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博士留学 CV の書き方

CV (Curriculum vitae) は、大学院留学の際に必須の書類の一つです。Statement of Purpose のような書類とは異なり、志望校を決める前からでも書き始められるため、早めに用意することができます。
本記事では、海外留学用の CV の書き方について、筆者の例をもとにまとめてみました。

はじめに

そもそも CV (Curriculum vitae) とは、日本語で言う「履歴書」のことであり、大学院留学の際には、必ず提出しなければいけないの書類の一つです。
CV には、学歴や職歴だけではなく、受賞歴や特別な栄誉、助成金や奨学金、研究プロジェクト、投稿論文などを含めることができます。また、興味関心分野や、自身のスキルなども書くことができるため、比較的自由に自身を表現することができます。

CV はいつ必要か

CV はまず、大学院の出願時に必要です。すなわち、各大学のポータルサイト上に、CV のアップロード欄があるため、そこに PDF 等のファイル形式にした CV をアップロードすることになります。
※大学によっては、CV のアップロードは受け付けておらず、手入力で学歴などを書かなければいけないところもあります。

また CV は、気になる PI に事前コンタクトをする際にも重要です。メールをする際に CV を添付することで返信をもらいやすくなるとも言われています。

CV の形式や長さ

出願に使う CV の形式や長さについては、必ず出願する大学の情報を確認してください。
例えば、Harvard University の  Graduate School of Arts and Sciences(GSAS)からは、下のファイルのようなガイドが出されています。これによると、Harvard の場合、長さに制限はないものの、2 - 5 ページが一般的とのことです。(なお、こちらには CV の例も載っているので、参考にできるかと思います。)

大学によっては、余白スペースの指定や、アルバイトを含めて良いか良くないか等、細かい部分まで指定があることもあります。

一方で、気になる PI への事前コンタクトに CV を使う場合には、厳密な形式にこだわる必要はありません。一般的に、2 ページ、長くて 3 ページに収まるように、簡潔に、かつ充実した内容を書くように心がけることが大切です。

筆者の例

以下に、筆者がアメリカの大学院への出願および事前コンタクトの際に使用した CV を載せておきました。個人が特定されてしまいそうな部分を、XXX としたため、大分情報量が減ってしまいましたが…形式くらいは参考になるのではないかと思います。

※docx ファイルのため、このままダウンロードして使っていただいても結構ですが、スペースキーで配置をそろえているところがあるため()、あまり使いやすくはないかもしれません。word 弱者で申し訳ないです涙

ポイント

以下に各セクションごとのポイントについて書いていきます。


ヘッダー

ヘッダー

連絡先を書くようにします。ここでのメールアドレスは、可能であれば個人用のメールアドレスよりも、所属機関のメールアドレスを使う方が先方に安心感を与えられるため、おすすめです。
また、Research Gate 等のアカウントを持っている方は、そういったものも書いておくと良いでしょう。

学歴

学歴

高校 ~ 出願時の最終学歴を書くようにします。GPA などの客観的評価値も付けておくと良いでしょう。
筆者は学部 1 年のころの GPA が学部を通しての GPA の低下につながっていたため、学年が上がることによって GPA が改善したことを示すべく、各学年ごとの GPA を明記しました。
また学問(研究以外)に関する表彰歴等もあれば、どんどん書いていきましょう。

研究経験・研究関心

研究経験・興味分野

Research Experience は、研究に関するこれまでの経験を書くようにします。卒論研究やインターン、修士課程での研究などを書くのが一般的かと思います。
また Research Theme の部分では簡潔に、これまでの自分の研究内容や目的をまとめます。形にしたもの(卒業論文や修士論文や投稿論文)があれば、それらも記載するようにしましょう。

Research Interest では、筆者は興味のある分野のキーワードを書き連ねていました。

ただし、筆者の場合、イギリスへの出願では、このあたりのセクションは、すべて文章で書き連ねました。すなわち、なぜその研究を始めたのか、何を自分がして、何が分かったのか、それがどういう業績につながったのかを、一連の文章として書くという方法です。これはイギリスの PI が出願用にそういった形式を求めてきたからですが、好みや文化があると思います。PI への事前コンタクトでは、そこまで形式は気にせず書き上げ、出願時に必要であれば形式を直すといったスタンスで良さそうです。

受賞歴など

研究費や受賞歴など

このセクションでは、獲得した研究費や受賞歴を書くことで、自分をアピールします。筆者は残念ながら、書くことがなかったため、いただいていた給付型奨学金を書きました。これらの項目を書くときのポイントは、どれくらいの規模の母集団の中で自分が選ばれ、それが、どれくらいの価値のものであるか(例えば奨学金であれば、ユーロやドルに直すといくらくらいになるのか)、わかりやすく伝えることです。

業績および手技

業績・手技

業績に関しては、学会発表や投稿論文について書くことが一般的です。自分がどういった立場で(First Author 等)その業績に貢献したのか示した上で(自分の名前は目立つようにします)、査読があったのかなかったのか、学会発表であれば口頭だったのかポスターだったのか、等、明示します。
人によっては accept 目前の論文であれば、in preparation と明示したうえで、ここに入れても良いという人もいました。

手技に関しては、技術員として働くわけでなければ書く必要はないといった意見も聞きますが、筆者は念の為、できる手技を項目ごとにまとめておきました。

課外活動と推薦者の情報

課外活動および推薦者の情報

課外活動の経験も重要なアピールポイントの一つです。課外活動を通して、何を得られたのか(リーダーシップや指導経験など)をもとにセクションタイトルを設定すると書きやすいでしょう。
TA などは立派な指導経験の一つですが、筆者はそういった活動がなかったため塾のアルバイトでの指導経験をここに書きました。ただここで書くのは、「大学院で役に立ちそうなこと」だけです。無理にすべてのアルバイトを書く必要はありません。
また大学によっては、(アルバイトを含む)職歴を CV に書かなければいけないところもあります。そういったときは、課外活動にアルバイトの経験は入れず、職歴に書くようにすると良いでしょう。
※アルバイトは職歴に含めないとするところも多いので注意です。

reference 情報、すなわち、推薦者の情報(あるいは推薦者とまでは言わなくとも、身元保証人のような先生の情報)は、CV の中でも非常に大切です。特に事前コンタクトという意味では、多くの PI は、世界中の学生から色々な問い合わせを受けることになります。中には、どこの馬の骨ともわからない(言い方が悪いですが)学生からの連絡が入ることもあるでしょう。また、こちらがいくら真剣であっても、それを保証する人物がいなければ、先方には伝わらないことも多々あります。よって、reference 情報を CV の最後に書くようにすることが、事前コンタクトにおいて返信をもらうためのコツです。ただし、先方が突然、reference 情報にコンタクトすることがあるため、reference に名前を入れる際は、その先生にあらかじめ許可を取ることを強くお勧めします。

最後に

長くなりましたが、CV のイメージはついたでしょうか?
大学院の出願だけでなく、ありとあらゆる機会で CV は必要になるかと思いますが、目的によって多少の形式は異なると思います。本記事は、アメリカへの PhD 出願に向けたものを書きましたが、国によっても、大学によっても、求められているものは異なります。
ひとまず PI へコンタクトを取るための CV からまずは書き始め、出願までに、様式を合わせるようにすると良いでしょう。



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