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変態プロレス放談

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しがない変態プロレスファンが、プロレスを中心に気付いたこと・感じたことを徒然なるままに書いてみました。 ひとつよしなに…!🙇🙇🙇
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#スポーツ観戦記

ハートに火をつけて~2024.6.22『安納サオリvs岩田美香』~

はじめに「岩田だってそんなサオリ求めてねえぞ!!!」 国立代々木第二競技場に包まれた静寂と緊張を切り裂く、男性客の叫びがこだました…。 「黙ってろ!!」 リング上で安納サオリを叱咤していた なつぽい、安納サオリに勝利した岩田美香が、ヤジが放たれた客席の方向に叫び返した。 大会終了後はヤジに対する批判的意見も見られた中、スターダムの岡田太郎社長が観客と選手をフォローした内容を投稿するという、異例の事態に発展した。 2024.5.21に行われたプロレスリング・ノア後楽

復帰戦の効能について考えたこと~2024.6.9『AMAKUSA&宮脇純太vsアレハンドロ&クリストバル』~

はじめに2024.6.9プロレスリング・ノア後楽園ホール大会で、約10ヶ月ぶりに戦列復帰を果たしたAMAKUSA。 その復帰戦を終えてリングを降りる直前、目元を拭い下を向く1人の選手がいた。 彼の名は、宮脇純太。 2016年8月にデビューした、NOAHのJr.ヘビー級レスラーだ。 復帰したAMAKUSAではなく、パートナーを務めた宮脇が泣いている。 何となくだけど、外野から見ていて、思い当たる節は一つだけあった。 2023.8.10、プロレスリング・ノア後楽園ホール

2年越しの理想形~2024.5.29『小峠篤司vs秋山準』~

はじめに 2022.6.12、『サイバーファイトフェスティバル2022』で組まれた『樋口和貞&遠藤哲哉&秋山準vs稲村愛輝&小峠篤司&中嶋勝彦』によるDDTvsNOAHの対抗戦。 戦前に注目を集めたカードにもかかわらず、開始から間もなくして遠藤が中嶋の張り手一発でレフェリーストップ負けという、あまりにも衝撃的な結末で試合は幕を閉じた。 今振り返ってみても相当の賛否を生んだ一戦だったと思う。 私はこの試合そのものの評価を付ける事は出来ないし、それは難しいと感じていたけ

あなたに、ここに、いてほしい~2024.5.30『室田渓人vsマスクドミステリー』~

はじめに「今日、ガンバレ☆プロレスのイベントがやってるみたいなんだけど、俺、そのバーに行ったことがないんだ。」 2023.9.5、下北沢にあるバーで一杯だけ引っかけに行った夜に、偶然バーで出くわした知人から、このような告白を受けた。 知人と言っても、私より歳が一回りも上の先輩だ。 プロレスがキッカケで知り合った私達だけど、その知人と会う度に「こんなプロレスのカードがあったら面白くない!?」と言われることもしばしば。 でも、そのドリームカードが本当に実現したら面白そうな

プロレス場放浪記~第5回・痛快屋外プロレス 風雲!千葉城~

はじめに一生のうち、一度は生でプロレスを観たい場所がある。 SNS上に出てくる他の人の写真がキッカケで、そのように感じた会場は幾つかあるけれど、行けない理由は様々だ。 プロレスの興行の開催数は多いけれど、地方などの遠方にある場合。 その場所で中々プロレスの興行が行われない場合。 (年1回のイベントプロレスに多い) 今回訪れた場所は、後者にあたる。 年1回、夏に入る時期に開催される、2AWの千葉城プロレスだ。 SNS上で目にしていた、千葉城を背景にした選手の入場シ

プロレス場放浪記~第4回・好きです かわさき 電流爆破~

はじめに率直に言って、私は深く感動していた。 屋外で行われた電流爆破デスマッチを見て、多くの人達が盛り上がっている光景に。 そして、その電流爆破デスマッチが、プロレスファン以外の人達に受容されていた雰囲気に。 2024.5.11、川崎フロンターレが企画したイベント『ボーイズビーアンビシャス』内で行われた、電流爆破デスマッチ。 当初は2022年夏に予定されていたものの、台風によりサッカーの試合自体が中止に。 それに伴い中止となったイベントが、約1年9ヶ月振りに実現した

『WRESTLE MAGIC』を生観戦した感想を振り返る

はじめに 2023年秋~冬にseason1(全5大会)、2024年4月にseason2(全4大会)が開催された、プロレスリング・ノアの『MONDAY MAGIC』。 「NOAHの熱い戦いを連続ドラマのように多くのプロレスファンの皆様に楽しんでいただく」というコンセプトの下、月曜夜に開催された同ブランドでは基本的に全カードが当日発表。 参戦選手や試合数、試合形式すらも殆ど分からない中で行われる実験的な大会だったが、結果的に全9大会が満員。season1初回を除けば前売段階

