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#建築 まとめマガジン

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note上の建築系記事をまとめていきます。 #建築 をつけて投稿しよう!
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2018年7月の記事一覧

スーパー地方公務員はデザインの使い方を知っている。

近年地方のユニークな取り組みが、様々なニュースとして現れてきている。 例えばくまモンなどはその中でも有名な話で書籍にもまとまっている。 https://www.amazon.co.jp/dp/B00C6QFIE4/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1 この書籍の登場人もそうなのだが、いわゆるスーパー地方公務員と呼べる人がいる。通常の地方公務員の枠組みや仕組みを壊して、新しいことを仕掛ける。高い志を持って地方の人たちを巻き込

"Countryside"/ Rem Koolhaas/ 書き起こし・要約

レム・コールハースのハーバードGSDでのプロジェクト「カントリーサイド」の講義を書き起こし、要約します。 はじめに/ガイドラインレムも初めに「講義ではない」と前置きしているように、これはGSDでのプロジェクトのオリエンテーションです。スライドは、アムステルダムでの講演(2012年)のものに幾つか加わっているようで、こちらから見ることができます。 以下に、大まかな内容をまとめてみました。個人的に「中身のない建築」に興味があるので、14:23からの工場・そして大きさの話を重点

木造建築を科学化せよ!|〈創造的代用〉としての新興木構造【2】

戦時下の日本では木造建築も戦争に動員されました。 「飛行機格納庫は物置みたいなもんで戦勝に貢献しないんだから、そんなものに鉄やコンクリートを使うな」と軍部から命令が下ったことを受けて、戦時下の日本では、格納庫や工場、講堂といった大空間建築を木造で、しかも国産の細小材で造る技術が研究開発されました。それが「新興木構造」。 前回の投稿では、大蔵省営繕管財局に勤める建築学者・竹山謙三郎(1908-1986)たちが、ドイツの「Freitregende Holz bautem」を参

消費を加速させるデザイン

こんにちは。 アーキテクチャーフォトの後藤です。 ちょっと前に、髭剃りを買い換えました。 ぼくは、電動式ではなく、カミソリ式の髭剃りを使っておりまして、10年前くらいから同じシリーズのものを使っていて、その持ち手につける専用のカミソリ刃を、何も考えず、劣化するたびに、継続的に買い続けていました。 (このように継続的に同一商品を買わせてしまう仕組みもすごいのですが、それはまた別の機会に、、。) 10年も使ってきているので、持ち手部分も多少悪くなってきていたので、思い切って新

建築界隈VR初心者のための『VRChatワールド作成案内』(2)

VR体験ってなに?バーチャル建築家の番匠カンナだよ〜 前回はこの連載の目的や対象を書いたけど、そもそも「空間をVRで体験する」ってどういうことか、VRに慣れてないとわからないよね 全く体験したことない人はそれでいいんだけど、スマホVRとかOculus GOとかのいわゆる「3DoF」だけ体験したことある人は、それがVRの全てだと勘違いしないよう注意が必要だよ! 私の言っているVR体験は「360度どっち見ても視聴できる画像や動画を独りで観賞すること」じゃ全然なくて、「ほんとう

建築作品とアイドルMVについて語りたい

欅坂46 7thシングル「アンビバレント」のMVが公開されましたね。 いやーすごい。すごかった。 建築の中を踊りながら駆け抜けていく姿に圧倒されて、何回も再生してしまいました… MVと言えば、歌や踊りもさることながら、舞台となる場所も重要な要素ですよね。その中には、有名建築家が設計した作品が登場するものがあったりして常々気にはなっていました。 せっかくの機会なので、建築作品が登場するアイドルMVをまとめてみました。※今回は、秋元康プロデュースアイドル(欅坂46・乃木坂46

また建築を好きになった話

私は建築を好きでしたが、一度嫌いになります。 ただ、その後にまた好きになりました。 そんな話をしていけたらと思います。 写真は後で関係するのですが、国立新美術館が好きでここ最近こちらの展示物は欠かさず見に行っています。 まず、どうしてこの記事を書こうと思ったきっかけはTwitterで見かけたロンロ・ボナペティさんの #建築をスキになった話 のツイートを見て私も気になったので来年からの私のことも合わせて自分自身のためにも書きたいなと思い今回書いていきます。 目次 1.

