Sora

初めまして。旅することを考えて日々生活しています。今は思うようにできないけど。 旅する…

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初めまして。旅することを考えて日々生活しています。今は思うようにできないけど。 旅するたびにノートを作ってメモをしてきました。 古いノートを見返してnoteに書き始めました。よろしくお願いします。

最近の記事

りんごのお酒/シードル・カルバドス・ポモー【フランス】

フランスの北部、パリの西部にノルマンディーとブルターニュという地域があります。フランスでお酒といえばワインは欠かせませんが、このノルマンディーとブルターニュ地方ではワインはほとんど生産されません。 その代わりに作られているのがりんごのお酒。 この地方はりんごの産地なのです。 今日はそのりんごのお酒とガレットのお話。 ◇ りんごの収穫からシードルができるまで 9月から12月、りんごを収穫します。 ノルマンディーのりんごは固いのでそのまま絞ることができません。

    • ファド 心が揺さぶられるポルトガルの歌

      イタリアと言えばカンツォーネ、フランスと言えばシャンソンがあるように、ポルトガルの音楽にはファドがある。 今日はそんなファドの話をしたい。 ファドはポルトガルの民俗音楽なんて言い方をされるけど、ちょっとピンとこないところがある。 ファドは国を代表する音楽なのだろうけど、もう少し身近な感じがするからだ。 ◇ ファドを表現するとき、「哀愁」という言葉を使いたくなる。 失恋の悲しさや、死、墓など哲学的なテーマで人生を歌い上げるファドは、ポルトガル語は理解できなくても、むせ

      • 日本人の手で生まれ変わった「りんごの礼拝堂」|フランス

        フランス北部のノルマンディー地方にサン・ヴィゴール・ド・ミューという小さな村がある。 16世紀に建てたれた礼拝堂は長く放置され、屋根は穴だらけで窓もなく、荒廃が進んでいた。 村人は皆この荒れた礼拝堂をどうしたものかと思っていた。村人の半分は壊してしまえと思い、もう半分は保存したいと思っていたが、なんせお金がなくて何もできなかった。 パリで働いていた村人の一人が日本の大使*と知り合いになりこの礼拝堂の話を聞いた。たまたま日本大使館職員が芸術家の田窪恭治氏と知り合いだった。

        • フランス ブルターニュ地方独特の建築「聖堂囲い地」

          「聖堂囲い地(せいどうかこいち)」という響きが妙に気になった。 何なの、それ? ブルターニュ地方のサンテゴネックという村にそれはあった。 ざっくり言えば宗教建築なのだが、16世紀から17世紀にかけて、大都市から離れたブルターニュ地方で作られたもの。当時はこの聖堂囲い地の美しさを競い合っていくつかの村で作られた。 なかでもサンテゴネック村の聖堂囲い地は完全に近い形で残っている。 ◇ 聖堂囲い地は、その名の通り囲まれた敷地で、なかには次の施設があった。 教会 納骨堂

        りんごのお酒/シードル・カルバドス・ポモー【フランス】

        • ファド 心が揺さぶられるポルトガルの歌

        • 日本人の手で生まれ変わった「りんごの礼拝堂」|フランス

        • フランス ブルターニュ地方独特の建築「聖堂囲い地」

          ガンガラーの谷: 歴史の証人になるかもしれない神秘の鍾乳洞|沖縄

          沖縄本島の南部には鍾乳洞が点在している。 どこも同じと思われるかもしれない。 でもここガンガラーの谷は違うのだ。 何が違うのか? この鍾乳洞は約2万年前に港川人(みなとかわじん)が住んだ場所なのだ。 日本人の祖先かもしれない港川人が歩いた場所を自分も歩いている。 壮大なロマンを感じずにはいられないはずだ。ガンガラーはそんな場所だ。 ◇ 鍾乳洞は琉球石灰岩でできている。 琉球石灰岩が何からできているかご存知だろうか。 そう、サンゴ。 太古の昔は海だったこの地

          ガンガラーの谷: 歴史の証人になるかもしれない神秘の鍾乳洞|沖縄

          ピレネー/歩かないと見る事ができない絶景の特別な場所|フランス

          「ピレネー山脈のフランス側の景色がすごくキレイなんですって。でも歩かないと見れないんですよ。」 旅の目的地を探していた私に友人がピレネーの存在を教えてくれた。 ちょっと前なら「歩く」と聞いただけで「無理」と思っていたが、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す巡礼の道を歩いた私、山歩きの道具やウエアをひとセット揃えたので、次の使い道を探していた。 じゃ、行ってみるか。 ◇ ピレネー山脈はフランスとスペインの国境に連なり、ピレネー・モンペルデュとしてそ

