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【障害をしゃべろう!】しゃべって、いいのだ。

「ご家族に、障害のある方がいらっしゃるんですか?」

私は、障害者のスポーツや就労などに関心があり、会社員の仕事とは別に、個人で取材して、記事を書いている。私の取材活動には報酬などはなく、会社の仕事の休みを使って、交通費などの経費はすべて自分持ちで取り組んでいる。
そういうことを含めて、いろいろお話するうちに、取材を受けていただいた方から逆に質問されることがある。質問の中で、よくあるのが、「ご家族に、障害のある方がいらっしゃるんですか?」というものだ。

その質問を受けた時、
障害者に関する事柄は、身近に、家族に、障害のある方がいなければ、
特に考えることなく、通りすぎてしまうことなのかな。と思う。

自らが障害を持たずに、健康に生きている間は、考えないで済む事柄なのかな。とも思ったりする。

障害を持って生まれた人、
病気や事故で障害を持った人、
原因はさまざまかもしれないが、自ら選んで、障害を持ったというわけではないだろう。

予期せぬ出来事があったり、たまたま、障害を持つことになったということだと思う。
だから、誰もが、「障害者」になる可能性がある。
私自身が今後、「障害者」になる可能性がある。
もし、そうなったら?どうなんだろう?
どんな仕事ができるだろう?
日常生活はどうするだろう?
スポーツをしたり、娯楽は、どんなことができるのか?
そんなことを考えたり、想像してみたりする。
そういうことが、私が取材に取り組む源にある気がする。

小学生くらいの時、子ども向けに書かれたヘレンケラーの伝記を読んで、
もしも、私がヘレンのように「目が見えなかったら?」「耳が聞こえなかったら?」「話ができなかったら?」「サリバン先生に言葉を教えてもらえなかったら?」と想像してみることがよくあった。
関心の源は、小学生の頃から、あまり変わっていないのかもしれない。

季刊誌「コトノネ」に掲載されている編集長里見喜久夫さんのインタビューをまとめた書籍「障害をしゃべろう!」(上巻・下巻)が発刊された。

この雑誌は、東日本大震災がきっかけになり、発行された。
編集長の里見さんは、それまで障害者の生きることや働くことに関わることになるなんて、思ってもみなかったという人だ。

インタビューはぶっちゃけで、ご自身の聞きたいことを聞いている(ように見える)。インタビューの相手は、障害のある人や家族、介護や支援に携わっている人だけでなく、独立研究者の森田真生さん、能楽師の安田登さん、元朝日新聞記者で清貧生活をされている稲垣えみ子さんなども登場する。

様々な方のインタビューを読んで改めて感じるのは、この社会で生きていくことは、何らかの形で「障害」や「福祉」と関わり、繋がっているということだ。

障害を持つ当事者だからこそ、家族だからこそ、専門家だからこそ、話せる内容もあるだろう。
しかし、当事者、家族、専門家でない人も、「障害」について、見聞きしたり、考えたり、話したりする機会がもっと作れるといいのかもしれない。
気軽に「しゃべる」ことが一般的になればいいのかもしれない。

そうなったら、冒頭にあげた「ご家族に、障害のある方がいらっしゃるのですか?」という質問は、それほどよく出会うものではなくなる気がする。


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