建築界隈VR初心者のための『VRChatワールド作成案内』(3)

アバターつくろうよどんどん続けるよ〜 前回はアバターの話で終わったよね 建築の人って生真面目なところがあるから「アバターとかいいから、建築をVR化する話早くしてよ!」っていう人多そう! それなら今回の記事は飛ばしても全然大丈夫! VRChatにはデフォルトアバターがあるから、例えば人気の「ベニスマン」になればいいと思うよ でも、断言するけど、一度でもVRChatに行くと「自分のアバターが欲しくて欲しくてたまらない病」に罹患すること間違いなしだよ!! これからxR(VR・

情報発信を始めた理由-「デザイン+メディア」が職能の前提条件となる時代を予見-

先日、建築ライターのロンロ・ボナペティさんが面白い記事を書かれ、僕についても紹介してくださいました。 この記事を読んで、建築家やデザイナー、時にはディレクターとしてなぜ情報発信を始めたのかを書こうと思いました。 以前、noteを続けてこれた理由について記事にしていますので一読いただければと思います。 情報発信を始めたきっかけ 今年の2月まで情報発信という点においてほとんど意識したことがありませんでした。 twitterやFacebookで発信していたのはほとんどが「

隈研吾が50周年記念展示場を手がけた理由|東日本ハウスのジレンマ

木造住宅メーカー・日本ハウスHD(旧・東日本ハウス)の50周年記念展示場はご覧になりましたでしょうか(図1)。 図1 50周年記念展示場 良し悪しはとりあえず置いておいて、その衝撃的なデザインは建築家・隈研吾(1954)が設計監修したもの。1969年に創業した木造住宅メーカーの歴史と誇りを世に問うた姿がこのモデルハウスというわけです。 最近の家づくりトレンドとしては、ムダにヒーロー・ショーとか開催する総合住宅展示場や、ハイスペックなモデルハウスに疑問が投げかけられ、実際

04|蔵前橋(東京都台東区−墨田区)

<技術の手触り> 土木学会誌2013年月4号表紙  東京湾に注ぐ隅田川には、「橋の展覧会」と呼ばれるほど個性的でバリエーション豊かな橋梁が数多く架けられている。それらの多くは、1923(大正12)年の関東大震災により壊滅的な被害を受けた東京を理想的な近代都市に生まれ変えようとする「帝都復興事業」の成果でもある。今号はその中のひとつ、1927(昭和2)年に架けられ、現在は目にも鮮やかな黄色で塗られている3径間上路アーチ橋の『蔵前橋』に迫る。  帝都復興院(後の内務省復興局)

世界最先端レストラン【INUA】の体験デザイン

何度か仕事をしているクライアントであり、シェフである友人にINUA(イヌア)に連れていってもらった。INUAは何度か世界最高のレストランに選ばれているNOMA出身のシェフが、KADOKAWAの出資を受けて日本にオープンしたレストランだ。(前提として、この記事自体にグルメレビューとしての価値はあまりないと思う笑) 結論から言うと、すごく面白い体験だった。 すごく美味しかったというより、すごく面白かった、がしっくりくる。美味しかったのだけれど、それを語るときに、美味しさは一番前

ウェブの時代に建築家が発信することの意味

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 noteをはじめてから、早半年が経過しました。 はじめる前は想像もしていなかった良いことがたくさんあったのですが、ひとつ釈然としないことがあります。 それは…… なんでもっと建築系の書き手が増えないんだろう!? ということです。 これまでの建築とメディアの関わり方の歴史を考えていくと、いまnoteで発信していくことは建築に携わる人にとってすごいチャンスが広がっているんじゃないかと思っていて。 Twitterでこんなつぶやきをした

セキスイハウスB型|工業化住宅の大量販売を下支えした「お客様第一主義」

建築家・前川國男(1905-1986)について、前川建築事務所で働いたキャリアを持つ建築家・大高正人は、こう証言しています。この証言は、戦後日本を代表する建築家・前川の設計による木質パネル量産住宅「プレモス」がなぜ売れなかったのかを語る場面での言葉です。精魂込めて日本の復興を託し設計した「プレモス」は、100万人の住まいをめざした高いクオリティを持ちながら、惜しいことに「売ること」へ関心が及ばず、広く普及することはなかったと語るもの。 同じくプレモスに関わった建築家・田中誠