見出し画像

ピレネー/歩かないと見る事ができない絶景の特別な場所|フランス

「ピレネー山脈のフランス側の景色がすごくキレイなんですって。でも歩かないと見れないんですよ。」

旅の目的地を探していた私に友人がピレネーの存在を教えてくれた。

ちょっと前なら「歩く」と聞いただけで「無理」と思っていたが、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す巡礼の道を歩いた私、山歩きの道具やウエアをひとセット揃えたので、次の使い道を探していた。

じゃ、行ってみるか。

ピレネー山脈はフランスとスペインの国境に連なり、ピレネー・モンペルデュとしてその一部が世界複合遺産に指定されている。

モンペルデュ(ペルデュ山)はピレネー山脈の中央にある山で、その頂上はスペイン側にあるためフランス側からは見ることはできない。

ちなみにモンペルデュの標高は3,352m。私が持っているMICHELINの地図では3,355mになっていたけど。

余談だが、私は旅に出たら必ず地図を見る。
自分がどこにいるか、目的地はどこか。地図を見ないと頭に入らない。

画像1

さて、ピレネーのフランス側の美しい景色として教えてもらったのが世界遺産の中にあるガバルニー大圏谷だ。

圏谷はカール、シルクとも呼ばれ、何百万年前からの氷河の浸食によって作られる。

写真では平たく見えるかもしれないが、このガバルニーは圏谷のお手本のように扇型にえぐられている。

大圏谷と呼ばれるだけあってまさに屏風絵のような景色が広がっている。

ここはビクトル・ユーゴーが「自然の大劇場」と称えた場所なのだ。

その岩壁からは422mとヨーロッパ一の落差のある「ガバルニーの滝」がゴウゴウと流れ落ちている。

すごい景色だ。

初めてここに足を踏み入れた人はどう感じたのだろうか。

へとへとになって歩いてきたら垂直にも見える山が聳え立っていて絶望したのだろうか。
この山を越えてやるぞ!と気合を入れ直したのだろうか。

今もこの岩山を登ってスペイン側まで歩くルートを行くトレッカーがいるらしい。

上からの眺めを見てみたいと気にはなるけど、私は下から眺めているだけで精一杯。

でもさすが、Google Map先生は航空写真を用意してくれている。
伝わるかどうか分からないけど、一応貼っておく。

右上1/4の日陰となっている暗い部分がガバルニー大圏谷で、地図の上から歩いて入ってくるイメージ。Cascada de Gavarnieがガバルニーの滝の位置。
地図の下はスペイン側になる。

ガバルニー大圏谷は初心者でも歩きやすいルートがある。ルートは色々あるので、行と帰りは違うルートを選ぶのが楽しい。

ハイキングシーズンは雪の影響を受けるので、それほど長くない。5月終わりから9月初めまで。

6月は雪解けで滝の水量も豊富で迫力がある。雪も残っているのでコントラストもキレイ。写真は6月のはじめのもの。

DSC05373ルリカンザシ?-COLLAGE

6月になると高山植物が咲き乱れる。可愛らしい花があちこちに咲いていて、気になって写真を撮るので歩くのが遅くなる。

元々花の名前をよく知らないので日本の高山植物の本を持っていったけど、全く役に立たなかった。残念。

画像3

フランス側ピレネーに行ったら、もう一つ訪ねたい場所がある。

氷河湖であるゴーブ湖だ。

ここからはフランス側ピレネーの最高峰、標高3,298mのヴィニュマール山を望むことができる。

山の景色は勿論素晴らしいがゴーブ湖が美しい。風がなければ水面にヴィニュマール山を含めた周囲の山々を写しだす。

画像4

この湖までは駐車場の近くからロープウェイがでているので、気軽に来ることができる。家族連れに何組か出会った。

ロープウェイを降りてゴーブ湖まで歩いて約15分。運がよければマーモットや鹿に似た動物もでてくるので子供も楽しく歩ける。何と素晴らしい環境なんだ。

画像5

ゴーブ湖畔を奥に進むとさらにヴィニュマール山まで近づくことができる。

コーブ湖の先は足場が少し悪かったり、上りの道がもあるが、しっかりした靴を履いていたら大丈夫。

こんな絶景を眺めながらサンドイッチを食べた。忘れられない思い出だ。

ピレネーの絶景は評判にたがわず素晴らしかった。

でも、もう一つ私の心を打ったのは、宿泊した宿のオーナー夫妻だった。

110826-109アルジェレスガゾスト ホテルボーサイト

かなりご年配のご夫妻だが、到着してから出発まで、笑顔を絶やすことなく、折に触れて話しかけてくれた。

とても仲のよいご夫婦で、ご主人が腕を振るってくれる夕食はどれも美味しかった。

決して新しいホテルではない。エレベーターもなく、スーツケースを運ぶのは大変だったが、掃除の行き届いた部屋と、花があふれる小さな庭があるとても快適なホテルだった。

朝は水筒に暖かい紅茶をいれてももらい出発し、帰ってきたら小さなサロンでお話をした。

まさに「おもてなし」の精神がそこにあった。でもきっとご夫妻はおもてなしなんて思っていなかっただろう。それが日常なのだ。

このご夫妻がきりもりするホテルが、私のピレネーの印象を格別なものにした。

またピレネーに帰りたい。あのご夫妻に会いたい。お元気でいて欲しい。

ピレネーは私にとって特別な場所となった。


***************

備考:私が好きな地図、日本でも売っているけど高い。現地でドライブインで売っているといいけど、あまりキレイじゃないのも難点。



この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

よろしければサポートをお願いします。励みになります。