろしい事実である。真っ白の閉ざされた部屋の中でどろどろの冷めた液体を食べながら残り少ない人生を生きていくのは俺は絶対嫌なのだ。

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