『MONDAY MAGIC』season2を全部生観戦した感想を振り返る

はじめにプロレスリング・ノアが2023年に立ち上げたブランド・『MONDAY MAGIC』。 2023年10月~12月にかけて全5大会が開催されたseason1は、ブランド名通り月曜開催という条件でも、初回を除く大会が前売り段階で完売する盛況っぷり。 season1最終回では、2024年4月に全4大会からなるseason2が発表されると、チケットも全4大会が前売り段階で完売。 2024.5.4に控える『WRESTLE MAGIC』に向けた強化月間とも言うべき側面も強いs

DO YOU WANNA DANCE WITH ME?~2024.4.11『拳王vs清宮海斗』~

はじめに 2010年代後半から、プロレスリング・ノアの看板カードに定着したライバル関係がある。 それは、『拳王vs清宮海斗』だ。 2019年11月の両国国技館メイン、日本武道館でもタイトルマッチが複数回組まれるなど、近年はビッグマッチでの対戦が多い両者の一戦は、これまでに11回実現した。 戦績では7勝4敗で拳王が勝ち越しているものの、直近2試合はGHCヘビー級王座戦で清宮が連勝中。 過去にGHCヘビー級王座戦5回、GHCナショナル王座戦2回と度々タイトルと団体の舵を

約束~2024.3.30『中嶋勝彦vs安齊勇馬』~

はじめに「あの三冠戦は何なんだあ!!!あれをどう思う!?」 2024.3.30、東京都大田区。 プロレス観戦終わりに偶然遭遇した年長の知人に会うや否や、肩をゆすられて、いきなりこう言われた。 咄嗟に「これは一緒に飲みに行かないといけないな…!」と察した私は、知人に提案する形で、蒲田駅近くにある中華料理屋まで移動する事にした。 会場から店までの移動中に交わした知人との話は、この日の全日本プロレス大田区総合体育館大会で組まれたメインイベント・『中嶋勝彦vs安齊勇馬』で占め

『MONDAY MAGIC』season1を全部生観戦した感想を振り返る

はじめに他の人に向けて、自分のオススメの何かを提示するタイミングが訪れた時に、私自身気を付けている事がある。 「自分の好きな団体や選手であっても、相手の好みによっては薦めない選択肢を取る」という事だ。 例え、自分の好きなもの・オススメしたいものがあったとしても、相手の好みとマッチングするものでなければ一方的な押しつけになってしまうし、何より続かないと私は考えている。 個人的な理想形としては「プロレスコンシェルジュになりたい」という表現が適切だろうか? 仮にもし「色々知り

squeeze~2024.2.28『拳王&大和田侑vs清宮海斗&大岩陵平』~

はじめに先日、私がプロレスを観戦しに行った時に、カメラで撮影した1枚がある。 SNSで観戦時の写真を投稿すべく選定していた時に、この写真を見つけた。 そして、写真を見た時に、ふと『スクイズ』という言葉が頭に浮かんできた。 スクイズという単語を調べてみると、このような意味が出てくる。 「スクイズ」という言葉が私の脳内に浮かんできたのは理由があった。 以前、タッグマッチなどでコーナーに控えている選手が、相手の首や関節を絞り上げているパートナーの選手に対して「スクイーズ!」

心臓が止まるまでは~2024.2.7『坂口征夫vsHARASHIMA』~

はじめに他人の引退試合というものは、ファンが当事者に接している面積が広ければ広いほど、未練と後悔の割合も自然と多くなっていくものかもしれない。 私は一介のファンでしかないけれど、いつしかそのような感覚で(些か勝手ながら)他人の引退試合を捉えるようになっていた。 怪我が原因で現役を続けられなくなった。 新たな道に進む。 大体そのような理由で引退していく選手を客席から見送る度に、「もっと試合を見ておけば良かった」、「将来楽しみだった」という感情ばかり溢れ出てくる。 私自

Still Changing~2024.1.21『Good Looking Guys vs 清宮軍』~

はじめに2024.1.2、東京・有明アリーナ メインイベントの『丸藤正道vs飯伏幸太』が終わり、どこか重苦しく淀んだ空気が場内に立ち込める中、リング上に現れたのはジェイク・リーと清宮海斗だった。 怒気を孕んだジェイクの声が場内に響き渡った瞬間、会場は大歓声に包まれる。 その歓声は「よくぞ指摘してくれた」という、観衆からのジェイクに対する敬意を感じ取れるものだった。 続く清宮もジェイクからバトンを受ける形でマイクを握ると、有明アリーナにはメイン前までのような歓声が戻っ