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日本にいると「人間同士の揉め事」に対する免疫が弱くなる説

「チームワーク」をテーマにした研修を行うと受講者から次のようなお悩みをご相談いただくことがあります。

「メンバー同士が“どうでもいいことで”対立して困っている。お互いいい大人なのでケンカしないでほしい・・・」

うーん、お気持ちはよくわかります。
メンバー同士が対立するとチーム内の雰囲気が悪くなるので、リーダーとしてそれを放置するわけにはいきません。

しかも、対立しているのは“どうでもいいこと”なのでリーダーとしては余計な手間を取られるだけで、頑張って対立を解消しても大した成果にはなりません。

そんな感じで私もかつては人間同士の揉め事は「由々しき問題」として考えていましたが、10年前から中国で仕事をするようになってから考え方が完全に変わりました。

ある日中国人ばかりの職場にお邪魔する機会があったのですが、いきなり社員同士がすごい剣幕で口論しているのでビックリしました。

で、話をよく聞いているとケンカの原因は実に”くだらないこと”で、オフィス内でゴミ箱の置き場をめぐって「こっちに置け!」、「いやいやこっちだ!」という感じでお互い罵り合ってわけです。

そのうち言い合うことに疲れたのか、いつの間にかケンカが収まって両者はニコニコと談笑しているので、最初は「なんだこれは???」と呆気にとられました。

しかし中国で仕事をしているうちにそこら中で罵声が飛び交うので、職場でも街中でも「人間が集まれば揉めるのが普通だ」と思えるようになったのです。

私自身は中国人なのになぜか人間同士が揉めると心がざわざわしてしまいますが、それは幼少期から日本で育ってきたことが原因かもしれないと考えています。

例えば人間同士が揉めるのが普通という環境で育つと誰かがケンカをしても自分に関係なければ気になりません。

もちろん中にはちゃんと仲裁したほうがいいケースもありますが、ほとんどの場合は放置したところで不快な思いをする程度で実害はありません。

くだらないことでケンカする分には「放っておけ」が最も合理的な解決策だったりします。

しかし日本では学校でも職場でも「波風を立てないこと」が正常な状態であり、人と人が揉めるのは異常な事態として認識されます。

そのため、自分に全然関係ないことでも目の前で揉め事が起きてしまうと心が落ち着きません。

そうやっているうちに、人間同士の揉め事に対する免疫がすっかり弱くなるというわけです。

日本では誰かが波風を立てる発言をするだけで関係ない赤の他人まで首を突っ込むことがありますが、これも免疫の無さがそうさせているような気がします。

でも結局自分自身のストレスが増大するだけなので、やはり自分に関係ない他人の揉め事はスルーしたほうが精神衛生上よいと思います。

ということで、日本もどんどん「和を乱す」人が現れたほうが人間同士の揉め事に対する免疫も強くなるので、結果的に人間関係のストレスを減らすことになるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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