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PhD 留学への軌跡②

こんにちは、ひかりです。前回、PhD 留学への軌跡① を書いてから、あっという間に一か月ほど経ってしまったのですが、続きをこちらに書かせていただきます。① からご覧いただきたい方は以下へどうぞ。

なお本シリーズでは、筆者が留学に向けて、どのタイミングで何を行ったかがまとめてあります。月日はすべて 2024 fall version ですが、2025 fall を目指される方はそれぞれの年月に + 1 年していただければ、わかりやすいかと存じます。
みなさまのご参考になれば幸いです。

目次


はじめに(再掲)

はじめに筆者のことをざっくり紹介すると、筆者は生物系の分野での PhD 取得を目標に 2024 年 10 月よりイギリスへ留学します。
なお、筆者はこの 3 月に、日本の大学で生物系の分野の修士を取得する予定です。
出願はアメリカ 2 校、イギリス 3 校へ出願しましたが、アメリカは全落ち、イギリスへの留学に決めました。
あまり誇れるような経験ではないので、あくまで一例としてご参考にしていただけますと幸いです。

2023 年 6 月 ~ 2023 年 9 月

プログラムの選定と PI へのアプローチ

筆者はこの時期、自分の興味をもとに様々な大学のプログラムを調べていました。そして興味のある研究室が見つかれば、直接メールでアタック。筆者は全くのコネなしだったので、すべてが文字通り、0 からの挑戦でした。
筆者なりのメールの書き方については、また別の記事でまとめますが、簡単に言うと、興味のある単語で研究室を絞り込み、PI が出している論文を読み、「あなたの研究に興味があります。博士学生として、受け入れてくれませんか?」というメールを送る、という感じです。
筆者は結局、11 人の PI にメールを送り(アメリカ:7 人、イギリス:4 人)、4 人から返信をいただきました(アメリカ:1 人、イギリス:3 人)。御覧の通り、なかなか全然返信をいただくことができなかったのですが、もともと、こういった事前コンタクトで返信をいただくことのできる確率は 3 割程度と言われているので、返信が来なくても気に病む必要はないと思います。
ただ、この事前コンタクトは、出願しようとしている国によって必要性が異なります。例えばアメリカは、多くのトップ大学で、「委員会制(committee system)」が採用されており、PI 個人でその学生を受け入れるかどうか決めることができない場合が多いです。そういった場合には、PI は、各学生に返信をしないということも多くあります。一方で、イギリスは、PI に連絡を取らなければ何も始まらないことが多いです。これは、アメリカでは「プログラム」に応募する形になることが多いのに対し、イギリスでは「研究室」に応募する形になることが多い、といったことにも由来します。よって、出願しようとしている国の制度によって、事前コンタクトの重要性は変わります。なおイギリスのような国では、事前コンタクトは早ければ早いほど良いです。

奨学金への応募

こちらもまた別の記事でまとめようと思いますが、この時期には国内財団からの海外留学用奨学金への募集がいくつかあります。ただ、中には具体的な研究計画を書かなければいけないものもあるので、応募時点までに PI とコンタクトがとれていると書きやすいと思います。
一方で、奨学金へ応募していること、もっといえば奨学金を確保していることは、(特にアメリカでは)PI からの返信を高めたり、offer をもらうことにつながるとも言われています。メールを書く段階で最終結果まで得られていなくても、複数の審査段階がある奨学金であれば「第一段階は通過しています」のように、奨学金を確保できそうな旨をメールに添えられると、返信がもらいやすくなるかもしれないです。
ちなみに、筆者は何も奨学金は確保できていませんでした(涙)。

研究成果を作る

言わずもがなですが、合格へ近づくためには、自身のバックグラウンドを充実させることが重要です。すなわち、研究成果を論文として投稿したり、学会発表で賞を取ったりすることができれば、CV をより魅力的なものにすることができます。よって、この時期にできるだけ、研究成果をまとめあげてしまうと良いでしょう。
一方で、研究をやっている方ならわかるかと思いますが、人生はそう思うようにはいきません(涙)。筆者も結局、何もできませんでした。最善を尽くしてだめなら、仕方ないです…。

2023 年 10 月 ~ 2023 年 11 月


ここからは、出願準備に全力を捧げました。特にアメリカでは、Statement of Purpose (SoP)や Personal Statement といった書類の提出が求められるのですが、これが大変に厄介です。

