見出し画像

未経験でも海外大学院で研究することができる

今月、ようやく2年間のモナッシュ大学のMaster of Artificial Intelligenceコースを卒業できることが確定いたしました。

日本の文系卒の私が、アラサーから理系の大学院でリサーチができるとは思っても見ませんでしたが、準備さえすれば誰でもできることです。

大学生の時、卒業論文も書かなかった私にとって、"研究"とは具体的に何をするのか、さっぱりでした!

今回、海外の大学院留学に興味がある方達に向けて、大学院で何をするのか、特に研究について具体的に体験内容を書きたいと思います。

大学院のコースの種類

主に大学院は、コースワーク(Master by coursework)とリサーチ(Master by research)に分かれます。

Master by Coursework

Master by course workでは、主に学部のときのように、クラスに参加してアサイメントやテストをこなしながら、単位を履修・取得する必要があります。
研究は選択した人のみが行い、マストではありません。
研究を選択しない場合には、そのまま単位を取得し続けたり、職業訓練を受けたり、実際の企業でのインターン経験が単位に変換できたりします。
学部での専攻が違う人たちも、入学することができキャリアチェンジしたい人にも有効です。
また、研究を選択した人は、PhDに行く道も開けます

Master by Research

Master by researchは、学部での専攻で、すでにその分野の単位を取得し、基礎知識を身につけている人達が、研究室での教授の指導の元、研究を行います。
コースワークのようにクラスも履修することができますが、メインは研究のため、その分野での新しい知見を提供できるよう努めます。

Master by Courseworkの授業

私の場合は、キャリアチェンジと今後の海外生活が目的だったため、Master by CourseworkのMaster of Artificial Intelligenceに入学しました。

プログラミングも数学も自分で少しかじったことがある程度だった私にとっては、最適なコースだったと思います。

最初の1年は授業の単位取得のみにフォーカスし、2年目から半分の時間を研究に充てることになりました。

具体的に、1年目にまず以下のようなITの基礎科目を学びました。これらは未経験でも最初から丁寧に教えてくれます。ただものすごいスピードで進んでいきます笑

  • Introduction to Computer Architecture and Networks 

  • Programming Foundations in JAVA

  • Programming Foundation in Python 

  • Mathematical Foundations for Data Science and AI


それから、AIにより特化した分野の単位を取得しました。

  • Machine Learning 

  • Deep Learning

  • Natural Language Processing 

  • Intelligent Image and Video Analysis 

  • Statistical Data Modelling 

  • その他

これらのコースを終えて、かなりの実力が身に付くようなイメージかもしれませんが、実際のところは、今後もっと自分で勉強して知識を深める必要があり、授業を聞いていれば仕事で即戦力になる実力が身に付くわけではありません

Master by Courseworkの研究

Master By Courseworkの研究は、学会に出版する目的ではなく、自分の学位を取るためですが、研究そのものの目的としては、Master by ResearchやPhDと同様に、既存の研究分野に新しい知見をもたらすこととなります。

私のコースでは、2年目から、研究を選択した人達は、教授と研究テーマのリストから興味のあるものを選択し、教授に個人的なメールを送り、受け入れOKであれば、それから研究開始しました。

私の場合は、AIの画像処理に興味があったため、MRIのアンダーサンプリングデータからMC-DDPMモデルによって再構成するというテーマを選択しました。

(このテーマを選んだ時は、全くなんのことか私自身分かりませんでした。)

教授と個人的なミーティングを週一度行い、進捗報告し、方向性などのアドバイスをもらいます。
基本的に、全て自分で取り組む必要があります。

テーマを選択した後、何をするのかというと、初めの半年で、Literature Reviewを書き、後半の半年でFinal Thesis を書きました。

Literature Review

Literature Reviewでは、まず研究のテーマについて理解を深めます。

既存の論文を読みながら、テーマのバックグランドなどを含めた全体像、目的、課題などを包括的に理解し、Literature Reviewで書く必要があります。

現在集まっている研究データなどについてまとめながら、この研究テーマにどんな課題が残っていて、どんな方法で解決できると見込んでいるのか提案をします。

ここでは、たくさんの既存の論文を読み込み、自分がやる研究がすでに行われていないか、意味のあるものなのかを示すことになります。

Final Thesis 

次に、Final Thesisでは、研究で自分がどんな実装を行い、結果が得られたかを書きます。

Literature Reviewを書いた後に、自分で提案した内容に沿って、実験を行い、結果を出す必要があります。
しつこいようですが、こちらは誰かがすでに行ったものであるといけないため、この研究結果がその分野で新しい知見である必要があります。

必ずしも、良い結果である必要はありません。
思った通りの結果が得られなかったとしても、なぜそのような結果になったのかという考察は、今後、その分野にとって役に立つため、意味のあるものです。

研究の経験から得られたこと

リサーチの経験から得られたことは、一番はTransferrable Skillです!

研究をすることによって、未経験の難しい分野を包括的に理解する力、事実やデータに基づいて文章を書くロジカルシンキングや分析力などが、身につきました。

このスキルは今後、仕事に必ず必要になってきますし、リサーチ経験からそのスキル証明もできます。

また、一つのことに1年間集中をすることで、AI画像処理の専門性は高まったと思います。

Literature ReviewやFinal Thesisは、大学院の成果物としてずっと残りますし、自分のこれまで学んだ知識集約でもあります。

何より、未経験でも、専門分野の研究ができるんだという自信もつきました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?