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求人広告なんか出すより、ずっと効果のいい採用戦略

最近、副業仲介サイト(サンカクやHI-PRO)を覗くと、「採用の母集団形成」や「採用戦略の見直し」等の求人関係の案件がちらほら見られます。

私自身、東京にある大手WEB求人広告サイト運営会社での求人広告を書いたり、新聞の求人広告作成、企業の求人募集特設サイトのディレクション、地元建設会社の高卒向けパンフレットのプロデュースに携わった経験もあり、その手の案件には興味を惹かれます。

私個人の状況はさておき、地方都市ではバスの運転手が確保できなくなり、減便されることもしばしば。介護施設や建設、運輸、飲食、観光、病院関係者なども人が集まらず、地方に住むこと、地方経済の衰退は益々免れません。

こうした求人に対する問題に、地中小企業の多くは頭を悩ませていることでしょう。もちろん、大企業も大きな悩みの種になっていることかと思います。

では、一体、どうやって採用を実現していくのでしょうか?

一言で言うと、これに絶対の答えなんてありません。
ただ、一般的には下記のようなコミュニケーションを介して求職者は企業を知ることになるでしょう。

  • 求人広告(リクルート、インディードなどのWEB系、新聞やフリーペーパーなどの紙媒体系、チラシ、ポスター(居酒屋に貼ってあるピースボートのポスターや求人募集の店内告知)

  • 合同企業説明会

  • 人材紹介会社(エージェント経由)

  • 自社採用HPまたはLP(ランディングページ)

  • 自社SNSでの告知

  • ハローワーク

  • リアルスカウト(社員が知人に声を掛けるリファラル採用、社長の人脈)

  • 口コミ(あの企業良いかもよという求職者に関係する人の情報経由、転職先の口コミサイト(評価が高い方が採用には良い)、世間一般の動画や広告(TVCM、youtubeなど)、商品・サービス、イベント、雑誌や新聞記事など)

採用ツールとなると、ざっとこれらのものが挙げられます。
これらはどの企業も現在使用しているツールで、企業規模によって使う使わないの選択はあっても、これ以外の手段はないと思ってよいと考えます。

つまり、これらは、ハードの話。
ゲームで言うなら、ゲームをする(採用する)ために、ニンテンドースイッチかPS5かパソコン(上記の採用ツール)のどれを使うかという話です。
仮にこれを「採用ツール」と呼ぶとして、
下記の「企業スペック」、「発信内容」を掛け合わせた総合能力値が高ければ高いほど、採用への度合いは高まると考えます。

「企業スペック」とは、会社の知名度、商品・サービスの魅力、業種、給与額、休日日数、勤務時間、福利厚生、待遇、資格取得支援、家賃補助、通える範囲にあるか、副業可能か、やりがい、企業風土など、その会社で働く上での求職者から見たメリットや妥協できる点などが判断できるポイントです。

単純に月給20万円の企業と月給30万円の会社では後者のほうに流れるのは必然です。但し、残業なし、資格取得支援、通勤圏内、やりたい職種かどうかという諸条件が加われば、月給だけの判断ではいかなくなるでしょう。

「発信内容」とは、「会社スペック」のどこを、どういった「採用ツール」を使い、どうアピールするかを指しています。発信内容であり、表現方法でもあって、どういう打ち出し方をすべきかはターゲット(会社で働いてほしい人材)で決まってきます。そういう意味では採用ツールを選ぶ段階より前に、ターゲット選びが先に来ると思います。
例えば、20代を採用したいのに、新聞広告に求人を掲載してもまず若者は新聞を取っていないので彼らには届きにくいのです。採用ツールを間違えてしまえば、発信内容を若者向けに表現しても見る人がいないので、応募には結び付きにくくなるでしょう。

この掛け合わせで求職者へのアピールは可能だと思いますが、冒頭挙げたように介護施設や建設、運輸、飲食、観光、病院関係者など人が集まっていない業種(病院関係者は不人気というより、競合による奪い合い)など、そもそも不人気な業界はどんな採用ツールを使っても採用に苦戦をするのは間違いありません。

それなのに、副業で「SNSを使って採用に結び付けたい」という案件が多く、SNSに力を入れて情報発信をすれば採用につながると単純に考えている企業が多いことに驚いています。
そもそもSNSってちゃんと「企業スペック」が高い企業がやるから効果が出るし、むしろ、SNS使わなくたって、地元紙でも取材されるほどの「企業スペック」が高い企業であれば採用はできると私は考えます。

一番わかりやすいのは、「給与額」、「業種」、「職種(未経験・業界未経験可か)」、「勤務時間」、「休日数」を明確にし、尚且つ、出来得る限り同業他社より基準を上げれば応募率は上がるはずです。

一概に「給与」や「勤務時間」、「休日数」にメスを入れるのは難しいのも分かります。あまりに低いとさすがに応募しないとは思いますが、そこにメスを入れることが人を獲得する秘訣です。

今以上は無理だと言うならば(自分ならば、条件の良くない会社には行きませんけれど)、どうしたら、人が来てくれる企業になるかを考えてみることです。

私は世に言うブラックな環境でも働いた経験がありますが、どんなに給与が良くても、やはり会社の雰囲気が良くない企業は居たくないものです。そうした職場環境が見えるSNS等での配信に力を入れたり、或いは会社の評判が分かってしまう口コミサイトに悪い評判を書かれないようにする努力、働きたくなる企業として取材を受けられる戦略を取るほかありません。

人間、知ってるものしか判断できませんので、どうやったら知られる会社になるかを根底から考え直さなければ、会社に求職者もお客様も来ません。

SNSでの配信、広告を打つ前に、会社スペックの棚卸しとアップデートを図ること。採用戦略を練るにも、まずはそこからだと思います。

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