Statement of Purpose(SoP)および Personal Statement

まず SoP とは、特にアメリカの大学院で重視されている書類の一つで、「自分がそのプログラムに応募する理由を、自分がどれだけ適しているかを示しながら示すもの」です。SoP という名前ではなくとも、似たようなものはどの国にもあるのではないかと思います。
筆者がSoP を書くにあたっては、以前ご紹介した XPlane の「執筆支援プログラムにご支援をいただきました。筆者は英語でのエッセイに慣れていなかったため、かなり苦労をしましたが、こうしたプログラムを通して、何を書くべきか、どのように書くべきか、が徐々にわかるようになっていきました。また、XPlane だけではなく、個人的に頼れる人も探していきました。よく言われるおすすめは、これまでの自分の研究内容をよく知る人(所属ラボの先輩や先生など)、英語圏出身の人、少し自分とは違う分野の人、同じく留学を経験された先輩、などです。筆者の場合は、少しおこがましくても、友人の友人などにつないでももらうこともありました。また、筆者は、志望大学が提供している Application Assistance Program であったり、所属大学に置かれている Writing Support Center のようなサービスも利用しました。経済的に余裕がある方は、英語添削サービスなどを使うのも良いかと思いますが、筆者は ChatGPT や Grammarly 等に英語はチェックしてもらっていました。(ただこうした AI の使用には賛否両論があるので注意です。)
なお、SoP は、プログラムごとに内容を若干変えなくてはいけません。これは、「そのプログラムでなければいけない!」というように、Fit 感を出すためです。よって、多くの大学院に出願予定の方は、それだけ SoP を用意することとなります。

Personal Statement とは、「自分がいかに、その大学の多様性に貢献できるか」を示すものです。こちらはアメリカではよく見たのですが、イギリスの大学院では見たことはありません。Personal Statement に関しては、SoP とは違い、2 週間ほどで完成させました。また、各大学で使いまわしがきくという点でも、SoP より負担は小さかったです。
こちらも、念の為、SoP とともに多くの人に見ていただきました。

CV

CV は、履歴書のようなものですが、形式が比較的自由です。できるだけ簡潔に、見やすく、自分の魅力がひとめでわかるようにすることが大切です。
この CV もどうやら、国によって好みがあるようで、イギリスとアメリカでは異なるテイストのものが好まれました。イギリスの場合は、PI が出願前に CV もチェックしてくれることがあるので、お願いしてみると良いと思います。
CV の書き方についてはこちらの記事をご参考にしてください。

推薦状のお願い

推薦状のお願いは大変大事な出願ステップの一つです。というのも、ほとんどすべての大学院の出願では、2 通ないしは 3 通の推薦状の提出が求められているからです。
こちらもまた別の記事でまとめようと思いますが、まずは、誰に推薦状をお願いするかというところを考えなくてはいけません。そして、それが決まり次第、早めにお願いをすることが大切です。お願いをしたとしても断られる可能性もあるため、少なくとも、出願締め切りの 2 か月前には、約束をつけてしまうことが大切だと思います。

国内大学院の入学試験

筆者は、念の為、国内大学院も出願していたため、こちらの入学試験もこの時期に受験しました。また国内大学院へ進学するための奨学金などにも、応募しました。

2023 年 12 月 ~ 2024 年 1 月

出願

アメリカの大学院の出願締め切りの多くは、12 月 1 日です。よって、12 月になるということは、ほとんどの大学院への出願が終わるということです。準備した書類をもとに出願を完了させればよいのですが、意外と色々な操作が面倒だったりするため、時間には余裕をもって出願することをお勧めします
ちなみに海外大学院への出願で筆者が驚いたのは、人種や宗教、犯罪歴、ジェンダー、家族の学歴や職業などについて問われることです。日本の大学院だったらなかなか見ない設問です。

修士論文

ここまで海外大学院への出願関連についてばかり書いてきましたが、そもそも筆者はまず修士課程の学生であり、修士論文を完成させないことには卒業できませんでした…。よって、出願が一区切りついた 12 月中頃からは、全力で修士論文へと向き合い、何とか間に合わせることができました…笑
ただ、これも夏までにデータを集めきり、文章自体もある程度完成させていたからできたのであって、一から出願後にはじめたら間に合わなかったと思います。

2024 年 1 月 ~ 2024 年 2 月

Interview 

書類選考が通過した場合には、メール(または電話)で Interview への Invitation が届けられることになります。よってこの時期には、毎日メールボックスをチェックしていました。
Invitation を受けたら、すぐに、Interview の準備へ移ります。具体的には想定質問と回答を用意したり、友人や先輩にお願いして模擬面接を行ったりしました。詳しくは以下の記事をご覧ください。

基本的にはオンラインの面接が多いかと思いますが、現地に呼ばれる可能性もあるため、あらかじめその時期の予定は空けておくようにすると良いと思います。

最後に

①、②を通して出願までの軌跡をたどってみましたがいかがでしたでしょうか。順調に見えたかもしれませんが、実際には思うようにいかないことも多く、かなり苦労しました…。今でも、「もっと早く~していれば」「あの時、~していれば」という気持ちはなくはないですが、最善は尽くしたかなと思っています。
きっとすべてが順調に行く方はなかなかいないのではないのかと思うので、あまり気負わず、なるようになるというマインドでやっていくのが良いのではないでしょうか。

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