Post Digital

ポスト・デジタルの建築を考えます

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最近の記事

講義抜粋 / Digital Style /Mario Carpo

この講義は、 2011年11月24日に行われたもので「デジタルスタイル」と題されています。「アルファベットそしてアルゴリズム」の直後の講演のようですが、本の内容とはかなり違うようです。本ではルネサンス期の表記法にページを割いていますが、この講義では近代初頭のGortonの実験から、ウェブサービスの話に重点をおいています。 今回は抜粋するのは、Gortonの実験と、wikipediaを例にした共同編集の話の部分で、建築の話というよりも一般的な話になります。なぜ抜粋にしたかとい

    • "Countryside"/ Rem Koolhaas/ 書き起こし・要約

      レム・コールハースのハーバードGSDでのプロジェクト「カントリーサイド」の講義を書き起こし、要約します。 はじめに/ガイドラインレムも初めに「講義ではない」と前置きしているように、これはGSDでのプロジェクトのオリエンテーションです。スライドは、アムステルダムでの講演(2012年)のものに幾つか加わっているようで、こちらから見ることができます。 以下に、大まかな内容をまとめてみました。個人的に「中身のない建築」に興味があるので、14:23からの工場・そして大きさの話を重点

      • Architecture Without ContentⅡ/雑訳

        前回紹介したArchitecture Without Content という論考を理解するために、同名の本の一部を翻訳します。 まえがき 前回、Office KGDVSの作品中にあったArchitecture Without Content という論考を訳しました。今回は、同名の本の2冊目の一部を抜粋してざっくり翻訳します。 この本は、大学で行われた課題をまとめたもののようです。「内容のない建築」の参照としては、図書館・工場・データセンター・個人倉庫といった類の建築が並

        • Architecture Without Content / OFFICE KGDVS 雑訳

          OFFICE KGDVSによる「内容のない建築」と題された論考を抜粋し訳します。 まえがきOFFICE Kersten Geers David Van Severenはベルギーの建築家です。エルクロッキーで特集されたのが2016年、作品集を出したのが2018年と、最近注目されている若手の建築家達です。今回は、作品集の中に入っていた論考「Architecture Without Content」をざっくりに注目します。 この論考は短いわりに、話が多岐にわたります。都市と周縁

        講義抜粋 / Digital Style /Mario Carpo

          ファラ・アトリエ/講演/抜粋

          参照することにまつわる素敵な説明があったので、ファラ・アトリエのレクチャーを抜粋します。 ●ファラ・アトリエについて ファラ・アトリエはポルトガルの建築事務所です。自ら、"naive"=「うぶ」であると紹介していますが、実際に彼らはとても若く、事務所も2013年にできたばかりです。 ファラ・アトリエのドローイングは鮮やかで詩的です。ところで、ポスト・デジタル世代の一つの潮流として、鮮やかなドローイングをメディウムとした、引用・参照を多用する手法があると私は感じています。

          ファラ・アトリエ/講演/抜粋

          トム・エマーソン/講演/ 要約

          再利用についての説明が面白かったので、トム・エマーソンのAAスクールでの講演の前半部を書き起こし、要約します。 04:30から、講演が始まります。 (私の概観: この講演の主題は「reuse」です。これは物質の再利用でもあるし、来歴や参照といった過去を再び想起させるものでもあります。 物質のreuseというと、浜松で活動する403がぱっと浮かびます。彼らは「転用」という言葉を使い、天井材を床材に再利用したりという試みをしています。彼らの本では、環境の中で物質をやりくりする

          トム・エマーソン/講演/ 要約

          トム・エマーソン/インタビュー/要約

          「実践」に関する言及が面白かったので、スイス建築博物館によるトム・エマーソンによるインタビューを一部文字起こしし要約します。 冒頭の5分では自身の活動の紹介と、イギリス・スイスに共通する思想・実践への重視について語っています。 ロンドンで6aアーキテクツを率い、ETHで教授をしている。 "I'm an architect and co-founder with Stephanie Mcdonald of 6a architects in London and I'm a

          トム・エマーソン/インタビュー/要約

          一瞬の抽象性

          一瞬の抽象性/情報圧縮/可読性  犬の散歩には江戸川に行く。家の辺りは住宅地で、細い道が碁盤の目状に並ぶ。川まではほぼ一直線だが、産業道路とぶつかるところで、左に少し曲がる。初めの道路の突き当りはガソリンスタンド、次の道はの先は江戸川である。犬に合わせてゆっくり歩きながら、道の先にあるスタンドの光や、江戸川の土手を眺めるとき、抽象性を感じる一瞬がある。  一つ目の突き当り、ガソリンスタンドは、住宅地から見ると不思議な存在感がある。それは、この住宅地と、産業道路が出会うとこ

          一瞬の抽象性