          ピレネー/歩かないと見る事ができない絶景の特別な場所|フランス

          【フランス】 ブルターニュ地方にあるサン・マロという海賊が住んだ港町

          フランスの北西部に張り出した半島がある。そこはブルターニュ地方と呼ばれている。 ブルターニュ地方にはケルト人を祖先にもつ人々が住み、自分たちをフランス人ではなく、「ブルトン人(ブルターニュ人)」と呼ぶ。 半島の付け根にサン・マロという港町がある。 世界遺産のモンサンミッシェルの近く、といったほうが分かりやすいかもしれない。 そのサン・マロに住む人は自分たちを「サン・マロ人である」という。ブルターニュ人でもなく、フランス人でもない、というアイデンティティだ。 サン

          【フランス】 ブルターニュ地方にあるサン・マロという海賊が住んだ港町

          「印象・日の出」が描かれた世界遺産のフランスの街の話

          「印象・日の出」はクロード・モネが1872年に描いた。 印象派という言葉はここから生まれたという重要な作品。 ドガ、ルノワール、シスレー、セザンヌなど印象派の巨匠たちの名前は誰もが聞いたことがあるだろう。そして、その絵はもしかしたら自宅にジグソーパズルとして飾られているかもしれない。 「印象・日の出」が描かれたのは、フランス北西部のノルマンデー地方にある「ル・アーヴル」という港町。 モネはホテルの一室から港をみてこの作品を描いたそうだ。 しかし、第二次世界大戦でル・

          「印象・日の出」が描かれた世界遺産のフランスの街の話

          カミーノ・デ・サンティアーゴ(サンティアゴ巡礼の道)の奇跡

          スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指す巡礼の道のことはご存知だろうか。 スペイン語でカミーノ・デ・サンティアーゴ。カミーノ=道という意味なのでサンティアゴ巡礼路となる。カミーノというだけで、巡礼の道を指す。 スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂にはイエスの12使途の一人で最初に殉死した聖ヤコブの遺骸を祀っており、中世の頃からサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を目指して世界中から人々が巡礼にやってくる。 もちろん今も。 ヨーロッパからの人の多

          カミーノ・デ・サンティアーゴ(サンティアゴ巡礼の道)の奇跡

          泥炭(でいたん)を燃やす暖炉のあるパブでギネスを飲みたい

          泥炭という燃料の事はアイルランド西部のコネマラ地方を旅していた時に教えてもらった。 その字の通り燃える泥なのだそう。 泥炭は英語でピート(peat)とかターフ(turf)と呼ばれるが、アイルランドではボグ(bog)と呼ばれる。 氷河が解けた端の窪地が沼地になり、その沼地にヒースやハリエニシダなどの植物が成長した。 その後それらの植物が堆積し、表面に出てきて硬くならずに泥炭地となる。 泥炭の90%は水分なので、それを乾燥させるとよく燃える燃料になるのだという。 例年、セン

          泥炭(でいたん)を燃やす暖炉のあるパブでギネスを飲みたい

          アイルランド人は妖精を信じている

          アイルランドには「妖精注意」の道路標識があると聞いていた。 それって「クマに注意」という道路標識と同じことなの? 興味津々。 アイルランドに行くと決まった時、その標識をどうしても見たいと思った。 ◇ 「妖精注意」の道路標識がある場所は事前に調べていた。 アイルランドの南西、ケリー州のリング・オブ・ケリー(ケリー周遊道路)にある「貴婦人の眺め」という景勝地の近くだ。 このケリー州の西沖合にあるのが、世界遺産のスケリッグ・マイケル島。 スケリッグ・マイケル島に行くには船し

          アイルランド人は妖精を信じている

          北アイルランドの海の見えるその家に住みたいと願った日のこと

          海外に行きたくて海外に行ける仕事にも就き、今までに70の国と地域を訪ね、行くたびに写真も撮った。 今日はあの日から頭から離れない北アイルランドの家の話し。 ◇ その日はアイルランドの首都ダブリンから電車で北アイルランドのベルファストに向かい、さらに北にある世界遺産のジャイアンツコーズウェイにバスで向かっていた。 アイルランドと北アイルランドは紛争が続き、和平合意がなされたのが1998年。今も時折いざこざのニュースを耳にするが、旅した頃は「紛争が終わっているからといって気

          北アイルランドの海の見えるその家に住みたいと願った日のこと