お客さまの笑顔をパワーに、大好きなお菓子づくりを続けていく|2時間で200個売れるケーキ屋さん「calme」オーナー 竹内 志保さん・前編
小さなケーキ屋さん「calme(カルム)」は、オーナーの竹内 志保さんが2019年5月に、愛知県蒲郡市で開きました。
お店は金曜日と土曜日の13時からオープンですが、いつも2~3時間で売り切れてしまいます。「どうしても食べたい」と数時間前からお店に並ばれる人、そして遠方から足を運ぶ人もいるそうです。
それほどまでにcalmeが人気な理由はなんなのでしょうか。竹内さんにインタビューしてみると、お菓子のこだわり、そして竹内さんの人柄の魅力が見えてきました。
「美味しい」という言葉で、お菓子づくりに夢中になれた
ーお菓子づくりを始めた経緯を教えてください。
竹内:保育士だった母が、いつもおやつは手づくりのものを出してくれていたんです。それが美味しくて、「私も自分でつくってみよう」と小学校3年生からお菓子づくりを始めました。
最初は母に教えてもらいながらつくっていましたが、私は4人兄弟で母は仕事もしていたので、なかなか教えてもらえる時間がありませんでした。そこで、母が1冊のお菓子のレシピ本を買ってくれたんです。
それからは、その本を見て1人でいろいろなお菓子をつくるようになりました。
ー小学校3年生から今まで、ずっとお菓子をつくり続けているのですね。それほどお菓子づくりを好きになれたきっかけはなんでしたか?
竹内:小学校4年生のとき、つくったクッキーを人に食べてもらって褒められたことです。
市松模様のクッキーをつくったのですが、工程がすごく難しくて。それを母がPTAのバス旅行に持参して友達に配ったみたいで、食べた方から「すごく美味しかったよ」と言ってもらえました。苦労してつくった分、その言葉がとても嬉しかったんです。
ーその経験は、今のお菓子づくりのモチベーションにも繋がっていますか?
竹内:はい。つくる楽しさもそうですが、人に「美味しい」と食べてもらえるのが、やはり一番大きなモチベーションですね。お客さんの喜ぶ声で「嬉しい!生きてる!」と思います。
ー竹内さんは2019年5月にこのcalmeを開きましたが、それまではどのようにお菓子づくりの活動をされていたのですか?
竹内:高校までは趣味でお菓子づくりを楽しんでいて、高校卒業後は大阪の辻製菓専門学校へ1年間通いました。その後はケーキ店で働くようになりました。美容室の隣のギャラリーでケーキ販売をしていたこともあります。
そして、24歳のときにcalmeとはべつの自分のケーキ屋さんをオープンし、子どもを産むまで続けていました。
子育てが少し落ち着いてからは、蒲郡の喫茶店「喫茶hiraya」でパートとして働きはじめ、「hiraya de calme」という名前で週1でケーキ販売の活動をさせてもらっていました。喫茶hirayaに4年間勤めた後、このcalmeをオープンしたんです。
竹内さんは、小学校や中学校でお菓子教室を開いていたこともあったそう。子どもが口にしてもいいように、「添加物不使用のお菓子」をメインにしていたそうです。
自分が「美味しい」と思うお菓子を、心を込めてお客さまに
ーcalmeのお菓子はどのようなところにこだわっていますか?
竹内:一番は素材です。いろいろな銘柄の素材で同じケーキをつくり、気に入ったケーキに使われている素材を選ぶんです。選ぶ基準は「私が美味しいと思うかどうか」なので、値段が高いものもあれば、スーパーで買えるものもあります。ほかの人に食べてもらって、その意見も参考にしますね。
素材は産地も意識していて、基本的にはすべて国産です。なかでもフルーツは愛知県産が多く、たとえばイチジクは知多、ブルーベリーは蒲郡、イチゴは岡崎産を使用しています。
ー地産地消にも目を向けているのですね。接客でのこだわりはありますか?
竹内:2回以上来たお客さんは名前を覚えて、「〇〇さん」と呼びかけたり「いつもありがとうございます」と言うようにしています。私、人の顔と名前を覚えるのは得意なんですよ(笑)。
そうやって気持ちを込めてお客さん一人一人に接していると、より一層喜んでいただけるような気がします。
自分のライフスタイルに合わせた働き方
ーケーキはいつもどのくらい売れるのですか?
竹内:ありがたいことに、オープンの約1時間前から並んでくださるお客さんも多く、2時間ほどで200個くらいのケーキが売り切れてしまいます。
ーすごい人気ですね!それでも金・土のみの営業なのは、なぜですか?
竹内:1人で仕込みから製造、包装まですべておこなっているので、家事とのバランスも考えると週2でいっぱいいっぱいなんです……。
月~木は子どもたちが学校に行っている間に生地の仕込みや包装。金・土は夜中2時に起きてケーキをつくりはじめ、13時のオープンにようやく間に合わせます。そんなサイクルなので、週2でないと体力的にも厳しくて。
ー忙しい生活ですね……。つらいと感じるときはないのですか?
竹内:つくっている間は何回もつらくなりますよ。「まだこれだけしかできてないのか」と(笑)。でも、やっと全部ショーケースに揃ったケーキたちを見ていると、疲れも吹っ飛んで幸せな気持ちになります。
営業後も、「美味しかったです」「幸せな気持ちになりました」というようなダイレクトメッセージが送られてくると、本当に嬉しい。頑張って良かったなと思います。
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ひたむきにお菓子と向き合う竹内さんの姿が多くのお客さんを惹きつけて、
そのお客さんの笑顔が竹内さんのお菓子づくりの原動力になっている。
calmeには素敵な循環が生まれていると感じました。
後編はRenameに共感してくれた竹内さんの想いや、
calmeの廃棄の取り組みについて伺います。
後編もお楽しみに。
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▼calme
住所:〒443-0022 愛知県蒲郡市三谷北通1丁目141
電話番号:0533-67-3344
営業時間:13:00~売り切れまで(金・土のみ営業)
Instagram: https://www.instagram.com/calme44/
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撮影・執筆=中原 愛海