井伊直弼(なおすけ)の天命
井伊直弼は、彦根藩13代藩主・井伊直中(なおなか)の14男として生まれた。直弼は、大した役割は与えられないだろうと達観し、「埋木舎(うもれぎのや)」と自ら名付けた邸宅で17歳から32歳までの15年間を過ごした。直弼は、この間、茶道や禅、居合術などを極めようとした。
そんな直弼に転機が訪れる。第14代藩主・井伊直亮(なおあき)とその養子となっていた井伊直元(なおもと)の急死である。直弼が彦根藩15代藩主となったのだ。「天が自分に何をさせようとしているのか?」自らの天命につ