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「その人の本性」を「教育」で変えようとするとあらぬ方向に行ってしまいます

企業で行う人材育成施策のうち、うまくいかない可能性が極めて高いパターンというのがあります。

例を挙げるとこんな感じです。

  • ミスをしまくる「ルーズな人」を、ミスをしない「几帳面な人」に変える

  • リスクを取らない「守りに入る人」を、リスクを恐れない「攻める人」に変える

  • 他人の顔色ばかりうかがう「周囲に同調する人」を、「自分の意志で動く人」に変える

  • 競争心がない「マイペースな人」を、勝ち負けにこだわる「上昇志向の強い人」に変える

実はこういうニーズは結構多いので我々コンサルタントとしては悩ましいのですが、上記の例のカッコ内はまさしくその人の「本性」であるため、「教育」したぐらいでは簡単には変わらないというのが現実です。

この人の「本性」はこういうものだからと割り切って考えればいいのですが、仕事なのでそうもいかない場合があります。

ただそこを無理して変えようとして、その人の「本性」に反する行動を強要してしまうと思わぬ副作用が起きてしまいます。

例えば仕事の抜け漏れが多い「ルーズな人」を抜け漏れがない「几帳面な人」に変えるために、研修で「毎日ToDoリストを作って自分のやるべきことを書き出しなさい」と指導したとします。

「やれ」と言われたので仕方なくToDoリストを作ってはみるものの、「ルーズな人」がToDoリストを作ったぐらいで仕事の抜け漏れを無くせたら誰も苦労しません。ルーズだからこそ細かいことを忘れるので小手先のテクニックではどうにもならないのです。

しかし教育するほうは何とかして変えようとするので、ToDoリストがダメならもっと細かいツールで管理させようとしてしまいます。そうなると「ルーズな人」にとっては苦痛以外の何物でもありません

結局「教育」はしたが本人にとっては「余計なストレス」にしかならないので、元々持っていた強みまで消されて仕事でのパフォーマンスが下がってしまいます。

教育するほうは結果が出ず、教育されたほうが良い方向に変わらないと誰も幸せになりません。

「ではどうすればいいのか?」ということですが、「その人の本性」を変える教育ではなく、その人の本性を前提に「できることを見つけてあげる教育」をするのが最善の方法だと思います。

先ほどの「ルーズな人」の例で言えば、細かいことを忘れてしまうのは変えられない本性なので、「細かいことを忘れても周囲への影響を減らす方法」を身につけさせたほうが本人も実践できます。

例えば自分で管理するのではなく、周囲の人とコミュニケーションを取って「細かい人」に管理していただくという方法を取るのも良いかもしれません。

「ルーズな人」の中には人とのコミュニケーションは苦痛ではない人も多いので、本人の本性を活かしたやり方だと言えます。

人はそれそれ変えづらい「本性」を持っていますので、無理やり変えるのではなくその人の持ち味として最大限に活かしてあげたほうがおそらく最も良い結果が得られると思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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