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デパ地下惣菜で晩酌(芝海老湯波コロッケとカレイ西京焼き) 樽発酵の甲州ブドウの滋味

デパ地下の惣菜コーナーで夕食のおかず探し。
私は芝海老湯波コロッケ(330円)と黒むつ醤油麹焼きをセレクト。黒むつ醤油麹焼きはこちらに実食記録。

妻は彩り盛り合わせを購入。9つの仕切りに所狭しといろいろなお惣菜。

最近、一気に春めいてきたので、外でこういうオードブルにロゼワインといきたいところ。盛り合わせの真ん中のカレイ西京焼きをありがたくちょうだいする。お礼に黒むつとコロッケをひと口どうぞ。

西京焼きにしたカレイは珍しい、と好奇心がくすぐられる。過去にはサワラのものを食べていた。

一般的に西京焼きには銀鱈、金目鯛、サワラ、銀鮭、紅鮭、赤魚、メカジキ、ブリ、サバ、イカなどがある。西京焼きは文字通り「西京漬け」にした魚や肉を焼いたもの。京都の伝統的な白みそ「西京味噌」にみりんや酒を加えて漬け込む。明治維新以降、都が京都から東京へ移り、京都は「西の京」と呼ばれるように。西の京、京都で作られる白味噌を使う。もともと、海から遠く離れた京都でも魚を美味しく食べるために生まれた調理手法。保存性を高めるため、今よりもかなり塩分濃度の高いものが主流だったよう。

絵面が少々微妙ですがカレイ西京焼き

今回のカレイは、魚が含むほのかな素朴で土っぽいフレーバーと、味噌のフレーバーとコクが調和。

私のセレクトしたコロッケに入っている“ゆば”は、京都では湯葉、日光では湯波と書くよう。製法にも違いがあって、膜を一重で引き上げるのが京都式、二重にして引き上げるのが日光式。このコロッケは湯波。

湯波の存在感!

たしかにゆばの食べ応え、存在感が強い。ゆばのみじん切りでも入っているのかなと思ったが、しっかりとヒダヒダのまま入っていてゆばそのものの味が強い。エビのプリプリも参加して、食感を楽しく刺激。

料理に合わせたのは白ワイン3種。山梨県の甲州品種、イタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種、南仏のマルサンヌ品種。特にカレイ西京焼きと山梨県の甲州ブドウを樽発酵させたワインの相性、コロッケの中のエビのフレーバーと南仏ワインの調和が印象的。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。


シャトー・ルミエール, 光, 甲州 山梨, 2020, 3,658円

1885年創業。山梨県笛吹市一宮町南野呂。自社農園で栽培した甲州種を樽発酵した後、20ヵ月の樽熟成で仕上げる。
力強く濃い色調。香りには枇杷、大ぶりの和梨、カボスに微かに柚子、果皮のフェノールの複雑な香り、カモミールティーのほんのりスパイス香。
味わいにはジューシーで滋味溢れる染み込む果実味。ほろ苦さはゆるゆる続き、甲州品種とは思えないほどの非常に長くまったりとした余韻。甲州の魅力を引き出し尽くした名品。

カレイの西京焼きにワインを合わせる。味噌の風味は樽発酵されたワインの厚みのある香りに絶妙に調和。また、西京味噌で引き出されたカレイのコクに甲州ブドウの滋味が溶け込むように吸い寄せられる。相性: ★★★★☆

芝海老湯波コロッケに。ゆばから伝わる大豆のコク、芝エビの磯の香りに甲州ブドウの滋味が調和。ただ、ワインの樽発酵による深みが料理へ合わさるところが少なくもったいない。相性: ★★★☆☆


パーラ, ソプラソーレ, ヴェルメンティーノ, イタリア, サルディーニャ, 2021, 13.5%, 2,376円
Pala, Soprasole, Vermentino di Sardegna DOC

1950年創業。1990年に全てのブドウ樹をサルデーニャの地ブドウ品種に植え替え。このワインには標高150~180mに位置する畑から、樹齢平均35年のブドウを使用。ステンレスタンク発酵。
香りにはフレッシュな青リンゴ、グレープフルーツに微かにライチと白桃、セルフィーユのハーブ香やフラワー香。海岸の潮風や貝殻の香り。フレッシュで軽快ながら個性が凝縮。
味わいには瑞々しくもグリップのある果実味が伸びやか。こぎみよい酸味と塩味、中盤からほろ苦さ。余韻はフレッシュで爽やかながらヴェルメンティーノ品種の楽しみが凝縮。

カレイ西京焼きに。味噌のコク、カレイの土っぽい素朴な香り、西京味噌に引き立てられた魚のコク、これらの要素にワインのフレッシュな柑橘、潮の香りが調和する部分は残念ながら多くはなかった。ケンカはしないが。相性: ★★★☆☆

芝海老湯波コロッケに。芝海老の磯の香りにワインの潮っぽい要素が良く繋がるも、ゆばの大豆のコクへの繋がりには欠ける。こちらもケンカはしないが。相性: ★★★☆☆


M.シャプティエ, クローズ・エルミタージュ, ブラン, レ・メゾニエ, ビオ, 2019, 3,051円
M.Chapoutier, Crozes Hermitage, Blanc, Les Meysonniers BIO

M.シャプティエは、1808年に創業してから7代目ミシェル・シャプティエに至るまで一貫して家族経営。畑を守りテロワールを尊重。有機栽培された樹齢20~40年のマルサンヌ品種使用。
香りには花梨、洋梨、リンゴジャム、黄色い花のフラワリーなフレーバー、軽快にバニラ香、様々な要素ありつつ香りのバランスが素晴らしい。
味わいにはピュアで透明感のある果実味、繊細さとほんの少しの緊張感。酸味は中庸で的確。ひとひらの蜜のような高貴な甘さに続き、余韻に心地よいミネラルのほろ苦いタッチ。

芝海老湯波コロッケに。海老の甲殻類特有のグリップのあるフレーバーに、ワインの力強くしなやかな果実味、フラワリーなフレーバーが絶妙に調和。コロッケと一緒に入っていたタルタルソースを付けて、料理にクリーミーさと酸味を足すとワインのコクと酸味への繋がりが楽しい。相性:★★★★☆

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