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小峠の…

どうしていいか瞬時に分からず、無になって流れに身を任せることって、まあ、あるよな。ある。

今朝は家を出て歩いてそのままジムへ。軽〜くトレーニングをしてからサウナを経てシャワーを浴び、服を着てから髪を乾かす。9時前なのでガラガラに空いている。

大きな鏡の前にドライヤーが3つ設置されている。誰も利用者がいないときには、俺はそれをカッコよく二つ使って、ダブルハンドでオシャレに髪を乾かす。

髪を切って短くなったこともあるが、乾くのが早い(気がする)。

と、シャワーから出てきたばかりの背の高い白人のおじさんが鏡の前にやってきた。ドライヤーはもう一つあるんだけど、やっぱり遠慮して一つ戻す。

するとおじさんはメッチャ明るくハイテンションで、「いいんだ、いいんだ、使えよ。俺もいつも二つ使うんだよ。乾きが早いからな。」と言って両手を広げてオーバーアクションでハハハっと笑うのだ。それもスッポンポンで。

あまりの「絵」にぐーーーっと引いたが、しかし勧めを断るのもなんなだし、ソッコーでこの場を離れた方が得策だと結論して、最強ダブル送風で一気に乾かす。

俺にはもう一つ解せないことがあった。
おじさんは新しく入れ替えられたドライヤーで頭部を乾かしているのだが、そこには風の行き先となるべき髪の毛がない!!! 無いのだ! ドライヤーから出る温風が乾燥させたいのは一体何なのだ??? しかも普段はダブル使用なんだろ???まさか正直者にしか髪が見えないとかそういうこと言わないよな。

えー、もう怖いじゃん、と思ってドライヤーを諦め、クリームを顔に塗る。

すると、オヤジは(もうこの呼び方になっちゃったよ…)俺の戻したドライヤーのひとつも手に取り、二つのドライヤーを使って背中から尻を乾かし始めた。大陸や半島の人々ならまだしも、オージーがそれやっちゃまずいだろ〜。常々公共施設のドライヤーは頭部の髪の毛乾燥だけをターゲットにして欲しいと願っている俺としてはクソクソの状況だ。

俺が顔をしかめていると、オヤジは次の展開に入る。テーブルにダブルのドライヤーを置いて、自分の左右からその互いの風が自分の体に当たるようにした。

まあ、もうお察しの方もいるかと思うが、背の高い彼はそれなりに腰位置も高く、その風は、彼の体の中で一番毛が密集しているだろう部分に当たっているのだ。

それがお気に召すのか、「見ろよ、どうだい。ナイスアイディアだろ!」と両手放しでご機嫌さんなのだ。

「そうだね、すごいよ。グッドアイディアだ!ボクも次にやってみるよ!」
とか俺が言うわけねえーーし!!!

とにかく、気を悪くさせないように引きつった笑顔で小さく「Good!」を搾り出し、ポーチを片して帰ろうとした。

「おお、もう行くのかい? グッデイ!」と右手を出されたので、応えない訳にもいかずに右手を握ってサヨナラした。

「何なんだ一体!」とでかい独り言を言いながらドアを開けて出ようとすると、その声に反応して何人か人がこっちを見た。めっちゃ恥ずかしかった。

なーんて日だ。

っていうギャグはまだ使えるのかい?

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