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みなさまのたなごころ撰集

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これは私だけの、と云いながら、その宝箱とやらをどうしても人の目前でぱっと開けて見せたくなるというのは、どうやら生来人間に根を張っている欲求らしい。たなごころ撰集だなんて、それっぽ…
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2024年2月の記事一覧

【短編小説】期間限定の恋人

【短編小説】期間限定の恋人

「それ、本気で言ってる?」

女の言葉に、男は肩をすくめる。

「嘘みたいな話だけど、本当だし、本心から言ってる。」

女は口を噤んで、考え込む仕草を見せた。

「無理に、とは言わない。」

「・・でも、このまま断ったら、私はあと3ヶ月、ずっと気になってしまうし、張元くんが嘘を言うとも思えないんだよね。」

女は、はぁっと深く息を吐く。張元と呼ばれた男は、その様子を見て、心配そうに「すまない。」と

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恋文の呪い | 小説

恋文の呪い | 小説

 今日はありがとう。楽しかったです。
 書いているのは前日だけど、楽しかったに決まっているので。貴重な休日を私にくれてありがとう。
 いまね、大学のカフェでこの手紙を書いているの。あと少しで卒業かと思うと、時の流れの速さにびっくりしてしまいます。あなたと出会ってからもうすぐ4年。あっという間でしたね。
 あなたがこれを読んでいるということは、もう会わないと私から伝えることができたのでしょう。そのつ

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