マネジメントへのレポーティングと管理会計の英語
こんにちは。さくらリンケージインターナショナル CEO 上田怜奈です。
本記事は以前前身のさくらランゲージインスティテュートのブログに記載したものを、改訂し、転載したものです。
今回は、マネジメントへのレポーティングと管理会計の英語というテーマでお話します。
前半は、マネジメントへのレポーティングということで、社内の外国人のトップマネジメントへの報告/海外子会社が本社のマネジメントへ報告する場合、後半は管理会計の本を引用しながら、部門マネージャーへのレポーティングというイメージで見ていきたいと思います。
報告する社内のオフィサーが急に外国人に変わった、または新たに本社のマネジメントへ報告する必要性が出てきた場合などで、マネジメントへのレポーティングを英語で行う必要性が出てくるということはあるでしょう。
そんな時、ファイナンシャルデータに添えられた文を読んでみると、どこも共通した、同じような課題を感じることがあります。自分が言いたいことを詳細に渡りただ羅列していて、ハイライトや概要にあたるものがなく、非常にわかりにくい。
詳細を文でも表現しようというアイデアはよいかと思うのですが、時間がない人にとって、必要なところを好きなだけ後で参照できるように、まずは、前月や前期、前年同期比との大きな違いがある部分や、情勢の変化や新規サービス・製品などによる特筆すべきことをまとめるとわかりやすいかと思います。
別途文書ではなく、メールの本文にそういった説明を書く場合もあるかとは思いますが、それならなおのこと、ただ情報が羅列してあり長いとなると、もともと長いEメールを嫌う米国などの国では、しっかり読んでもらうのが辛いことがあります。
特に、CEOなどは会計畑を通らずに来た人もいますし、他社/他業界などから来た人にとっては、その会社・業界での数字が意味することが、就任直後はわかりにくい場合などもあったりします。
もちろん、しかるべき精査を受けられるように必要な、特に数値データは適切にすべて開示するのが大前提だと思いますが、後回しにされることがないよう、情報を整理して出すことは重要でしょう。
また、最近の欧州で行われた調査では、純粋な数値データではなく、意思決定につながるインサイトをマネジメントはレポーティングに求めている、という結果も出ています(Deloitte 2016)。これは財務部の方針にも関わってくることかとは思いますが、数値から見られる事象の解釈や、その数値に影響を与えたものの説明を得ることにより、より早い経営判断を下したい、ビジネス背景の理解により、戦略の策定に役立てたい、という気持ちの表れだと言えます。
管理会計の英語の本、特に「財務諸表の数字をいかに経理担当者だけのものではなく、マネージャー(とりわけ現場レベルの管理者)に伝えるか」ということに重きを置いた本としては、
Financial intelligence (Karen Berman and Joseph Knight, Harvard business review press, 2013 )
が秀逸です。
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伝え方から、伝えるものの選び方まで、英語としても役に立つフレーズや構文が満載です。
各チャプターはそれぞれ、PL、BSの数字、財務指標などの項目が並んでいるのですが、
それらをテーマとして、マネジメントが何を、何故見たいのか、という考察が平易な言葉で記されています。
会計・財務の専門家には少し物足りないかな、という気もするのですが(そういったコメントが出ることが容易に想像されます)、逆に、専門知識がない人がどういうスタンスでいるのかということを理解するにはとても良い、「コミュニケーションのための本」だと思っています。
8. Costs and Expenses: No Hard and fast rules
を少しまとめながら引用します(原文は英語のみです。また、下記日本語は直訳ではなくまとめです)。
For example, Coca-Cola shows the following expenses in its public GAAP income statement
コカ・コーラ社がGAAPに則った損益計算書で下記の情報等を共有しています:
• Cost of goods sold 販売原価
• Selling, general, and administrative 販売費及び一般管理費
• Other operating charges その他の営業費用
• Interest expense 支払利息
• Income taxes 法人税等
All well and good, but would these categories really help a manager run her unit?
いずれも問題なくよいようだけれど、部門のマネージャーが、各々の部署を運営するのに本当に必要な情報でしょうか。
We aren’t privy to Coca-Cola’s internal income statements, but here are a few of the categories we suspect many managers (both of the parent corporation and the bottling units) would need to understand.
内情に精通しているわけではないけれど、多くのマネージャーが(本社かボトリングユニットかを問わず)必要とするのは…
They would want to know, for instance,
こういうものでしょう、例えば
how much they were spending on:
以下のものにどれだけ費やしているか
• Each ingredient used to make the beverages, broken down by beverage
飲料別に、飲料製造にかかる、各材料費の額
• All the costs related to delivering the product, in sufficient detail so that the costs could be managed
商品の配送にかかる費用、費用が管理できるほどの詳細
• Departmental costs, such as accounting, human resources, IT,and so on
会計、人事、ITといった管理部門の費用
• Sales and marketing costs broken down by product, advertising campaign, and more
商品別の営業およびマーケティング費用、広告キャンペーン等
最後は税に関することが示されています。
Finally, some companies share what they reported to the government on their tax returns. These numbers are probably the farthest away from what is useful to a manager. Tax returns follow tax rules, which are not the same as GAAP rules. The returns were probably prepared by tax accountants, a subspecialty of the profession. So tax returns look different from conventional financial statements. It isn’t fraud, it’s just different ways of looking at the same reality.
税務申告で当局に提出する数字は、部門のマネージャーにとって、使い勝手という点では、一番遠い数字だと。
部門にもよるのと、トップマネジメントにおいてはそう(税効果を加味しない)は言っていられないというのを除くと、真理と言える部分もあるかもしれない、と思います。(また、レポートの書面はテンプレートがあったり、PPTで習慣的にさらうのは決まっている、というのはあるかと思いますが、今回この話では除外します)
expenseとする項目の細かさだったり、伝え方というのは、レポーティングの担当者が
よく悩まれるところなのではないでしょうか。
一番最後は、これは詐欺ではなく、同じ現実の異なる見方だ、としめていますね。
最後の文については、これはあくまでも管理会計の本である…ということは強調しておきたいと思いますが(財務会計の本で同じことを言うなら、それは時としてcreative accountingにつながりかねませんからね)。
ということで今日は、2つのレポーティングと米国の管理会計の本のご紹介をいたしました。
弊社さくらリンケージインターナショナルにも、財務や金融に強い経験豊かな翻訳者がおりますので、お悩みのことがあれば、お気軽にお声がけくださいね。
本日は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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さくらリンケージインターナショナル社 創業者兼CEO 上田怜奈
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