見出し画像

シシャモのエスカベージュとサワラの西京焼きにクリームチーズ オーストラリア ヤラ・ヴァレーのピノ・ノワールの意外な相性

シシャモのエスカベージュとサワラの西京焼きにワインを合わせた。

シシャモはほろ苦さと豊かな磯の香りをもち、ビールや日本酒への相性は良いがワインにはこれらが反発することもある。過去、シシャモの酢漬けにギリシャのスパークリングワインの相性は良かった。

サワラの脂も個性的なのでワインとの相性を選びそうだが、ほんのり炙ったものはイタリアのヴェルメンティーノ品種、アルザスのピノ・ブラン品種との相性は良かった。

今回は、スペインの9年熟成カヴァ、イタリアのヴェルディッキオ品種、インドのシュナン・ブラン品種、オーストラリアのピノ・ノワール品種にシシャモとサワラを合わせてみた。

マス・デ・モニストロル, カヴァ, グラン・レセルバ ブリュット・ナチューレ, 3,168円
Marqués d La Concordia, Grand Reserva, Brut Nature, 2013, Spain, 12%

やや深みのある濃いめの色調、細やかな泡が穏やかに立ち上がる。
香りにはリンゴリキュール、シードル、リンゴ蜜、リンゴのジャム、さらに微かに白い花、白胡椒のスパイシーなタッチ、微かにほしわらやヨードのニュアンス。
風味は9年の熟成を思わせない活き活きとした酒質、中盤から早々にヨード系のビターなタッチ、こぎみよい酸味、フィニッシュにもヨード系の海藻を食べたような香りの抜け。
シシャモのエスカベージュに。カヴァの程よい熟成感でやや控えめな果実味と繊細な印象が、シシャモのほろ苦さ、子持ちシシャモの卵の特有のコクにも寄り添う。
料理の酸味がワインのそれによく繋がり、ほろ苦さや魚卵のコクとも良い繋がりだがワインがやや繊細すぎるか。
相性: ★★★☆☆
サワラの西京焼きに合わせるとサワラの臭みがどっぷり立ちあがってしまう。ワインが繊細で、魚の旨味と西京味噌に負けてしまう。派手な失敗。
相性: ★☆☆☆☆

ウマニ・ロンキ, ヴェッキエ・ヴィーニェ, ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ イエージ・クラッシコ・スペリオーレ, イタリア, 2019, 3,128円
Umani Ronchi, Vecchie Vigne Verdicchio Dei Castelli Di Jesi Doc Classico Superiore

香りには軽快で繊細なグレープフルーツの柑橘、グラスを回すと一気に快活な香りに、ライムやオレンジピール、柑橘果皮のビターなニュアンス、白い花も。
風味の凝縮感はやや軽快な印象、シャープな酸味、余韻にはビターなニュアンスのグリップ感と潮を感じる塩味がゆったりと広がり、微かに干しワラ系のスパイシーなニュアンスが鼻腔を抜ける。
シシャモのエスカベージュに。ワインの酸味がお酢の効いた料理によく繋がるが、果実味のハリがシシャモの個性とぶつかり、やや悪い形で磯の香りが立ち上がるか。もう少し熟成させて合わせると面白そうだ。
相性: ★★★☆☆
サワラの西京焼きに。サワラの風味に対してワインが若くやや細く感じられ、旨味と脂に派手に反発。これも派手な失敗。
相性: ★☆☆☆☆

スラ ヴィンヤーズ シュナン ブラン, インド, 2021, 1,452円
Sula Vineyards, Chenin Blanc, Nashik, India, 2021, 12%

香りには花梨、青リンゴ、グラスを回すとグレープフルーツ。ホシワラ、青いトマトなどのヴェジェタルなタッチがやや支配的で香りがアンバランスに感じる、微かに蜂蜜のニュアンス、白い花のフラワリーな香りも。
風味には中庸の酸味、やんわりとした甘みの存在感が強め、中盤から余韻にかけてビターなタッチと鼻腔をホシワラのニュアンスが抜ける、余韻はやや短めでシンプルなフィニッシュ。
シシャモのエスカベージュに。インドのシュナン・ブランのほんのり青いトマトのニュアンスが果実味をほんのり抑制し、シシャモのほろ苦さにも程よく合う。川魚ともよく合わせるロワール原産のシュナン・ブランの魅力を発揮。
相性: ★★★☆☆
サワラの西京焼きに。シュナン・ブランのやや陽気な果実味とそれを引き締める青いトマトのニュアンスが合わさり、魚の旨味にふと寄り添いかけるがやはり反発。
相性: ★★☆☆☆

デ・ボルトリ, ヴィラージュ ピノ・ノワール, オーストラリア, ヴィクトリア州ヤラ・ヴァレー, 2020, 2,277円
De bortoli, villages pinot noir

鮮やかなレッド、グラス底まで見通せる。
香りにはチェリー、ラズベリー、フランボワーズ、ダークチェリーなど豊満に、可憐に広がる、バラの香りもビビッドに、ほのかに茎のヴェジェタルなタッチ。
風味はジューシーな口当たり、こぎみよい酸味、シルキーなタンニン、万人の嗅覚を虜にする余韻に鼻腔を抜けるバラの香水のようなフレーバー。
シシャモのエスカベージュに。お酢の酸味が効いたタマネギとニンジンの細切りがふと繋がりかけるが、シシャモと赤ワインが合わさった瞬間に磯臭さがドンと立つ。
相性: ★★☆☆☆

雪印のクリームチーズをシシャモのエスカベージュにトッピングしてみる。料理の旨味とコクを強め、且つシシャモのクセを程よくコーティング。ピノ・ノワールの快活な果実味と酸味が心地よく寄り添ってくれた。
相性: ★★★☆☆

サワラの西京焼きに。ワインの快活で愛らしい果実味にサワラが合わさると、とてつもない臭みが立ち上がった。
相性: ★☆☆☆☆

サワラに雪印クリームチーズ乗せて。味噌のニュアンスとチーズのクリーミーなコクは良く繋がる。ピノ・ノワールと合わせてもチーズにコーティングされてサワラの臭みも立ち上がらない。チーズにより一気に変身した。この変化に四つ星を付けようか迷うほど。
相性: ★★★☆☆

個性の強い魚の脂や磯の香りに、チーズを添えることで一気にワインとの距離が縮まった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?