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みなさまのたなごころ撰集

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これは私だけの、と云いながら、その宝箱とやらをどうしても人の目前でぱっと開けて見せたくなるというのは、どうやら生来人間に根を張っている欲求らしい。たなごころ撰集だなんて、それっぽ…
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#私の作品紹介

短編小説 「昼下がりの君へ」

短編小説 「昼下がりの君へ」

コトッ、昼食のタンパクサンドを食べ終え、庭でくつろいでいると、芝生に金属製の球体カプセルが降ってきた。見上げるといつもの赤い空が見え、飽きもせず太陽が輝いていた。僕が産まれる前は空は青かったらしい、とはいえ、金属が落ちてくるのは珍しいことだった。

こういう時は、ダンの出番だ。ダンは僕の友達、そして、僕の家族。ダンは家の二階全フロアを自分の部屋として使っていた。僕の部屋は一階のこの庭に出入りしやす

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ほどよく傲慢なあなたへ|小説|エイプリルフール

ほどよく傲慢なあなたへ|小説|エイプリルフール

新着メッセージ①
from:小錦「死ぬほど困ってます😭😭😭」

またかよ。
クソ上司のパワハラに耐えながら、なんとか終業時間を迎えて駆け込んだシャトルバス。
冷え切ったスマートフォンの新着メッセージを目にした瞬間、さらに疲労が押し寄せたように感じた。
しかめっ面を隠そうと、思わずマフラーに顔をうずめてなんとか取り繕う。だけど抑えきれず、マフラーで隠しきれない目元に苦虫を噛み潰したようなシワが

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