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【姉枕】姉さんだって、この時ばかりは姉の威厳を捨てたいのかもしれない



「そう……だめよね。弟のおちんちんの匂い、嗅いで……」
「だめな姉さん」
「あぁ……」
 姉さんが目を細めて、小さくうめいた。
 幼いころから僕の面倒を見てくれた姉さん。しっかり者でだめなところなど一つもないが、なぜかこの行為のときは、僕に「だめな姉さん」と言わせたがるのだ。
 最初の頃、僕は姉さんをだめと言うことに抵抗があった。どうして、思ってもいない悪口を言わないといけないのか、と。だけど、姉さんのほうから、「だめな姉さんやろ?」とフェラチオの最中、言い出したのだ。
 だめやないよ、気持ちいいもん。いつもありがとうって思っているよ、と答えたのだが、姉さんは違うと首を振り、「だめな姉さんなの。ねえ、言ってみて」と、必死のまなざしでお願いしてきた。僕は仕方なく、言わされるまま、その言葉を口にした。すると、姉さんはビクッと体を震わせて、「そう、だめな姉さんよ」と呟きながら、ア~ンと口を開いて、おちんちんを咥えこんだのだ。

 それ以来、僕はフェラチオして、とお願いする代わりに、だめな姉さん、と口にするようになっていた。



「あぁ……はる……」
 やっと、ペニス全体を包み込むように唇をかぶせてきた。柔らかく湿った口腔粘膜は、体温よりも高いと思えるほど温かい。歯を当てないように口を大きく開きながら、ヌルヌルとした舌をペニスにぴったりと添えるようにくっつけ、姉さんはゆっくりと顔を前後に律動し始めた。ようやく待ちに待った刺激が入り、僕は思わず姉さんの頭を両手で押さえていた。
「ああ、姉さん。だめな姉さん」
 言いながら僕は姉さんの口に向かって、腰を動かす。
「んんっ、あむぅ、んッ……あん」 
 弟に頭を押さえつけられても抵抗するどころか、姉さんは唾液を垂らすほどあんぐりと口を開いて、うっすらと目も閉じている。
 弟の性欲処理にされている姉さんを見下ろしていると、本当にだめな姉さんに思えてくる。いや、姉さんだって、このときばかりは姉の威厳など捨てたいのかもしれない。
 僕がもっと小さかった頃は、うるさい母親のように「宿題はやったの!?」とか「洗濯物、そのへんに置かないで!」とか叱りつけていたのが、嘘みたいだ。
 僕は腰をゆったり律動させながら、姉さんのサラサラとしたシルクのようなさわり心地の髪を撫でた。気持ち良すぎて、何かを触っていないと、射精してしまいそうだからだ。


第一章「東京………………十八歳」より


4月5日発売 定価 770円

楽天ブックス、DMMブックス、コミックシーモア、U-NEXT、紀伊国屋書店、Googleブックス、Kindleなど40以上のオンライン書店で発売。
現在、先行予約も受付中です。

匠芸社・シトラス文庫刊


表紙デザイン……彼女、
モデル……………ちづ姉さん
撮影………………夢路歩夢
編集………………若林育実
著者………………柚木怜

出版社  匠芸社
レーベル シトラス文庫

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【作品紹介】

生まれた時から父はおらず、飲んだくれのふしだらな母は、愛人の家に入り浸りで子どもの待つ家にはたまにしか帰ってこない。そんな家庭環境で育った春吉は幼少期に、五歳年上の姉・夏子が「してくれたこと」をずっと忘れられないでいた。

『明君のお母さんと僕』『お向かいさんは僕の先生』などノスタルジー溢れるポルノ小説でおなじみの、郷愁の官能作家・柚木怜が綴る──貧しい生活の中でも逞しく生きようとする、姉弟の禁断性愛ストーリー。


著者プロフィール

柚木怜(ゆずき・れい)

京都出身、東京在住。1976年生まれ。
23歳の頃よりフリーライターとして、週刊誌を中心に記事を執筆。30歳の時、週刊大衆にて、初の官能小説『白衣の濡れ天使』を連載開始(のちに文庫化されて『惑わせ天使』と改題)。
おもに、昭和末期を舞台にしたノスタルジックで、年上女性の母性溢れる官能小説を手がける。
また、YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」にて、作品を朗読配信中。

著書

『惑わせ天使』(双葉社)
『おまつり』(一篇「恋人つなぎ」 双葉社)
『ぬくもり』(一篇「リフレイン」 双葉社)
『初体験』(一篇「制服のシンデレラ」葉山れい名義 双葉社)
『明君のお母さんと僕』(匠芸社 電子書籍)
『お向かいさんは僕の先生』(匠芸社 電子書籍)
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 夢幻快楽編』(匠芸社 電子書籍)





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