見出し画像

【うた#11】「Message」

今日は私が20年生きてきたこと
みんながお祝いしてくれる日だけど
伝えたいことが20年分あるから
親愛なるあなたへ手紙を書きます

お母さん あなたは私を産んだ日から
どんなときも寄り添って見守ってくれた
卓袱台いっぱい並んだ料理に
毎日感じていた確かな隠し味
輝いたときも涙に震えたときも
私の心にそっと言葉をかけてくれた

お父さん あなたが遺し伝えてくれた
とっておきの才能が道標になった
訊きたいことはたくさんあるけど
何にも語らない背中が遠くて
寡黙なあなたも酔えば饒舌になるから
今度サシで呑みましょう 語り合いましょう

20年かけて伝えてくれたこと
20年かけて教えてくれたこと
答え合わせは必要ないよ
今度は私が伝える番だから

時間かかっても伝えきるために
これからの人生をかけて贈るメッセージ
今までありがとう これからもよろしく
私はあなたのことを愛しています


――――――――――


僕には伝えたいことが20年分あった。

20歳の年を迎えるにあたり、
何か記念に残るようなことをしようと思った。
せっかくの節目の年だからこそできることを
ひとつでも多くやろうと。

誕生日の日、家族あてに手紙を書いた。
その経験を下地にした小説を書いた。
そして、このうたを書いた。
そこにメロディをつけて、
成人の日の前夜、
家族の前で弾き語った。

家族全員を泣かすつもりだった。
顔を上げたとき、
家族みんなが目を光らせていた。
一番先に泣いたのは、僕だった。
声を詰まらせて、弾き語った。
このうたを、このメッセージを。

ダイイングメッセージとは、
死の間際に遺す伝言だけれど、
生きることは死に向かうことだし、
これから誰かに伝えるもの、遺すもの、
全部ダイイングメッセージと捉えることができる。

物語を通して、
これからもたくさん伝えにいこう。

110


――――――――――


本作品の他、20の作品を収録したうた集『夜明けのうた』販売中です。眠る前のひととき、あなたのなかに小さな革命を起こす一冊。是非、本書を手に取って、ステキな夜明けをお迎えください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?