美容師のFC傘下独立について

※私の経験上だけでの話しです。反論異論もあってしかるべきです。

【序文】

美容師の独立というと、大きく分けて３つですよね。

A.自己資本で店舗を作って独立

B.FCなど傘下に入り独立

C.店舗を持たずフリーランスとして独立

更にこれを分解すると[一人サロン]・[正社員雇用サロン]・[業務委託型サロン]の人件費を固定費にするか外注費としての変動費にするか等によって３体系に分かれます。

またBにおいても、働いていたサロンでのれん分けと、これまで関与してなかったグループ傘下に入る方法と分かれます。

Cに関しては集客はお店に任せて労働力を提供する形式と、場所を借りてあとは自分で全て行うもの(面貸し)とに分かれます。

全て話すと強烈に長くなるので今回テーマにしたいのは「B.FCなど傘下に入り独立」のみです。以下は2018年に実在したFCをモデルケースにしています。誰でも気になる注目したいポイントはずばり利益です。

【FCのデメリット】

FCにおけるデメリットは貸付を行う形式以外は、ほぼ加盟金とここのみに集約します。2020年度におけるロイヤリティは総売上の5～10%程度が標準です。

そこで問題です。

店舗の営業利益率は、どれくらいでしょうか？黒字サロンで7%～30%と幅広く存在します。超高単価で広告費用を抑えることが出来ていれば50%近くも夢ではない事業ですが、多くは10%前後をさまよっていると思われます。

上場企業でも営業利益10%は優秀ですので、美容室が飽和してもなお、参入が止まらない理由はここです。おおよそ月400万売上のサロンでアシスタント入れて5名の店舗としましょう。広告費用や人件費、地代家賃、減価償却など販管費を引いて、

■営業利益としては15%のサロン・・・営業利益600,000円ー5%のロイヤリティサロンの場合は200,000円=残400,000円

■営業利益率8％程度のサロン・・・営業利益は320,000円ー5%のロイヤリティ200,000円＝残120,000円

ここから納税も、借入の返金も行います。より厳密にいうと出店時に改装費用などに加えて加盟金という負担があります。

これがFCオーナーのデメリット部分です。営業利益率が異常に高い、つまり高単価サロンでもない限りは、単純にみてしまうと利益が薄いという結論になります。多店舗展開しない限りは私個人はあまり興味をひく独立形式ではありません。ではメリットはなんでしょうか？

【複数を出店するに有利なFC】

それはスケールメリットとしてのコスト減、ノウハウの共有、本部機能の一任、または教育の委任、求人のコスト減、集客負担減、複数店舗展開が早いなどが挙げられます。

これも経費負担に直結しますので、実際に営業利益率の向上につながるケースも多くあります。ロイヤリティを支払っても、展開もしやすく営業利益率も保てるとしたらこれはメリットの方が大きいとみなしても良いでしょう。

※図解面倒なので用意してません🤣

つまりFC展開しているサロンの傘下に入るという事は、一店舗だけで見ると営業利益が向上する特典がないと負担が大きいだけになるという結論となります。しかしそれ以上にこの求人難で複数店舗を展開したい時には、店舗当たりの利益が薄くとも、利益を店舗数だけ重ねることが出来るので充分なメリットも考えられます。

近場に複数店出店するメリットは、1～2名辞めても店舗で廻すことが可能になります。だいたい２、３店舗目が経営上の山場です。詳しくは説明しませんが激安サロンでもなければこれまで見てきたケースでは平均的に4、5店舗目から楽になります。

ここまで来たらFC側のメリットも説明する必要がありますね。

【運営側のメリット】

簡単に言えば自社の経営リスクがほぼ無く営業利益相当の売上5～10%を回収することが出来、のれん分けに関しては独立で空いたフリーをどんどん新しいスタイリストに与える環境を確保できます。

さらに自分以外のオーナーの力でスケールを拡げることが可能となります。ゆえに出資してもメリットしかなく昨今は自社内で独立させたがるサロンが増えたという図式になります。

【結論】

仮に1～2店舗までで独立を考えている方は、FCまたはのれん分けを特別お勧めしません。人気のFCサロンに加入するメリットは出店数の確保だと私は思います。独立が困難な時代とはいえ、公庫や銀行が最初の独立時にお金を貸さないなど相当レアケースです。

金利も以前に比べ銀行はかなり安くなっており加盟金を支払うことも加味すれば、独自に銀行借り入れで独立しても不利どころか利益率は高い公算が立ちます。

以下、私的まとめ

・FCは本来は複数店舗展開したいオーナー向きである。

・営業利益に直接影響のないFCは意味がない。